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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、1学期
18/57

18話 右京を起こす会 1

 「それじゃ、行くか」

 「はい……」

 漣は慣れた様子でマンションに入って行った。陽色はそれに恐る恐る付いて行った。

 1階に自動ドアや鍵が無いと入れないという感じではなく、それぞれの部屋に鍵が付いているだけの様子だった。

 漣はそのままスムーズに階段を上がっていき、3階で廊下に出た。

 漣は305と書いてある部屋のドアを指さして、

 「ここだよ」

 と言った。

 漣は迷いなくインターホンを押した。

 『はい、漣くんと……どちら様?』

 インターホンからは活発そうな女性の声が聞こえた。まだ若そうな様子だ。

 「あ、右京くんの友達の柊陽色と言います」

 「俺が勝手に連れて来ちゃったけど、良いですか?」

 陽色が少し緊張した様子で自己紹介をして、漣は軽く許可を取る。

 『あらあらあら〜。全然良いのよ!  あ、今開けるね』

 笑っているということがすぐに伝わる声色で、会話は途切れた。

 ドアの鍵が開く音がした後、髪を一括りにした女性が出できた。陽色は右京に少し似ているような気がした。

 「おはようございます、紫苑さん」

 「あ、おはようございます」

 漣が挨拶するのに続けて、陽色も挨拶をした。

 「いつも漣くんありがとね〜。右京は起きるのが遅いから! 陽色ちゃんだっけ? 初めまして、降矢紫苑です。漣くんこれは……!」

 紫苑は漣にお礼を言い、陽色に自己紹介をした。そしてそのまま漣に目を輝かせながら尋ねた。

 「いや、それが残念ながら。まだ……」

 「まだってことは……これから」

 「はい、チャンスはあるかと」

 「キャ〜! 良いじゃない」

 漣と紫苑はコソコソと2人で話し始めた。この間陽色は付いて行けず、笑顔のままで突っ立っていた。

 「あ、ごめんなさい。じゃ、中に入って」

 紫苑は陽色に気付いて、中に入るよう促した。

 漣は遠慮なく中に入って行ったため、陽色も心を決めて、中に入った。

 部屋の中はかなり整頓されており、北欧家具が中心となっていた。陽色は可愛いと思いながら中を見ていた。

 漣は流れるように入ってすぐの右のドアを開けて、中に入った。

 「おら、右京! 起きろ! 陽色ちゃんに醜態晒したくなけりゃ、早く目ぇ覚ませ」

 と漣の叫び声が聞こえてきたため、陽色は右京の部屋を覗いてみた。

 そこはモノトーンを基調とした家具が並んでおり、右京らしいとてもシンプルな部屋だった。勉強机とベッドのみが置かれており、それ以外はいらないといった様子だった。

 (ベッドの隅っこにサメの大きいぬいぐるみがあるのはなんでなんでしょう……?)

 陽色は仄かな疑問を持ったが、そこは突っ込まないことにした。

 「ん……むり」

 「無理じゃねぇ! もう陽色ちゃんいるぞ!」

 「? ねる」

 「起きろおお!」

 ベッドでは死闘が繰り広げられていた。

 (絶対に起きたくない右京くんVS絶対に起こしたい漣くん……これが毎日あると考えたら面白いです)

 それを見て陽色は思わず笑った。

 その数分後、ようやくベッドから右京を立たせる事が出来た漣は、

 「今から着替えさせるけど、見る?」

 「見ません!」

 陽色にからかうように笑いかけながらそう言ったが、陽色は顔を赤くしながら部屋の外に行った。

 陽色が部屋の外に出ると、紫苑がそこで待っていた。

 「ごめんね、陽色ちゃん。右京は少し気難しいでしょ。あんな事があって女嫌いになったし……」

 紫苑は申し訳無さそうに言った。

 「いえいえ! 女嫌いと聞いた時は驚きましたけど、普通に今は話せてますし!」

 陽色は手を振って否定した。“あんな事”が少し気になったが、人には秘密にしたいこともあるだろうと思い、聞かないでおいた。

 「でも最初はすごかったでしょ?」

 「まぁ最初は…………お世辞にも優しいとは言えませんでしたね。睨まれて、顔を顰められて……」

 陽色は紫苑の質問に、少し前を思い出しながらそう言った。

 「ところで、陽色ちゃんは右京の事が好きなの?」

 「へっ?!」

 紫苑は急に話題を変えて、ニヤケ顔でそう言った。陽色は思わず驚きの声を上げてしまった。

 陽色は紫苑の耳元で小さく、

 「(はい……好きです)」

 と囁いた。

 「あら、でも案外陽色ちゃんならいけそうな気がするけどな、私は」

 紫苑は笑って言った。

 (え〜、無さそうだけどな……そもそも意識されてないし)

 陽色は1人で首を傾げた。

 そんな陽色を見て、紫苑は1人笑った。

 (右京が手元に置いてる時点で、かなり気に入られてるってことが分かってるのは、多分漣くんだけなのよね)

 紫苑の思いに気付くこと無く、陽色は不思議そうな顔をしていた。

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