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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、1学期
4/57

4話 あれが出来る!

 なんだかんだで数日後、普通に陽色は右京と話せるようになっていた。陽色は周囲から非常に羨望の眼差しで見られている。なぜならば、基本的には、女子と全く話そうとしなかった王子様が、女子と普通に話しているのだ。

 「え? なんで私、こんな見られてるんですか?」

 「陽色ちゃん……、よくよく考えてみて。女子と一ミリも喋ろうとしなかったあの右京が、女子である陽色ちゃんと普通に話してるんだよ? そりゃ見ちゃうよね」

 「あっ……。そういえば、右京くんは女嫌いでしたね〜。あまりに普通に話すから忘れてました〜」

 漣の話を聞き、陽色はニヤッと笑って右京を見た。右京は違う方向を見ながら、

 「誰かさんの性格が悪いからかな〜」

 「それ、誰ですか! 私じゃないですよね! 私めちゃくちゃ優しいでしょ!」 

 「どうかな〜」

 とか言って、陽色と言い争っていた。

 「あの2人仲良くなったよね〜」

 「ほんと、いつの間にやら……。これならワンチャンあるかも?」

 「いや、ホントそれ。ついに右京に……」

 「おい、お前ら、うるせぇぞ」

 「はい、頑張ります!」

 なんだかんだで仲のいい5人であった。 

 「そういえば、体育祭の種目決めがありましたよね。皆さん何に出るんですか?」

 「俺と右京は100メートル走!」

 「僕は騎馬戦。何か体重が軽いから1番上ねって……、勝手に……」

 「私は、ハードル走だったかな」

 「そして、清那は数多の女子を骨抜きにするのであった……」

 「え、何その語り口調……。しかもめっちゃ不穏な内容なんだけど……」

 「事実じゃね? だって、もう既にめちゃめちゃ女子に人気じゃん」

 「くっ! だからか! 私に彼氏ができないのは!」

 漣と右京の言葉に、清那は両手を拳にして、机に叩きつける。

 「ま、誰かさんにとっては、嬉しいことだと思うけどな……」

 と言って漣はチラッと天翼を見る。

 天翼は、顔を赤くし、俯いた。

 「はぁ、誰だよそいつ! ぶち殺す!」

 清那は少し怒っていたため、どうやら気づいていないようだった。漣はそれを見て、

 (相変わらずここは進展しねぇな……。こうやって、ちょくちょくイジってはいるんだけどねぇ)

 と考えていた。漣は自分の恋愛には基本的に興味がなく、人の恋愛を上手いこと成就させるのが、彼の趣味だ。

 ただし、清那は鈍感、天翼は臆病だったため、カマをかけても進展することは無かった。

 「で、陽色ちゃんは?」

 「私は……、借り物競走です」

 「あ、てことは、あれが出来るね!」

 「はい! あれが出来るんですよ!」

 「いや、何だよ」

 謎に意見が合致している2人を見て右京は怪訝な顔をする。

 何が出来るのかが全くわからなかった。

 「まあ、右京は行事ごととか興味無いし、ラブコメも興味無いから分からないか」

 「あ……、これ俺が分からなくていいやつだ。しかも、身の危険を感じる」

 漣の言葉で色々と想像してしまった右京は体を震わせる。

 (何か危ういものを考えてんな……。俺は確実にその日は休む) 

 と心に決めた右京だった。

 「にしても、天翼は騎馬戦か〜……。思ったよりもピッタリだったわ……」

 「天翼、意外と運動神経いいからな……」

 「可愛いし……」

 「清那ちゃん? 恨むよ」

 「はぁ〜、よしよしして、抱っこして、抱きしめたい」

 「それって子供っぽいってことだよね!」

 「まぁ、身長が……」

 天翼の頭の上で水平に手を振る清那を見て、天翼は頬を膨らました。余計にその仕草が可愛いんだよな……、と考える清那だった。

 身長が160後半ある清那と身長150の天翼が並ぶと、それこそ姉弟きょうだいのようだった。

 ちなみに、天翼は身長が低いことと、顔が中性的なのがコンプレックスである。

 「そういや、学級対抗リレーもあるんだっけか」

 「あ〜、だったな」

 「右京くんがアンカーですね!」

 「やだよ」

 「えっ! もうそれでうち出しちゃってるけど……」

 「は? ……お前やりやがったな!」

 「いや、俺じゃねえし」

 「じゃ、誰だよ」

 「横田」

 「あのクソ坊主!」

 ※横田とは、右京と同じクラスの野球部である。意外とよく話したりするらしい。

 「ま、頑張り給え」

 と漣は右京の肩を叩く。

 「誰だ! 勝手にリレーの走順決めた奴」

 「それ、横田と俺だわ」

 「お前か! よし、殺す」

 「右京さん? ちょっと落ち着こっか。ね? 目、目がガチだよ? ちょ、ちょっとヤダな〜。右京くんそんなに……、いやあああ!」

 殺し屋の目をした右京に漣はアイアンクローをカマされていた。

 「仲が良いのは良いことです!」

 「陽色ちゃんも慣れてきたね、このノリに」

 「まあ、1週間いたらね、こうなるわ」

 「頑張って近づいてきた女子はほとんどこのギャップで帰ってったけどね」

 「え、可愛いですよ? 意外と」

 「なら、良かった。まだまだ右京には、ゲンメツされるポイントがあるから、待っててね」

 「? はい……?」

 唇に人差し指を当ててそう言う清那に陽色は、首を傾げた。

 体育祭が近づいていた。

 次、体育祭です。ネタが無い……。

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