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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、1学期
19/57

19話 右京を起こす会 2

 「じゃ、右京と漣くんが出てくるまで、朝食の準備をするから。陽色ちゃんは? 食べてく?」

 紫苑は廊下の突き当たりのドアへと向かいながら、陽色に問いかけた。

 「いえ。家で食べて来たので大丈夫です」

 「そう。じゃあ、準備、手伝う?」

 陽色が丁重に断ると、紫苑は別の問いをかけてきた。

 「いやぁ……それが私はあまり料理が得意ではなくてですね……」

 「そうなの! じゃあ右京に料理してもらって! あいつ得意だからね」

 陽色が気まずそうに言うと、紫苑は快活に返した。陽色のことが気に入ったようだった。

 紫苑はリビングに入った後、陽色にソファに座るよう促して、自分はそのまま台所に行った。

 しばらくすると、漣が右京を洗面所に連れて行く姿が見れた。

 「おい、ほら! 顔洗うぞ!」

 「ん〜……」

 漣が困った顔で手を引っ張り、右京はほとんど目を開けずにされるがままだった。

 (え……かわいいです。あれは普通の女の子に見せたら卒倒しますよ?)

 陽色は急に速くなる鼓動を感じながら、そう思った。自然と口角は上がった。

 「陽色ちゃんって、ほんとに右京が好きなんだねぇ」

 紫苑がキッチンから陽色に話しかけた。

 「えっ!」

 陽色は紫苑の方を見て、赤らんだ顔を手で押さえた。

 「見てたらわかるよ〜。そりゃそんなに熱視線で見てたらね〜」

 紫苑はニヤニヤしながら続けた。

 「え、そんなに分かりやすいですか?!」

 「とっても」

 陽色が驚いたように言うと、紫苑は笑って返した。

 「やっと終わったぜ〜」

 その時、漣が右京を引っ張って、リビングに入ってきた。

 「ごめんね〜、いつもありがと」

 「いや、まあもうずっとやってるんで」

 「そうね〜」

 紫苑が少し申し訳無さそうに言うと、漣は軽く返した。紫苑もあまりしっかりと返事はしなかった。

 「はい、これね〜」

 「はい、食べさせま〜す」

 紫苑が差し出した焼いた食パンと目玉焼きを、漣が右京の手元まで持って行って持たせて食べさせる。

 「こうして見ると、右京くん、赤ちゃんみたいですね」

 「そうなの〜、ほんとに手のかかる子でね」

 「オネェ口調ちょっとキモいです」

 「ひどい!」

 陽色の冷たい言葉に、漣は大袈裟に反応した。

 「よっし、終わったぞ〜」

 皿の上に乗った食べ物を食べさせ終わった漣は、喜びの声を上げた。

 「時間も丁度いいぐらいだし、じゃあ行くか」

 「そうですね」

 陽色は漣の言葉に頷いた。

 そして、漣は右京の手を引きながら、駅に向かい、電車に乗った。

 「ん? なんで柊がここにいるんだ?」

 右京が今気付いたように声を上げた。

 「お、起きたか……」

 「ほんとに記憶が無いんですね……すごいですよ、これ」

 2人は呆れたといった風に首を振ったり、肩を上げたりした。

 「ちなみに、お前の寝起きが悪いところ、全部見られた後だから」

 「は?! お前何やってんの!」

 「起きないのが悪いも〜ん」

 「大丈夫です! 可愛かったですよ!」

 「そもそも見るなよ! 可愛いってなんだ!」

 「いひひひ! あぁ……おもしろい!」

 「漣! 誰のせいだと思ってんだ!」

 「え、お前の寝起きの悪さ」

 「くっ……否定が出来ん」

 と3人で話していると、降りる駅に着いた。

 「あ、うちの高校と同じ駅で降りるんですね」

 「そうだよ〜、高校から近い場所にあるからね」

 陽色の言葉に漣は軽く返した。当然のことだった。

 そうして、3人は駅を出て歩いて行き、いつものカフェ“キャメル”へと辿り着いた。

 既にドアプレートの字はOPENに変わっていた。

 ドアベルを鳴らしながら、ドアを開けると、もういつもの3人は集まっていた。

 「お、きた来た」

 「いつも通り、右京の寝起きが遅かったね」

 「陽色、おはよう」

 「おはよう、日奈ちゃん」

 「ほんとに大変だったわ」

 「なんか悪かったな!」

 6人は軽く会話をした。

 そして席に付き、後から来た3人は注文をして、勉強会の2日目は始まった。

今回は少し短めでした。

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