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第五話 『ほら喜べ変態。女の子の股間だぞ味わって死ね』


 冒険者登録を終え、いったん屋敷に帰宅する。

 長い帰路を歩いて屋敷につく頃には、日の光はとっくに地平線の下だった。

 屋敷に帰宅するや否や「体が埃っぽいです」とトモエに言われ、問答無用で風呂に連れられ入浴し、上がる頃には「メルナ様、夕飯の準備が整いました」と見計らったかの様にダイニングに連れていかれ夕食になる。

 

 おい、ちょっと待てと言いたい。

 君ら、そんなに優秀ならこんな所に左遷される事も無かっただろう。

 私の認識では、少なくとも実家の屋敷に居た頃は何をやるにしても平凡以下の才能の筈で、こんな一流のメイド達ではなかった筈だよね。

 君らに一体なにがあったの?


 私の疑問なんて気にした様子もなさそうに、各自やるべき事をやっていくメイド達。

 ちなみに夕食の味は、この国随一の一流シェフが作ったかの様な味だった。

 そんなこんなで夕食を終え、ネグリジェを着てベッドへダイブ。

 今日は初めての散歩、初めての買い物、初めての冒険者登録に、初めて自分が人間じゃなかったと知ったことなど、色々な事がありすぎた。

 いや、人間じゃなかったって意味不明だよ。

 あの嫌味な家族はまぎれもなく人間だし、その家族である私も人間だと思っていた。

 ところが、そうじゃなかったらようだ。


 もう今日は考えないでおこう。

 イベントてんこ盛りの一日の疲れを奪い去るかの様なベッドの温もりは、私から意識を手放させるには十分な破壊力だった。



○○



 ダイニングテーブルの椅子に座って朝食を摂り、何もやることがなくなったのでトモエに言う。


「私、ちょっと冒険者ギルドに行ってくるから」

「冒険者ギルド…… ですか?」

「そう、冒険者ギルド。魔物討伐とか採取クエストとか、暇つぶしにはもってこいじゃない?」

「左様ですか」


 せっかく冒険者ギルドに登録したのだ。

 楽しそうな事しないともったいない。

 自分の寝室に戻り、メイド達に部屋用の服から外出用の服に着せ替えられ、姿見を見る。

 白い下地のシャツに、フリルのついた紺色のスカート、ヒールの少し低いブーツを履いた格好の、ウェーブのかかった桃色ロングヘアをした桃色の瞳の、いつもの美少女が映る。

 相変わらず、この美少女が私って信じられないよ。

 

 屋敷を出て、町に向かう。

 相変わらず老人しか居ない噴水広場を通り過ぎ、冒険者ギルドに到着した。

 中に入り、カウンターに居るミフィリアに向かう。

 ミフィリアは相変わらず老人達に大人気のようだ。

 今は老婆に絡まれている。


「これ飴ちゃんだぇ、ミフィリアちゃんは将来どんな素敵な人と出会うのかねぇ」

「あ、ありがとうございます。そうですね、素敵な人と出会いたいですね」

「あらぁ、わたしゃもう長くないからねぇ、天国行っても旦那と応援するさねぇ」

「あはは……」


 そんな老婆は私を見ては「ミフィリアちゃんや、お仕事がんばってねぇ」と言いながらカウンターから去っていく。

 

「ごきげんよう、ミフィリアさん。今日も大人気ですね」

「ええ、ほんとにです今日はいかがなされましたか」

「せっかく冒険者登録したのですから、依頼でもやってみようと思いまして」

「なるほど、そういう事ですか」


 そう言うとミフィリアはカウンターの下から数枚の紙を出す。

 様々な内容が書かれたそれらは、どうやら依頼が書かれたクエストらしい。


「こちらが、軽くこなせる貴族用に取り置きされた依頼ですね」

「よく私が貴族だってわかりましたね」

「いや、その姿見ればわかりますって」


 そう言ってヤレヤレと言わんばかりに肩を落とすミフィリア。

 私、そんなに目立つ格好しているだろうか。

 すごく疑問だが、それはさておき目の前の依頼書を見る。

 キュア草を五本の採取に、ゲドク草を五本の採取、それにホーンラビット三匹の捕獲など、簡単そうな依頼が沢山だ。

 にしても、ホーンラビットを捕獲ね。

 よくある異世界ものでは討伐されてる印象のあるホーンラビットだが、この世界では討伐じゃなく捕獲らしい。

 よし、これにしよう。


「ホーンラビット三匹の捕獲ですね。こちらがホーンラビットを模した絵です。この魔物を捕獲してきてください。怪我をすることはそうそう無いでしょうが、ホーンラビットには角があるので注意してください」

「分かったわ、ところでどのようにして持ってくればいいの?縄に縛り付けるの? それとも袋詰め?」

「生かして連れてこれるのなら、どの様にしても構いません」


 なるほど、生きて連れてこられたら方法はなんでもいいらしい。

 

「分かったわ。じゃあ、頑丈な袋を買いに行かないとね」

「そうですね。気を付けて行ってらっしゃいませ。」

「ええ、行ってきます」


 そうミフィリアに言い、冒険者ギルドを出た。



○○



 町からそれなりに離れた草原で、巨大な美少女であるメルナは立っていた。

 ここは町からだいぶ離れた上に、森や丘を隔てた位置にあるため、町の人々に気が付かれる事は無い。

 

「で、ホーンラビットとやらを探さないとね」


 そう言うとメルナは下に広がる景色を見渡す。

 すべてがミニチュアの世界で木々を踏み潰し仁王立ちで辺りを見渡すその姿は、まさしく降り立つ巨大な女神の姿だ。

 しばらく辺りを見渡していたメルナだったが、遠くのほうの森の境目近くでホーンラビットらしき輪郭を見つけ、その小さなミニチュアの世界を踏み歩く。


ズウゥゥゥン! グチャ!


 メルナに気が疲れなかった哀れな小さき者たちは、ただただ何の意味もなく虐殺され蹂躙されていく。


「コケェェエ!!!コケ――」

「バウッ!バウッ!バウ――」

「ピピピピヨヨヨッ!ピヨ――」


ズウゥゥゥン! グシャブチャ!ブチュ!

 

「ヒィヒィィィン!ヒィヒ――」

「ギャオ!ギャオギャオ!ギャ――」

「シャアアアア!シャアアア――」


ズウゥゥゥン! ブチュ!ブチャプチッ!


 メルナの足元で、無意味に、雑に命が消費されていく。

 様々な魔物たちが悲鳴を上げ逃げ惑い、それを容赦なく踏み潰すメルナ。

 メルナが通った後に残るのは、巨大な足跡と、その中で張り付く無数の血と肉塊。

 自身が起こしている足元の大虐殺に一切気が付かないメルナは、目的の森の境目まで来た。

 メルナは屈む。

 巨大な体が沈み込み、スカートが地面を覆った。

 足元にいる沢山のホーンラビットを見つけ、喜ぶメルナ。

 真っ白なウサギに角が生えた姿のホーンラビットは、ただ何もせずメルナを見ている。


「こいつらがホーンラビットね。こんなに小さくてもカワイイじゃない」


 本来危険を察知したら一目散に逃げるホーンラビットだが、目の前の圧倒的な強者を前に怯え動くこともままならない。

 恐怖で体をこわばらせる事しかできない無抵抗なホーンラビット達を、メルナは鼻歌交じりで摘まんでは小さな袋に詰めていく。

 一通り終えたメルナ。

 だが突如、下着越しで股間に何か感触を感じ取り、淫らな声が出てしまった。


「んうっ!! な、なに……?」


 メルナがスカートをまくると、中に居たのはファンタジーでよく見る一匹のゴブリン。

 ゴブリンは怯えた表情で必死にメルナの真っ白なショーツの股間に向かって石を投げていた。

 そんなゴブリンを冷めた目で見るメルナ。


「き、きききっっっしょお!何このヘンタイ……!!」


 そんな言葉に反応しゴブリンが顔を上げた。

 

「すっごい間抜けズラ。……そんなに女の子の股間が好きなら、存っ分に味わいなさい!」


 そう言うとメルナはその場で女の子座りをする。

 メルナの真っ白なショーツに包まれた股間が、ゴブリンを覆い跨った。


ドッズゥゥゥン! むぎゅ!

「ムゴゴゴゴゴッ」

 

 ショーツに包まれた股間で地面に押さえつけられるゴブリン。

 ゴブリンは自身を圧殺しようと迫りくるメルナの股間を必死に叩く。

 ショーツ越しに股間を刺激するゴブリンの感触に、メルナは思わず淫らな声を出した。


「んあっ! ……ちょっとは楽しませてくれるわね」


 メルナはそう言うと、グリグリとゴブリンを更に押し付ける。


ずりっずりっ! パキッパキポキッ!

「ンギャアアアアアアア!」


 万力の如き力で圧迫されるゴブリン。

 真っ白なショーツに包まれた巨大な股間がズリズリとゴブリンを摩擦し、その膨大な質量の暴力にゴブリン如きが耐えられるはずもなく、ゴブリンの体から何かが折れる音が響き渡る。

 ゴブリンは泣いて許しを請う様に絶叫する事しかできない。

 その必死の絶叫を止めるかの様に、メルナは少し前かがみになってゴブリンの口を覆った。


「うっさい!」


 ゴブリンはメルナに口ごとショーツの股間に覆われ、窒息する息苦しさと全身の激痛に、もだえ苦しみ暴れまわる。

 その必死な反応に、メルナは嬌声と共に力加減を狂わせ、地面と股間を完全に接地させてしまった。


「あんんっ!」


ズンッ!

「ムグググ――」グチャ


 あ、とメルナが気が付いた頃には、股間をたたく感触は無くなっていた。

 

「あーあ…… せっかくイイ所だったのに」


 もどかしそうにメルナは立ち上がり、脇に置いていたホーンラビットが入った袋をつまんで歩き出す。

 後に残ったのは、凹んだ地面にプレス機で潰されたかのようなゴブリンの死骸だけだった。



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