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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、1学期
26/57

26話 過去 1

 今回は右京の一人語りの形式を取りました。物語シリーズで言うところの、あの鍵括弧が片方だけあるという文が続くあれですね。

 昔の俺は、今よりももっと臆病で、全てのものに怯えていた。特に女子にな。

 まぁ、元々の理由は今回には関係が無いから省くとする。


 人との関わりは小学校の時点であまり無かった。ボッチと言っても良い。それくらい人との関わりは俺が最も避けていたことだ。

 そして、中学に上がると喧しい奴が話し掛けてくるようになった。そいつの名前は、風凪漣と言う奴で、それはそれはめんどくさかった。


 なんかする度について来て、事あるごとに話しかけて来た。そうだな。今の陽色みたいな感じだ。

 そのまま勢いに押され、そこそこ話すようにはなった。


 ん? なんだその顔は。友達って言えよって? それはなんかイヤだ。


 いやそんなのはどうでもよかったな。


 そんな風に漣と話すようになると、他の男子たちも話し掛けてくるようになった。壁を感じてたのが無くなったからだろうな。か、もしくは意外と普通なのかとか思われてたのかもな。

 よく分からないが。


 それぐらいの時だろうな。あのクズ野郎が来たのは。あぁ、女子だから野郎はダメだな。ただのクズだ。


 そいつは俺たちの一つ上の学年で、テニス部所属だった。

 そいつの名前は、冬野椿ふゆのつばきと言った。そうは言っても、あいつの顔は椿っていう名前に似合わずだいぶふんわりした感じだったけどな。


 結局、中身はそのまま強い奴だったな。


 冬野は俺たちのクラスに来て、こう言った。


「お、君たちが噂のイケメン二人組か〜。カッコいいね。テニス部に興味はない?」


 お得意の完全に計算された笑顔まで付けてた。

 俺の方はなんだコイツとか思ってた。漣は笑って断ってたな。既に陸上部に入ってたからな。

 そして、俺は断る理由が無くて押し切られた。


 道具を買う余裕が無いって言っても、無理矢理備品を使えって渡された。無駄に押しの強い人だった。


 そうやって押し切られてた時点で、もう俺は警戒し切れてなかったんだろうな。少し甘かったと、今なら思う。

 俺にとって警戒を解くことは、ほとんどその人と一緒に居ることを認めるという行為に等しいと、俺は思ってる。


 そんな俺のバリアを笑顔で食い破って来たのが冬野だ。そいつの破壊力は甚大で、まず周りが埋められた。

 俺の周りにいた奴は、良いじゃん入れよと言ってきた。冬野はそれなりに顔が良かったから、それに騙されたんだろうな。ましてや中1男子だ。そういうお年頃だろ? まぁ、高校生でもそんなもんだろうけどな。


 そんなこんなで押し切られた俺は、テニス部に入部した。その後も入部させたのは私だからとか言って、よく俺と関わるようになった。

 無駄に教えるのが上手かった。それもまた、悪い方向に働いたな。いや、あいつ側からしたら良い方向か。


 そして、俺はだいぶ上手くなった。1年生の中では一番くらいだろうな。

 入ったのが6月で、その頃は夏休みの終わりぐらいだったかな。夏休みは漣とほとんど毎日学校に行ったな。


 先輩たちからはだいぶ褒められたりした。同級生からはえらく嫉妬されたりした。これは冬野に教わっていたこともあるだろうけど。


 そんな時だったな。

 冬野から交際を申し込まれた。


 冬野曰く、俺が一生懸命にやってたのが、ストライクゾーンだったんだそうだ。教えてる内に段々とカッコよく見えてきたとも言ってたな。


 俺も中々に心を許してきていた。部活中もそうだが、それ以外でも結構良くしてくれていたしな。

 俺が断ろうとしても、テニス教えたから、お礼にお試しでって言われて断れなかった。


 だいぶお世話になったから、まぁ良いかと思った。


 その翌日には、学校中に広まっていた。その頃はそんなに簡単に広まるものなんだな、と思ってスルーしてたが、後からよくよく考えれば、本人が積極的に広めてたんだろうな。

 じゃなきゃ、夕方の部活終わりに付き合い始めたのに、翌日の朝に広まってないからな。


 俺の知り合いのほとんどはからかってきた。あんなに女子を怖がってたのに、結局顔かよって。

 そんな奴らに俺はお試しだからって逃げてた。それでまぁ、大体の輩は分かってるようで分かってない反応を見せたな。ハイハイって戻って行ったな。


 すると、冬野は休み時間に毎回教室に来るようになった。本当に高校生になってもこんなことが起こるとは思ってなかった。

 あの時の再来か?って密かに怖がってたからな。柊、覚えとけ。


 私は酷いことしません、だって? そんな風に言われても俺からは全く分からないんだ。本当に……分からないんだよ。

 その真意までを誰も覗くことは出来ないんだ。


 だから、俺みたいな奴が世界には溢れてるんだ。


 え、続きを早くって……清那。お前、人の傷口に塩を塗り込むタイプだろ。俺はこの瞬間に確信したぞ。


 急かさなくても話すさ。

 こんな事を隠さずに話せるような奴らってことは、一応分かってるはずだ。

 少しの不安は残るが、漣の人選眼にハズレはあんまりないからな。唯一それをすり抜けたのが、冬野だったけどな。


 そんな仮面を貼り付けてる奴はいないと、俺は信じてるぞ。

 長くなりそうなんで、2つに分けたいと思います。

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