んもう、サティたんの商売上手っ!
「ちょっとまってねぇ。先にこっちの取引済ませちゃうからぁー」
そう言ってサティたんはリュックから酒樽を取り出した。私にも売りつけた蜂蜜酒のようだ。店主とは慣れたやり取りで商人ギルド証による取引をしている。
そして、一度ぺしゃんこになったリュックに別の酒樽が入っていく。
「カリカリも1本いる? クローラー酒。ピリリと辛口なの」
「あ、じゃあ1本だけ」
「酒瓶2本で銅貨50枚ね。身内価格だよぉ」
ちゃりーん。カリーナ・ショーニンの残金は銀貨3枚と銅貨50枚になった。
1本って言ったのに2本買わされちゃったよぉ……! 好き!!
「おいサティ。この嬢ちゃん新人だろ? 少し手加減してやれよ」
「お酒の質は保証するよぉ。それに酒免許なしだと1本銅貨25枚なんだから損はさせてないでしょー?」
免許ありでまとめ買いだと1本あたり銅貨20枚らしい。仕入れたその場で右から左に渡すだけで銅貨10枚分の儲けかぁ。んもう、サティたんの商売上手っ! 可愛い!
「ほら、カリカリも喜んでるから問題なしだよねぇ?」
「まぁいいけどよ。……オマケだ。もってけ」
と、クロウラーの干し肉を2枚もらった。わー、ありがとう。おつまみにするね。
* * *
商店を後にして、私たちは冒険者ギルドへ向かう。
荷運びのお仕事でのお小遣いを回収するためだ。
私の荷物は小包を1箱。一方でサティたんは料金と比べてかさばらないお手紙をたっぷり。信用の差だねぇ。
サティたんは小さいながらも馬車を所有しており、便乗させてもらった。
御者台で馬車鳥――馬車をひく鳥だから馬車鳥と呼ばれているデカい鳥――を操るサティたん。隣に座る私。
「それにしてもカリカリってばなんでここにいんの? ヴェーラルド行くって言ってなかったっけ?」
「ああ。それならバッチリ! サティたんから買ったお酒を見事商人ギルドで売りさばいて利益がっつり得られた次第よ」
「へぇ? 商人ギルドで利益がっつりとか、何したのよ」
冒険者ギルドへ向かう道すがら、私はヴェーラルドでの活躍を語る。
とはいえ、大魔法使いとしての活躍は抜きだ。
「海賊が絡んできてねぇ。あ、そのあと飲み比べして勝ったよ」
「……カリカリってばお酒そんな強くないのに良く勝てたねぇ」
「飲んだフリして誤魔化した」
「あー! ダメよそういうの! 飲み比べはちゃんと飲まなきゃ。めっ!」
「う、ご、ごめんなさい」
ドワーフ的には飲み比べで反則するのは割と重い罪らしい。
ごめんて。つつかんといて。
「ん、あー、でも相手はヴェーラルドの海賊だっけ? それならいいや。あいつら良くない噂しか聞かないしぃ」
「あ、いいんだ?」
「ホントはダメなんだけどねぇ。相手が海賊で、カリカリだから許すんだからねぇ?」
「わーい、ありがとうサティたん!」
「御者中だから抱きつくのはまた後でねぇー」
うふふ、可愛いわぁ。
そんな風に話をしているうちに、さくっと冒険者ギルドへ到着。
馬車を預け、荷物を冒険者ギルドのカウンターにお届け。お小遣いゲット。
サティたんも手紙を届けて銀貨数枚を受け取っている。
「あ、それで何か情報入ったぁ?……そっかぁ。引き続きよろしくねぃ」
受付嬢さんと話して、報酬の銀貨のうち半分をカウンターに戻すサティたん。
「サティたん、なにか探し物でもあるの?」
「んー? 美味しいお酒の情報とかかなぁ。何も情報入ってなくてがっかりだよぅ」
明らかに嘘くさい。まぁ言いたくないなら別にいいか。
「美味しいお酒といえば、ヴェーラルドでワイン飲んだよ。さっき言ってた海賊との飲み比べで」
「ワインかぁ。ベルトクスの名産品だねぇ。たしかブドウから作るお酒だっけ。……そっか、そっちは探してなかったかも……でもエルフの国は入るのに許可がなぁ」
はぁー、とため息をつくサティたん。
むむむ、これは力になってあげたい!
「エルフの国って入るのに許可がいるの?」
「そだねぇ。冒険者ならBランク以上で入れるけど、商人ならそれなりのツテが無いと入れない感じかなぁ。特に私ってばドワーフだし、難しいんだよねぇ」
「ほほう……サティたんサティたん。ここだけの話、エルフの伝手、ありますぜ」
「まじで?」
マジマジ。ウチのディア君はああみえて実はエルフのお貴族様なのだ。伝手のひとつやふたつ、紹介できるにちがいない。
「実は私、パーティーを組んだんだよ。で、そのメンバーがエルフなの」
「ふーん。……紹介してもらえるのかなぁ?」
「フフフ、それはサティたん次第……」
「わかったよぅ、靴下あげるから紹介して」
「おっけー! じゃ、いこっか! 多分今頃宿とってるところだよ!」
ん? でもよく考えたらサティたんの履いてる靴下、私が前にコピーしたやつじゃね。
だとしたら神様には捧げられないなぁ……ま、いっか。
美少女が困ってるなら助けてあげるが道理なのだ!








