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2分後に感動の結末  作者: 佐和多 奏
9/9

 進公学ゼミナール。

 正直、誰でも入れるような集団塾。

 その中でも、成績がいい人は、地区トップの高校に進学をすることができる。

 おれは、今、中二で、この塾に通い始めてから三か月くらいが経つ。

 正直、自分はこの塾に通いたくはなかった。

 というか、塾に通いたくなかった。

 でも、親の計らいで、塾に通うことになった。

 そんなおれに、気になる先輩がいて。

 その先輩は、花井先輩っていうんだけど、容姿が端麗で、勉強もできて、めちゃくちゃすごい人。

 そんな先輩が、今受けようとしている高校が、地域で二番目に頭のいい、西成高校。

 理由は、「駅から近いから」らしい。

 それだけでも、結構かっこいいなって思ったりする。

 おれは内申30くらいしかなくて、全然そんな高校届くとも思えないような成績で。

 だからこそ、そんな先輩を尊敬している。

 塾に入ると、少しだけ、病院のようなにおいがして。

 踊り場に花井先輩がいる。

「花井先輩」

「おお、透。どうした」

「先輩、最近成績どうですか?」

「ああ、そんなことか。成績は、自信があるよ」

「そうですか、うらやましいです。僕なんて、西成高校なんて、受かるはずがないって思っていますから。」

 先輩は、窓の外の夜空を見上げた。

「そんなもんだよ、勉強なんて」

 そう言うと、教室に戻った。

 いつも通りに、授業が始まった。


 一年後。

 先輩は、無事に、西成高校に入ることができた。

 おれは、先輩と連絡先を交換していたから、先輩と連絡を取ることができた。

 先輩は、「余裕だよ」という。

 おれは。

 先輩に少しでも近づきたくて、西成高校に入るために、めちゃくちゃ勉強した。


「先輩。」

「おお、冬香。」

 冬香は、おれの後輩。

「先輩、西成高校を受けようとしているんですね。」

「そうだよ。」

「すごいですね。」

「一年めちゃくちゃ勉強したから、余裕かな。」

 三年生になって、受験生になって、結構余裕になってきた。



 おれは、西成高校に入った。


「花井先輩!」

「透、なんで、この高校に入ってきたの」

「え」

 おれは、その言葉の意味を、のちに知ることになる。

 その高校はブラックで、課題がめちゃくちゃ多くて。

 おれは、最初のテストで順位ビリを取った。


 そして。


 おれは。

 冬香に。

 「成績は好調だよ。」


 と。


 嘘をついた。


 一年後。


 冬香は、この高校に入ってきた。


 冬香は言った。

「先輩、先輩を追いかけてここまで来ました!」


 おれは言ってしまった。

「なんでここに来たんだよ。この高校は、マジでブラックなんだぞ。」


「先輩!」


「何?」


「ブラックでも、やり切ればいいじゃないですか!」


「おれは、この高校でビリを取ったんだぞ」


「じゃあ、一位を目指しましょう!」


「は?」





「やってみなきゃ、わからないですよ!努力をしなければ、報われるか報われないかなんて、わからないですよ!」



「そっか」



 そして、おれは、一位を取った。

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