3-5 狂信者となった学園の生徒達
学校に辿り着いた頃には空はすっかり赤く染まり、血の様に赤い夕陽によって聖カラマーゾフ学園は伏魔殿の様に禍々しい姿に変貌してしまった。
不思議な事にあれほどいたはずのマスコミや野次馬はどこにもいなくなってしまった。その代わりに校門周辺には血痕が残されていたので、おそらくここでもひと悶着あったのだろう。
学校は文化祭のまま片付けがされておらず、校門のアーチには聖誕祭という文字が書かれていた。見た目は賑やかではあったが、静かすぎる事で不気味さがより一層引き立ってしまう。
彼らはこの場所できっと再臨した神の誕生を祝福し、邪なる者の血肉を生贄に捧げているに違いない。ここから先は一瞬も気を抜けないだろう。
「これ借りるぞ」
俺は車のトランクを開け得物に三段警棒とサブ武器にリボルバー式の拳銃を選択した。他にも物騒なものはあったが、相手を殺さない様に極力警棒だけで戦う様にしよう。
「ゾフィア様の敵に死を」
「ゾフィア様、ゾフィア様、ゾフィア様」
校舎からは聖地に侵入しようとする不届き者を粛正するため信者達が現れた。彼らは全員ぶつぶつと何かをうわ言の様に呟いている事から既に洗脳済みらしい。
「ガルルルル……」
当然洗脳には麻薬を用いているのだろう、ロッシーもまた歯を剥き出しにして激しく唸っている。こりゃ向こうが手加減してくれるなんて期待しないほうが良さそうだ
「そんなものでいいのかな。では私はこのライフルを使おう。ああ、ゴム弾だから安心してくれ。運が悪ければ死ぬかもしれないが」
「構いません。それくらいやらないと多分こっちが死ぬので。ミシェルは、」
「私はこの足で十分です」
「そうか」
頼りになるのはやはりプロのエージェントである紳士とミシェルだろう。プロ中のプロである二人は下っ端警官である俺なんかよりもずっと頼りになるはずだ。
「さて、それじゃあ僕は先に行くよ。行くよロッシー!」
「オウフ!」
「って真矢!? ったく!」
だが一番槍は最も戦力にならなそうな真矢とロッシーだった。彼女たちは自信ありげな様子で駆けだし、ロッシーがガブリと噛みついて怯ませている間に先に進んだ。肉体はニナなのであまり無茶をしないでほしいんだが、真矢にそんな事を言っても無駄か。
しかしロッシーの奴滅茶苦茶気合が入ってやがる。あんな機敏な動きをしているロッシーを見た事がない。やはり仇討ちが出来るから燃えているんだろうな。
競争するわけじゃないが流石に飼い犬に負けたくはない。俺は勢いよく三段警棒を振り信者の生徒達を撃退して先へと進んだ。




