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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、1学期
12/57

12話 体育祭 8

 「「ふふふふふふ、ははははははははは…………」」

 2人は声を合わせて笑い出した。

 「うわぁ……出たよ」

 「こういうときは、息ぴったりなんだよね」

 「素晴らしく性格の悪さが出てますねぇ……」

 清那は2人を見て引いて、天翼は呆れ、陽色は遠い目をした。

 「え、何? この人たち。何で笑ってるの?」

 「日奈ちゃん……気にしなくて良いよ」

 驚いたように陽色を見る日奈に、陽色は諭すように言った。

 「いやぁ……俄然楽しみになってきたなぁ」

 「アイツの顔が歪む想像が浮かぶ浮かぶ」

 右京と漣は意地の悪い笑みを浮かべている。

 「さてと、俺は根回しに行こうかな」

 「ん? 何だそれ」

 「お前のためだよ」

 「? 頑張れ〜」

 「呑気だな…………ま、頑張るよ」

 漣は立ち上がり、テントから出て行った。どうやら何かやることがあるようだったが、右京にはそれが何か分からなかった。

 「あれ? 漣は?」

 「あ〜、何か出てった。何かやるって言ってた」

 「ふ〜ん。まあどうせアイツのことだからな。何かしらやらかすんだろ」

 清那は漣がいないことに気づき、右京に話しかける。それに右京は応答した。

 そんなこんなで話していると、いつの間にか学級対抗リレーの時間がやってきた。既に漣も戻って来ている。

 「お、漣。何やってたんだ?」

 「ん〜、ちょっとな。士気を上げに?」

 「何だそれ」

 右京の問いかけに漣は疑問形で答えた。右京は眉をひそめたが、対して深く問いはしなかった。

 既にどのクラスも招集所に集まり、その場に並んで座っている。

 そして、漣は急に立ち上がり、声を発した。

 「1年3組の奴ら! 今から言う事をよく聞けよ!」

 かなり大きい声で言ったため、当然注目が集まった。

 「さっき我らがクラスの王子様がバカにされた! それに王子様は怒って本気を出そうとしている!」

 右京のことを王子様と変えて、叫んだ。何やら考えがあるようだったが、当の本人は驚きすぎてボーっとしてしまっている。

 「そして、王子様はアンカーだ! それでお前らやることは分かってるよな!!」

 「「「本気ガチで走って、氏王(右京)に渡す!!!」」」

 そのまま漣は叫んでクラスの皆に尋ねる。それに皆は大きな声で返す。

 「よし! じゃあ、一発かますぞ!!」

 「「「おぉ〜〜!!」」」

 漣は最後に呼びかけて、皆は掛け声で返した。

 その余韻を残したまま、全クラスは立ち上がり、入場した。

 「おい、漣……何やってやがる」

 「ん? 別にお前の人望を見せてやろうって思っただけだ」

 右京は歩いてグラウンドに入りながら連に尋ねる。漣はあくまで軽い調子で返す。

 「俺も軽くいらついてたからな。やるからには徹底的に、ってな」

 「いやいやいや…………、あれはどう考えてもサクラだろ」

 漣は右京に笑いかけて答えたが、額に青筋が浮いている。だが、右京のツッコミどころはそこではなかったらしく、顔の前で手を振って言った。

 「? 何言ってんだ。あれは正真正銘、お前の人望だぞ。俺はこうしようぜって呼びかけただけだ。横田とかにな。そこから話が広まったのは、お前だったからだよ。そろそろ自覚して貰おうと思ってな。結構お前は好かれてるんだってことをな」

 あっさりとした様子で漣は返した。

 右京は衝撃を受けたように固まる。

 「マジか………………いや、ちょっと待て! 俺、そんな大層なことしてねぇぞ」

 しかし、すぐに戻って漣に言い返す。

 「お前は…………、知ってたけどやっぱり無意識か……」

 漣は呆れたように首を振って、溜息を吐いた後、

 「お前はこれまで、さり気なく人のことを手伝ったり、サラッと皆が嫌がることを終わらせたりしてきたんだよ! おまけに顔も良いが、彼女はいない! この時点で男子から。更に顔が良くて気遣いが出来る! これで女子からの支持が圧倒的なんだよ! 気付け! 分かれ! 察しろ!」

 と早口でまくし立てた。後半は半分怒っていた。

 「お、おー…………何かごめんなさい」

 「分かりゃ良いんだよ」

 その剣幕に押し負けて、右京は何となく謝った。漣も何故かそれを受け取った。どうやら溜飲は下がったらしい。

 「ま、何がともあれ、これでお前の人望の面はアイツに見せつけたってわけだ。じゃあ後は?」

 「リレーでボッコボコにする!」

 「よっしゃ! やってやるぞ!」

 2人は更にやる気――――殺る気を上げて、学級対抗リレーに臨む。

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