47話 研修旅行二日目 青年の家でのレクリエーション
「お、お前ら結局おんなじグループになんのか?」
柳田がいつの間にか下に降りてきていたのか、皆で話していた右京達にそう声を掛けた。
右京はゆっくりと振り向き、頷きを返した。
「あぁ……そうだが? 文句でも?」
「なんでそんな喧嘩腰なんだよ……。俺教師だぞ?」
「教師を名乗るなら教師してから言ってくれ」
「してるだろうがよぉぉぉぉ!!!」
酷い言われように、柳田は右京に涙目で叫んだ。そんな柳田に、冷え切った視線を右京は送った。
「まったく……ここの生徒は教師を敬う心がないのか?」
「教師は敬うぞ、もちろん」
「俺が教師じゃないってか?」
「逆に?」
「あぁ……うん。もう良いや。」
右京から驚いたような反応を返され、柳田は項垂れながら去って行った。
その背中を見送りながら、右京はぼそっと呟いた。
「なにあれ?」
「さぁ……柳田だからね」
「あいつ、俺がバイトの申請出した時、生徒指導の先生を説得してくれたんだけどな」
「え、マジ? あんなダルそうにしてんのに?」
「そう」
「不思議なこともあったもんだなぁ」
「本当にな」
漣と右京は沁み沁みとそう呟くと、頷きあったのだった。
陽色がそんな二人に不思議そうな顔をしながら近寄った。
「どうかしたんですか?」
「いや、別に。大したことじゃねえよ」
「そうですか!」
右京が適当に返答すると、陽色は頬を膨らませながらそっぽを向いた。
陽色の様子を訝しげに右京は見た。
「なんだよ……」
「別に……?」
陽色は拗ねた様な反応を返して、いかにも機嫌が悪そうな態度であった。
「えー……何? 急にどうした」
「べっつにぃ〜!」
右京の混乱した顔に、陽色は腕を組んで明後日の方向を向いた。
そんな様子の二人を見て、漣は笑った。
「あぁ、そういうことね」
「どういうことだよ」
「いや要するに、右京が適当に返してまともに教えてくれなかったからじゃないの?」
「本当に大したことじゃないのに?」
「陽色ちゃんにとってはそれが大きいんじゃないの?」
漣から飛んできた援護の矢に、右京は心底分からないといった顔で首を捻った。
「そんなにか?」
「気になりますとも。だって、右京くんはそういうこと隠しそうじゃないですか」
「あ〜、確かに。分かるかもな」
「右京は割と自分の気持ち隠すよね」
陽色が右京の疑問に力強く頷きながら答えると、天翼と清那がそれに同意した。
そんな頷き合う三人に、右京はよく分からず唸りながら腕を組んだ。
「う〜ん……よく分からないわ」
「まぁ自分のことだからね。そんなものだよ」
右京の感想に、天翼は笑いながら励ました。
そうこう話していると、壇上で柳田が話し始めた。
『え〜……五分経ったので、大体決まっただろ? それじゃあ開始するから、体育館から出る時に出入り口にいる原先生にグループのメンバーを書いて、プリント貰ってください。あとは自由にやれ! 以上!』
柳田はそう言うと、生徒に出ていくよう出口を指差して誘導した。
そんな先生にやれやれと溜息を吐きながら生徒たちは移動した。
その流れに従うように、六人も移動を始めた。
「チェックポイントを回れって言われたけど、場所分かる?」
「そういうのが全部プリントに書いてあるんじゃないか?」
「あぁ、そういう感じなの」
「厄介な……。ていうかなんで柳田はそういうのを説明しないんだよ!」
「あの人だから……」
「そういうのも含めて楽しめ、的な感じじゃないですか?」
各々適当に話しながら、先生から渡されたプリントに自分の名前を書き込む。
最後に名前を書き込んだ漣が、皆に尋ねた。
「グループ名どうする?」
「王子様で」
「おっけ」
「おい!」
清那からの素早い返答に、漣は頷きながらさっさと書き込んで提出した。あまりの速さに、右京はツッコむことしか出来なかった。
皆で外に出ると、やはり自然の多さに驚いた。
一面緑だった。
一度深呼吸を挟んで、再び六人はプリントを覗き込んで話し合い始めた。
「これって地図か」
「この星マークがチェックポイントって書いてあるね」
「じゃあここを回れってことか」
「スマホは使うなって……地図だけで辿り着けってことなのね」
「うへー、エゲツナイね」
「そうかな? 割と普通だと思うけど」
各々、会話を交わし、取り敢えず動くことを決めたのだった。
レクリエーションは長くなりそうだと、右京は思った。




