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王子様男子と恋する乙女の恋愛譚  作者: シト
1年生、1学期
11/57

11話 体育祭 7

 清那がスタートラインに並ぶ。

 「どうせアイツが1番なんだろ。知ってるよ」

 「え? 清那さん足速いんですか?」

 右京のぼやきに陽色が反応した。

 「分かるだろ。あんな体型だぞ。どこに出来なさそうな要素がある。俺よりも男らしい」

 右京はやれやれといった雰囲気を出しつつ、陽色に返答した。

 事実として、清那の体型は非常にスラッとしており、女子にしては高身長だ。ちなみに、凹凸はほぼ無い。更に髪も短めで、どちらかと言うと、男前な顔立ちなので余計男子よりも女子にモテるという状況に陥っている。

 「あぁ……、何となく分かります」

 「だろ?」

 「はい……」

 陽色は清那を思い出して、遠くを見る目をして返した。

 そうこう話しているうちに、清那のハードル走がスタートした。

 「流石、初っ端から1位で出やがった!」

 「周りの歓声も凄いことになってるね」

 「耳が痛いです……」

 「まぁ、これもしゃーなし」

 清那と周りの反応を見て、右京たち4人はかなり面白がっていた。

 清那は華麗にハードルを飛び越えて行き(飛び越えるたびに歓声が上がっている)、そのまま1位でゴールした。

 その瞬間の女子の反応と言うと、物凄い反応だった。

 更に、清那が手を振ったりしたため、卒倒する人も一部にはいたようだった。

 「おいおい……、清那の人気はどうなってやがる」

 「バグだろ、これはもう」

 「入学してまだ1ヶ月だけど、もう先輩も一緒にキャーキャー言ってるね」

 「何なんでしょう……これ。宗教?」

 「「「それは言っちゃダメなやつ!!」」」

 3人は思わず陽色の反応にツッコんでしまった。

 そうやって話していると、清那が帰ってきた。死んだ魚の目をしていた。

 「あ〜……ダメだ。私はもう……パタッ」

 と言って天翼の元へと倒れ込んだ。

 「えっ!? え、え? ちょ……」

 抱き着かれたような体制になったため、天翼の思考はフリーズした。

 「いや、自分で擬音語を言うなよ」

 「その前に天翼助けてやれよ。死ぬぞ」

 「いやでもそれは、ねぇ?」

 「そうですね〜」

 3人は、清那が走っていた時よりも楽しそうにしていた。

 しばらくたって、天翼の思考が戻ってくると、辺りを見回して、清那に声をかけた。

 「ちょっと清那ちゃん! 離れてよ!」

 「えぇ〜、無理〜。天翼のチャージ中だから〜。よしよし〜」

 天翼の声掛けを気にせずに、清那は頭を撫でたりしている。

 また、脳がショートしそうになっている

 「あ、そろそろヤバいな」

 「は〜、助けてやるか……」

 と漣と右京は話した後、清那を引き剥がしにかかった。

 「はいはい〜、おばあちゃんもうやめてくださいね〜。天翼くんもう死んじゃうよ」

 漣は介護士のように清那に話しかける。完全に老人扱いだった。

 「え! いいじゃ〜ん!」

 「それはもう、変態のおじさんのそれなのよ」

 唇を尖らせる清那に右京はツッコんだ。

 渋々といった様子で清那は天翼から離れた。

 そのしばらくの後に、天翼の思考回路が元に戻る。そして再び辺りを見回した。

 「ん? あぁ……やっと離れてくれた……」

 天翼は疲れたように溜息を吐きながら言った。

 「お? 嬉しかったんじゃないの?」

 漣は意地の悪い笑みを浮かべながら天翼に話しかける。

 「や、やめてよ……」

 天翼は顔を赤らめながら、返した。

 この間も右京と清那は言い合っていた。もちろん、気付くこともない。

 「あとは学級対抗リレーだけですね」

 と陽色がその場の全員に言った。

 それを聞いた右京は物凄い顔をして、

 「やめてくれ……思い出させるな」

 と言った。

 「別に良いでしょう」

 「俺はアンカーなんて嫌なんだ! 絶対に目立つだろ!」

 「決まってしまったものはしょうがないでしょう。腹括りましょうよ」

 陽色は右京が清那に言った言葉で返した。

 「うっ!」

 「ははっ! 一本取られたな、右京」

 「くっそ!」

 悔しそうな顔で右京は悪態をついた。

 「あ〜、そこそこでやるか!」

 と右京が気合を入れていると、後ろで百メートル走のときに一緒だった人たちが通り過ぎた。

 「なあ、氏王、アンカーだって」

 「マジか! アイツ顔だけじゃん。大して足速くもないし。ウザいわ〜。3番であんだけキャーキャー言われんの腹立つ」

 「お前もアンカーだからぶちのめせばいいじゃん」

 「いいな、それ」

 と言って笑っていた。

 右京はそれをしっかりと聞いてしまった。

 額に青筋が浮かび、拳を握り、わなわなと震わせる。

 「漣……」

 「……なんだ」

 「ちょっと俺、ガチで走るわ」

 右京はこの時、先程よりも物凄い顔だった。

 「はぁ……やっぱりか……」

 「アイツが走ってるときにわざと横に並んで煽ってやる。誰に喧嘩を売ったのか、分からせてやる」

 右京は怒った顔だった。

 「良いだろう。俺もちょっとイラついたからな」

 「手、抜くなよ」

 「分かってるわ」

 この間、2人共笑顔だった。

 ただし、周りの4人はかなり引いていた。

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