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深淵を覗くとき

作者: 角山亜衣

お立ち寄りいただき、ありがとうございます。

クトゥルフ系を意識してみました。

平凡な日常から突然迷い込む恐怖体験を感じて頂ければ幸いです。

北海道の静かな田舎町にひっそりと佇む図書館があった。

人口7千人を割ったこの町は、少子高齢化に伴う過疎化が止まらない。

それでも図書館を利用する町民は多い方だろう。

休日ともなれば、子どもたちが集い戯れる事もある。


初夏の穏やかな風が吹く朝、図書館の扉の鍵を開き、1人の中年男性が入っていった。

大塚守、41歳、独身。

10年ほど前、東京からこの町へ移住して図書館で司書を務めている。


東京では、いわゆるブラック企業に勤務していたが、心身を病んで退職。

心のケアを兼ねて図書館通いをしながら図書館司書の資格を取得した彼は、若い頃に訪れた縁もありこの町で働くことになった。


図書館を訪れる町民の中でも、田村夫妻には特に親しまれていた。

彼らは毎週のように図書館に訪れ、静かに本を選んでは、暖炉の前で読書に耽っていた。


この図書館は西洋の洋館を模して造られており、増改築が繰り返された今でも至る所にその名残りが見て取れる。

今は火が灯る事の無い暖炉もそのひとつだ。


暖炉の前で読書に耽る老夫婦の姿、窓の外には初夏の風景、

図書館の中は常に快適な温度と湿度が保たれ、ここに流れる静かな時間に、大塚は日々癒されていた。


午後になると利用者が増え、静かな喧騒が響き渡った。

学生たちは勉強に励み、高齢者たちは新聞を読んだり、雑誌を眺めたりして過ごしていた。

小学生が数人集まると元気さに歯止めが利かなくなる事も多々ある。

「しー!図書館では静かにねー!」見知った子たちに笑顔で注意を促する事も日常茶飯事だが、それすらも彼の心を癒してくれていた。


しかし、そんな平穏な日常に一石が投じられることになった。


図書館の一角から、大きなゲジゲジが這い出してきたのだ。

大塚はその姿を見るやいなや声にならない悲鳴を上げ硬直した。

東京で「G」といえば誰もが苦手な黒いヤツだろう。大塚もそうだった。

北海道に「G」は居ないと聞いて密かに安心していたのだが、北海道で出会った「G」は最恐だった。

東京の「G」とは比較にならない程の破壊力をもって大塚の精神を蝕んでくる。


凍り付く大塚の姿を見て「大塚さん、どうしたの?」と、田村夫人が心配そうに尋ねた。


「あ、いえ、なんでもありません。ただ、ゲジ……」大塚は上ずった声を詰まらせた。


大塚の視線の先を見て、事を察した田村夫人は「あらあら」と、冷静に掃除道具を取り出し、

慎重に「G」を捕まえて外に運んでくれた。

「はい、これで大丈夫」と優しい笑顔を向けてくれた夫人にお礼を述べて額の汗を拭う大塚だった。


夕暮れ時、初夏の日は長く、まだ明るいが閉館の時間を迎える。

扉の鍵を閉め、図書館の外観を眺めながら、こんな平穏な日々がずっと続いて欲しいと願った。


ある日、昨夜から降り続いた雨は激しさを増していた。

天候が悪い日に図書館を利用する人はほとんどいない。

田村夫婦もこんな激しい雨の日に訪れる事はなかった。


大塚はカウンターの椅子をリクライニングさせて、目の疲れを癒そうと瞼を閉じた。

激しい雨音が妙に心地よく、いつの間にか居眠りをはじめていた。


・・・

『・・塚くん、キミ、こんな事もまともにできないの?』

『この資料、明日の午前中に必要だから、それまでにまとめておいてね』

(え・・いまからですか?もう終電無くなる時間・・)

『じゃ急がなきゃ。タクシー代は出ないからね。俺が若い頃はさぁ~・・・』

『ええ!?そのくらいの事は自分で判断してくれなきゃ困るよ。何年やってるの?』

『大塚くん!これ、指示した内容と違うじゃない!?』

『勝手ない事されちゃ困るよ、大塚くん!』

『大塚くん!?』『おい大塚!』『大塚くんさ~・・』

・・・!?

体を激しく痙攣させて目が覚めた。


(はぁ、はぁ、はぁ、、)


今でもブラック企業に勤めていた頃の悪夢にうなされる事があった。

辺りを見渡し、現状を思い出すまでに若干の間を要した。


「だーかーらー!お前ぇはいっつも詰めが甘ぇんだよ!」

「しょーがないでしょー!何年も前の残滓なんだからぁー・・」

「二人とも静かにしないか。ここは図書館だぞ。」

「ぁあ?俺らの他に誰もいねぇじゃんよ。一人で良い子ぶってんじゃねーよ。」


書棚が並ぶ奥から、数人が言い争うような喧騒が聞こえてきた。

大塚は様子を確認すべく奥へ向かいながら、館内を見渡した。

確かに、他に利用者は居ないようだった。


そこには若い男女の3人組が居た。


「どうかされましたか?」大塚は「優しい笑顔」を心がけ、静かに問い掛けてみた。


すると3人組の中で一番落ち着いた雰囲気の男性が立ち上がった。


「すみません。騒がしかったでしょうか。ちょっと調べモノがあってこの町に来たのですが、この雨では思うように動けず、ここには一時避難的な感じでお邪魔しておりました。」


「ああ~、今日は凄い雨ですものね。構いませんよ。ゆっくりしていってください。他のお客様は居ないようですが、極力お静かに、ね。」

と大塚が応えると、若者は深々と頭を下げた。


それを見た後ろの2人も、申し訳程度に頭を下げたり顎を突き出したりしていた。


「あ、おじさん、ここの職員ですよね?」と元気な女性が手を挙げながら質問した。


「ええ、ここで司書やってます。」


「えっとー、ちょっと訊きたいんだけどー、ええっとー・・」女性は質問の内容を頭の中で整理しながら言葉を選ぼうとしていた。


「お探しの書籍があるようでしたら、内容を仰って頂ければ御力になれるかもしれません。」


「いやいや、そうじゃなくってー」


それまで座っていた男性が、しびれを切らせたように椅子の上で膝立ちになりながら割り込んだ。

「最近、この町で行方不明になった人がいたりしないっすか?」

「っあーっと、そう、それ!最近っていうか、ここ数年?とかで。」


予想外の質問に理解が追い付かない大塚はオオム返ししながら内容を整理した。


「私がこの町に来て10年ほど経ちますが、行方不明的な話は聞いた事が無いですねぇ。とはいえ、それほど町内の情報に長けているワケでもないので、何とも・・。」

大塚は答えながら彼ら3人の素性が気になり始めた。


「あの、あなた方はー・・」


「失礼しました。私たちは探偵、みたいな感じで、全国を渡り歩きながら困っている人を助け歩くような事をやっております。」

礼儀正しい若者が割って入ったが、どうにも歯切れの悪い説明だった。


そうこうしているうちに雨も上がり、窓からは陽の光が差し込みだした。


「お!雨上がったっすね!ほんじゃ、町の方を調べてみっか」椅子の上で膝立ちしていた若者が出口へ向かい始める。

「あ、待って!」と、女性が後を追って走り出す。


「お騒がせしました。もし、何か思い当たる事があったら連絡を頂けますか?私たちはしばらくこの町に滞在するので。」と、礼儀正しい若者は、名刺を宿の荷物の方に入れっぱなしだったからと、携帯番号が書かれた手書きのメモを大塚に手渡した。


図書館を後にする彼らを見送る大塚の耳に「あるとしたらこの周辺」という言葉が微かに聞こえてきた。

それは妙に印象的に耳に残った。


翌日、水溜まりもすっかり消えて快晴。

図書館はいつもの「賑わい」だった。

田村夫婦も、定位置で談笑したり読書に耽っている。


ふと昨日の3人組の事を思い出した大塚は、田村夫婦に訊いてみた。

「田村さん、突然こんな話であれですけど、この町で行方不明の事件とかってありましたっけ?ここ最近らしいんですけど・・」


行方不明?と少し間があって「ほら、あれ・・もう随分前のー・・ねぇ。」

夫婦には思い当たる事件があるらしい。大塚は田村夫婦が思い出すのを待った。


「んー・・40年・・50年前だったかね、集団失踪事件ってのがあったのよ。」

思いがけず、半世紀も前の話が出てきた。大塚が産れるよりも前の話だ。

「あー、あったあった。新聞にも出よったねぇ。謎の集団失踪ってゆって話題になったわい。」

「当時の、ここの館長さんも居なくなったのよねぇ。」

「1人だけ帰ってきた者もいたけど、病院に入ったまま・・どうなったかねぇ。」

夫婦は当時の記憶を呼び起こし、大塚に色々と教えてくれた。


大塚は、図書館に保管されている40年以上前の新聞から、集団失踪事件について書かれている記事を探してみた。

閉館後に記事を探す事が日課になりつつあった。


平穏な日々に満足していた大塚だったが、何かが始まろうとしている不思議な感覚に高揚し、その扉を開けた先にある真実に対する好奇心に突き動かされていたのだ。


数日後、ついにその記事に辿り着いた。

46年前の新聞だった。


『謎の集団失踪事件、全国を震撼させる!

北海道の霜降町にて、謎の集団失踪事件が発生し、町民を驚かせている。

50人近くの町民が一斉に行方不明となった。

警察当局は事件と事故の両面から調査中であるが現在のところ有力な目撃情報も無く、捜査は難航。

地元住民は混乱と不安に包まれている。

失踪した者たちは20代から30代の若者が多いが、独り暮らしで行方が分からなくなっている町民を含めると、失踪者の数はまだ増える可能性がある。

今後の捜査の行方が注目されるなか、失踪した町民たちの安全な帰還を願う声が各地から上がっている。事件の真相解明に向け、警察当局の努力と地域の結束が試される時となっている。』


そこから連日、捜査状況だったり家族の声が記事になっていたが、何の手掛かりも掴めないまま次第にフェードアウトしていった。

生存者が保護されたらしい記事は見つけられなかった。


あの3人組が探していた行方不明事件は、46年も前だが確かに起こっていたのだ。

3人組の事が頭を過った瞬間、大塚は彼女の言葉を思い出した。


『あるとしたらこの周辺』


何が『ある』というのだろうか。

『この周辺』に50人ちかくの人たちの遺体が隠されているとか?

大塚はブルっと身震いして図書館の中を見渡しながら、壁や床に不審な点が無いか、注意深く観察した。


(そういえば・・)


図書館には古い書物を保管する地下室がある事を思い出した。

いかにも何かありそうな雰囲気だが『地下室』といっても1階と同じくらいの広さがある。

古い書棚がずらりと並び、整理されないままの蔵書で埋め尽くされていた。


何かがあるとすれば、さらに階下に隠された部屋があるとか、壁に隠し扉があるとか・・と、

ある壁に目をやった瞬間、大塚は心臓がドクンと大きく脈を打つ衝撃を覚えた。


僅かに他と違う壁がある。


その壁の前には床に直置きされた蔵書の山があった。

大塚は慎重に蔵書を移動させた。


ここまでやっておいて、大塚は半信半疑で全体が露わになった壁を注意深く調べた。


(この壁の向うに失踪した人たちが・・いやいや・・まさか、そんな事はあり得ないだろう・・)


少し力を込めて押してみた。

すると、若干抵抗があったが数十センチほど壁全体が奥へめり込んだ。

そのあとは大した力は必要とせず、すーっと横へスライドさせる事ができた。


スンッと漂ってくるカビのような臭い。

大塚はポケットからハンカチを取り出して口元を押さえ、スマートフォンのライトを点灯させた。


隠し部屋は相当な広さがあるようで、部屋の奥までライトの光が届かない。

隠し部屋に足を踏み入れ左右の壁を確認するが、電気のスイッチらしきものは見つけられなかった。


一旦冷静さを取り戻した大塚は、あの3人に連絡を入れてみる事にした。

彼らから貰ったメモは、カウンターに置きっぱなしのはずだ。


あの暗闇の奥に、失踪者達のミイラ化した遺体が並んでいるのかもしれない。

そんな想像を膨らませながらカウンターに戻った大塚は、3人組の番号をプッシュする。


・・・留守番電話サービスに繋がったようだ。

大塚は、46年も前に集団失踪事件があった事と、図書館の地下で怪しげな隠し部屋を見つけた事を口早に録音した。

電話を切った後、カウンターに備え付けてあった大きな懐中電灯を手に地下室へと降りて行った。


本来であれば、警察にも連絡する必要があるのかもしれないが、まだ決定的な何かを見つけたワケではない。

確かめなければ・・・。

大塚は謎の義務感に押され、地下の隠し部屋へと戻ってきた。


懐中電灯の灯りを照らすと、想像していたよりもずっと狭い事がわかった。

そこには失踪者達のミイラ化した遺体も無く、部屋の奥には小さな本棚と無造作に置かれた書籍が何冊か、そして床も含めてそれら全てを覆う何十年分かのホコリだけがあった。


拍子抜けした大塚は、さらに奥へと続く隠し扉が無いか入念に調べた。

他にも隠し部屋が無いか、地下室の壁をぐるりと回って調べたが、結局何も見つからなかった。


(現実とはこんなものか・・)


丁度良い高さに積まれた蔵書に腰掛けながら落胆した大塚の目に、掃除道具が映る。

大塚は最後の望みを託し、隠し部屋の床に積もったホコリを払いのけてみる事にした。


さらに地下へと続く階段が隠されているかもしれない。


部屋の中央に差し掛かった辺りで、床の異変に気付いた。

薄っすらとではあるが、何かが描かれているような模様がある。


模様に沿ってホコリを払いのけていくと、それは大きな円形をしている事が想像できた。

魔法陣というヤツかもしれない。

大塚の想像どおり魔法陣だった。それは部屋の中央からほぼ部屋全体に広がっていた。


そうして見ると隠し部屋の奥にあった本棚は祭壇に見えなくもない。

そこに置かれていた本を手にとってみた。


見た事のない言語で書かれたそれは、もしかしたら黒魔術に使う経典なのかもしれない。


本を棚に戻した時、視界の端で何かが蠢くのが見えた。

直感的に、それは「G」であると察した。しかも特大なヤツだ。


大塚は反射的に声にならない悲鳴を上げて飛び退いた。

文字通り「飛び退いた」先には魔法陣が描かれた床がある・・はずだった。


大塚は、飛び退いた先で着地する事は無く、青白い光に包まれて落ちていくのを感じた。

目を開けていられないほどの眩しさが数秒続いたかと思うと、

ふっと弱くなり、体が地面に叩きつけられるような感覚を覚えた。

しかし痛みは無かった。


ゆっくりと目を開いてみると、うすら明るい森の中に居た。

辺りはには霧が立ち込めている。


(気絶して・・夢でも見ているのか?)


ワケも解らず歩き回るのは危険かもしれないが夢ならば・・と、歩き出した。

シンと静まり返った森は、鳥のさえずりも何も聴こえない、霧と静寂に包まれていた。


どれだけ歩いただろうか。

微かに、人の話し声のようなものが聞こえた気がした。


大塚は恐る恐る声のする方へと向かった。

巨木に身を隠すようにして向うを覗き見ると、しゃがみ込んでいる人が見えた。


人に会えた事に安堵して声を掛けようとしたその時、大塚が見ていたそれは人ではない異形の生物だという事に気付いた。

大塚はぎょっとしながらも注意深く観察した。

人間のような四肢があるが、それらの末端は細かい触手に枝分かれしていた。

頭部は異様に長い首の先に付いており、大きく縦に割れた裂け目から無数の管が伸び、

ニョロニョロと蠢く触手で捉えたウサギのような生物に突き刺さっている。

どうやらその異形の生物は食事中だったようだ。


大塚は物音を立てないように細心の注意を払いながら、その場を後にした。

これが夢なのだとしたら、目覚めるにはどうすれば良いのだろうか。


再び彷徨いだした大塚が大きな岩に手をついた時、彼はまた声にならない悲鳴を上げる事になる。

自分の指に巨大な「G」が纏わりついているではないか。

大塚は手首が千切れそうな勢いで腕をぶん回したが、次の瞬間、彼は自身に起こっている事態を把握した。


「G」は指に纏わりついているのではなく、指が「G」へと変貌していっているのだと。


指の関節はいくつもの節となり、指の側面からはウゾウゾとした足が這えて好き勝手に蠢いている。

「G」の浸食は全ての指へと広がり、やがて腕そのものが変貌していく。


大塚はその様を静かに眺めつつも、その精神は耐えきれず、何かがプツリと切れる音を聞いた。

表情は緩み切り狂気じみた笑みを浮かべながら、意識を失って倒れ込んだ。


(激しい雨音が聞こえる・・)


「だーかーらー!お前ぇはいっつも詰めが甘ぇから・・」

「しょーがないでしょー!40年以上前の残滓なんだからぁー・・」

「二人とも静かにしないか。ここは図書館だぞ。」

「ぁあ?まぁだ開店前だろうがよ!」


(聞き覚えのある声がする・・)


大塚は忘れていた呼吸を思い出したかのように大きく激しく息を吸い込みながら目覚めた。


「お・・・戻った」


(こ・こ・は・・・)

大塚は図書館の長いすに寝かされていた。

少しずつ意識が戻ってくる。


はっとして両手を確認する。


(・・・ははっ・・・やっぱり夢か・・・)


「大丈夫・・ですか?ここが何処で、自分が誰だか、解りますか?」


「あ・・あぁ。私は・・大塚守。ここは勤め先の図書館だね?」


「大丈夫みたい、ね。」


「・・・地下室・・・そうだ!私は地下の隠し部屋で・・・」

思い出しかけて意識が遠のきそうになる。


「あー、まだ無理しない方が良いですよ。ゆっくり、現実に戻ってきてください。」


「キミ・・たちは・・?」


「話せば長くなるので手短に言うと、あなたが地下の隠し部屋で見つけた魔法陣・・。あれを探し出し封印している者・・です。」


「あれはいったい・・?」


男性は若干考え込むように目を閉じたあと、真剣な眼差しを大塚に向けて語り始めた。

「この世界と対を成すように存在していると言われる裏世界というのがあってですね、あの魔法陣は、この世界と裏世界の狭間に位置する世界への入り口なのです。

魔法陣を通して、まず意識が狭間の世界へと引き込まれます。霧が・・立ち込めていたでしょう。

その先へ進み過ぎると、やがて肉体も持っていかれます。

そうなれば、恐らく戻ってくる事はできなかったでしょう。

あなたは運が・・良かったのです。」


大塚は都市伝説や映画のストーリーを聞かされている感覚を覚えながらも、自身が体験した事象を踏まえて現実として飲み込むように努力した。


「ま、信じるか信じないかはー・・ってね!」

ちょっと落ち着きがなさそうな男性が冗談めかして締めくくろうとしていた。


「申し遅れましたが、我々はこういう者です。」


そういって差し出された名刺には、こう書かれていた。



深淵探偵社 代表代理 桜木祐輔


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

思い付きで書き上げてみましたが、深淵探偵シリーズとして連載にしてみたくもなりました。

いずれまたどこかで・・・。

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