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捏造探偵2~カラマーゾフの贖罪~正義と真実の狂信者【完結】  作者: 高山路麒


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2-18 絶望を食らう正義と好奇心

 第二の事件はさらに火に油を注ぐ事となり、マスコミはさらなるスクープを求めてメディアスクラムを組む。民衆もまた好奇心のままに探偵を気取り、あるいは正義の鉄槌を下す刑事としてこの凶悪事件の真実を追求した。


 そこに傷つき絶望している人間がいる事など、一切考えずに。


『深まる聖カラマーゾフ学園への疑惑』

『殺害された教頭は裏口入学に関与し、金銭や肉体関係を要求か』

『友達から聞いた話なんですけど、普通にあります。言えないだけで皆知ってると思います。まあタブーになっているっていうか、学校にいられなくなるっていうか』

『殺害された女子生徒に性的暴行を加える映像が流出』

『政治家や地元有力者への性接待』

『複数の人間が関与か』

『復旧されたデータからは緑川道雄を刺したと自供する朝霧芙蓉に暴行を加えている映像も』

『過去にも同様の事案が存在か』

『やっぱり井出桂里奈が教頭を殺して焼身自殺ショーをしたんだろうな』

『サプライズに屋上でキャンプファイヤーとかイミフ 他に可能性は考えられない 緑川道雄を刺した朝霧芙蓉も動画が流出したし』

『ってか金貰ってもあんな女とヤリたくない草 どういう性癖だよ草』

『殺人は許されない事です ですが同じ娘を持つ人間からすればはらわたが煮えくり返る思いです 彼女に寛大な処分を求めます そして関わった人間全てに罰が下されなければなりません』

『あの時もなんかいつの間にか教団の不祥事が無かった事にされた 何も解決していないのに だからマスコミはマスゴミなんて呼ばれるんだ』

『そのマスコミがグルだったから当たり前だろ テレビクルーは井出桂里奈の殺害に関与したわけだし ドン・キホーテ事件の時もあいつらは』

『今考えれば潰れかけの教団が持ち直したのはどう考えてもおかしい 学園が名門校になったのは金持ちや政治家に女をあてがっていたから 校長が何も知らない訳はない』

『責任を取るとかもうこれはそういうレベルじゃない 人が何人も死んでるんだ』

『スクープ 事件に関与した連中を特定 電話番号とか住所とかまとめてる まあ好きに使ってww』



 緑川道雄の死と流出した動画は学園に対する疑惑をさらに深め、虚実入り混じった報道はさらに過熱していく。


 正義と好奇心は絶望した少年少女の心を貪り食らう。子供たちがそのような底知れぬ悪意に耐えられるはずもなく、救いを求め慈悲深き闇に飲み込まれていく。


「なぁんも心配せんでええよ。うちに全部まかしとき」


 養護教諭の来島英理はかつて教団が使っていた施設に拠点を移し、俗世に疲れ果て逃げ出した迷える子羊達を女神の様な愛で受け入れる。


 だがそれはカウンセリングというにはほど遠く宗教以外の何物でもなかった。学園の生徒は奇妙な動きをして祈りを捧げ、神を演じる来島英理を崇め奉っていた。


 少年少女の前には怪しげな香りが漂うお茶がカップに満たされていた。子供たちはそのお茶を飲むと恍惚とした笑みへと変わり、白眼を剥いてよだれをだらんと垂らしてしまった。


「ゾフィア様、ゾフィア様」

「偉大なるゾフィア様」

「慈悲深きゾフィア様」

「私達をお導き下さい」

「私達をお救い下さい」

「うふふ、皆ホンマにええ子や。もう何も見んでええ。何も聞かんでええ。うちの言葉だけ聞いとけばええんや。みぃんな大好きやでぇ」


 来島英理はニタリと笑い忠誠を誓った信者に愛の言葉を囁いた。それは女神ではなく悪魔の笑顔にしか見えなかったが、救いを求める子供達からすれば些細な問題だった。

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