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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、夏休み
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48話 研修旅行二日目 青年の家でのレクリエーション 2

二週間空けてすみません……。

 まず右京達は地図を見て、一番近くのチェックポイントを回ることにした。

 恐らくは他のどのグループも同じように考えているようで、皆同じ方向に流れていく。


 ものの数分でそこに着くと、長い列を作って生徒たちが並んでいた。


「やっぱここだよな最初は」

「まぁ近いからな」

「そりゃそうなるよ」


 漣が列を眺めながらそう言うのに、右京と天翼が頷いて返した。

 右京は長い列を見て、うげっと顔を顰めていたが、結局並んでいた。

 その間、六人は皆で地図を覗き込んでいた。


「ここって、明らかに山登るよね」

「森突っ込んでるじゃん!」

「え、なになに?! 山登り?! めっちゃ楽しそう!」

「あぁ……清那は体力バカで良いな」


 右京が呆れたような眼差しで、山に行けるのを喜ぶ清那を見つめた。

 清那は右京のガンを飛ばしたが、右京は知らぬ顔だ。


「まぁ清那ちゃんは野生児だから」

「私をなんだとおもってるの?!」

「「体力ばか」」「野生児」「王子様?」「男子にモテず女子からモテる人?」


 清那からの怒号に、右京と漣はあっさりと、天翼は笑顔のまま、陽色と日奈は首を傾げ疑問形で応えていた。

 特に日奈からの言葉が刺さったのか、清那は自分の両手で顔を覆っていた。


「そうだよ! 男子からモテないよ! いいよね、日奈ちゃんはモテてて!」


 日奈を恨みがましく清那は睨んだ。日奈は苦笑いで両手を振る。


「いやいや、そんなにモテてないわよ」

「いや、そんなことあるもん!」


 否定する日奈に、清那は肩を掴んで揺さぶった。頭をがくがくと揺らされているせいか、段々と目が回ってきたようで、動きが止まった時にはすっかり気分が悪そうだった。

 それに苛ついたのか、日奈は頬をピクつかせながら口を開いた。


「別にいいじゃない! 清那さんには天翼くんがいるでしょ!」


 鋭い切り返しに、清那はうぐっと言葉に詰まったようだったが、ふと思い返すように首を傾げた。


「あれ? 別に天翼と私付き合ってないよ?」

「へ〜……じゃあ天翼くんが誰かの彼氏になってもいいんでしょ?」

「それは……ダメだよ!」


 日奈からの煽るような質問に、清那は両腕でバツを作って答えた。

 天翼は阿呆らしくなったらしく、右京達と前を向いて話していたが、清那のこの反応でぐりっと顔を向けた。


 清那は天翼の行動に気付く事なく、首を振って言葉を続けた。


「ダメダメ! 私と遊べなくなっちゃうじゃん!」


 そう言うと、頬を膨らませていた。

 日奈は肩透かしを食らったように、身体をガクッと下に下げていた。

 天翼は静かに元の方向を向き、無表情を保っていた。横にいる漣からは、憐れみの肩叩きを食らっていた。


 そんな風に話す六人に、先生がポツリと言葉を洩らしていた。


「あの〜、そこの君達。もう君らの順番だけど……」


 その声で元の目的を呼び戻されたのか、六人は急いで先生の机へ向かったのだった。


 先生は申し訳無さそうにプリントを差し出す右京を見て、先生はその腕を叩きながら笑った。


「別にそんなに気にしてないわよ。私がさっさと戻りたいだけだから」

「いや、先生がそんなことを言っちゃダメでしょ」

「よく考えてごらんなさい。この炎天下の中、ここに座りっぱなしなのよ? クーラーの効いた部屋の方が誰だっていいでしょうが!」


 漣の呆れた様子のツッコミに、先生は気にせず言い返しプリントにスタンプを押していた。

 この学校にはやる気のない先生しかいないのかと漣は肩を竦めていた。


 先生から右京はプリントを受け取ると、軽く会釈して歩いて行った。

 他の五人もそれに続くように追い掛けた。


 何処か動きが固いような気がした陽色は、右京の背中を追い越して顔を覗き見た。


 右京の顔は、この猛暑の中にしては青いような気がしたが、別段気に留める程ではなかった。


 陽色はただ問い掛ける。


「大丈夫ですか?」


 右京は笑って答える。


「大丈夫だ」


 なんとなく、それは終業式の日の保健室で見たあの笑顔に似ているような気がした。


 漣はその後ろで目を伏せる。口元だけの笑みを浮かべていたが、次の瞬間には普通に皆と話していた。

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