表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あとはご自由にどうぞ。~神様が本気出してラスボス倒したので私はただスローライフする~ 【ComicREXでコミカライズ連載中!!】  作者: 鬼影スパナ
おうち充実編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/303

星型エンジン



 ただいまーっと。


「見てくださいお姉さん!」

「自信作ですあるじ様!」


 そういって見せられたエンジン設計図。それは5か所のピストンが軸を囲んで星形に配置された、星型(スター)エンジンであった。

 すげー、基礎は教えたけど星型エンジン開発しちゃったよこの二人。地球においてはレシプロ飛行機とかで使われたエンジンである。


「1個のピストンでは最大もしくは最小からスタートしたときに回転し始めがどちらになるか分からなそうだったので、複数ピストンを配置して意図的に均衡を崩せたら解決するのではないかと」

「そこに私が流星の意匠を提案して、この形となりました!」


 図面を見るに、ちゃんと作ればガチで動くものが出来そうである。

 こういうのは精度が悪いと動かなかったりするが、私が空間魔法で加工するのであればそこも問題ない。

 つまり、これは完璧にエンジンの図面であるということだ。


「それぞれが引っ張りあうことでピストンも双方向に動く必要はなく、それぞれは片方だけに動けば良いとなりまして……理論上はゴブリンの魔石ひとつでも動きます。これでどのくらいの速さかとかは分からないですが」


 しかも基本的なピストンしかしない魔道具なので燃費も相当に良いだろう。回転の魔道具って出力(トルク)上げるには相当エネルギー使うんだよね。


「……実物を試したくてうずうずしてる顔だねぇ?」

「はい! お願いしますカリーナお姉さん!」


 いいとも、可愛い子のお願いには弱いカリーナちゃんだ。

 早速模型を作ろうじゃないの。えーい空間魔法工作。ちょわー!


「木製模型だけど、こんなとこかな。魔法陣の回路も印刷っと」

「おお、お姉さん仕事が早いです!」

「さすがはあるじ様です!」

「じゃあゴブリンの魔石をセットしてみるよ」


 5本のピストンを連結したひとつの魔道具。そこに足の小指の爪程の小さな魔石をおいてみる。いわゆるクズ魔石と呼ばれる小さなものだったが、それでも問題なく軸棒が、ぐるぐると回りだした。


「……ホントに動いた! 回った!」

「やりましたねディア様! 私たちの勝利ですよ!」


 何と戦っていたのかは分からないが。ディア君とアイシアはハイタッチで歓びを現した。おねーさんも混ぜて? いえーい。


 というか、思いのほか力強い回転である。試しに棒を握ってみるが、かなり力を入れて握って踏ん張って、ようやく止まった。クズ魔石ひとつでこれほどの回転速度とトルクが出せるのか。……あれ、革命的じゃね?


「あ……今バキって音しましたね。ピストンが壊れましたか?」

「む。木だと細いところが出力に耐えられないほどか。凄いな」


 一応トレントだったんだけどなぁ。うーん、こうなるともっと強い素材で作りたくなる。

 私は石で作り直す。自然石なら木よりは頑丈だろう。粘りとかそういうのが欲しいので金属で作りたいところだが、今はこれで良い。

 同様に動かして、握って止めてみる――やはりかなり力を入れてようやく止まった。今度は壊れていない。


「下手すれば手の皮が剥けるなこれ。すごいパワーだ」

「ホントですね。大成功といっていいでしょう」


 しかもこれ、さらに星形の5つを2個3個と重ねてやれば、単純にそれだけでパワーが増す。ギアをかませてやれば、相当な速さの回転が得られるに違いない。



 ……って、ダミーの魔道具を作るだけでよかったのに、なんでガチでエンジン開発しちゃってるんだろう私達は!?


「ちなみに荷車の内部に仕込むそれらしい魔法陣も考えました。回転を増幅させるような意味を持たせた魔法陣です。増幅を八連結しているので、相当早くても誤魔化せるかと。本職には流石に通じるか分かりませんが……」

「ここ、ここのあたり私の提案で風と火の意匠なんですよ!」


 あー、エンジン本体だけじゃなく荷車内部の偽装魔法陣まで!

 私が出かけてたの半日もしてないはずなのに仕事完璧かよぉ!!


 くっ、これもそれもディア君達が思ってた以上に優秀だからだっ! そして可愛い!

 これは二人にご褒美をあげなければなるまい……!



「よし、じゃあ二人に特別なお菓子を作ってあげよう……今日はホットケーキパーティーだ!」

「わぁ、お姉さんお菓子も作れるんですか? 楽しみです!」

「あるじ様、ありがとうございます!」


 尚、星形エンジンの模型はちょっと手直ししてミキサーとなり、ホットケーキミックスをかき混ぜるのにとても役立った。




 ……箱にホットケーキミックスの成分表があったから、これを参考にすれば自分でも作れるようになるかもな。ベーキングパウダーは手に入れる必要あるけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「あとはご自由にどうぞ!」の書影です! Ixy先生の書いたカリーナちゃんとディア君ちゃんだぁ!!!
1588.jpg 1657.jpg 1837.jpg



書き下ろし:『ハリボテ魔導士と強くて可愛すぎる弟子』MF文庫Jで発売中!!!

ラノオンアワード2022年10月刊の笑った部門受賞!! 売れて!!!!

322206001084.jpg

新作、コミカライズお嬢様ですわー!!
TsDDXVyH
― 新着の感想 ―
[一言] コレ、スターリングエンジンである必要は無いと思う。あとスターリングエンジンの様な漢なメカがご所望ならロケットエンジンなんてどうでしょう? 最高に漢ですぜ?
[一言] ホットケーキミックスは、あまりかき混ぜない方がいいんだぞ…!
[気になる点] …ディア君とアイシアさん、、けっこんできるんだよね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ