身も蓋もねぇ。
預かっている荷物のうち、女児服――ディア君の着替えについては自由にしていいとのこと。買いに出かける手間もなさそうでなによりである。
そして海賊の所持金だったお金についても私のほうで貰えることになった。実は大部分が『クミンさんの売上』だったため、これは基本的にディア君の生活費になる予定。あと靴下代。
見舞金に売上に、実はマリア婆が一番損してると思うんだけど、気前良いなぁ。
それとも領主ともなるとこの程度ははした金なんだろうか?
「カリちゃんや。コッソリ建物内に入られても困るから、次も今日みたくちゃんと正門から来とくれよ」
「わかったってばマリア婆。クミンさん、荷物を出していい場所に着いたら手紙頂戴ね」
「ええ。よろしくお願いするわ。ディアも元気でしっかりやるのよ。可愛いを極めなさい」
「はい、姉様……え?」
と、そんなわけで手を振ってまたねと別れる。
「それでカリーナお姉さん。これからどうするんですか?」
「とりあえず教会だなぁ。色々報告しないとだし」
色々と溜まっているのだ、納品物が。
ついでにいくつか靴下も仕入れておかないとね。
「んん、じゃあボクは先に戻ってもいいですか? その、眠くて……」
「あー、徹夜してたもんねぇ。私も眠いや……んじゃ、一人で行くから先に戻ってて。とりあえず海賊のアジトの部屋、好きに使っていいから」
「はい、お先に失礼します。移動お願いします」
と、私はディア君を収納空間へと仕舞って、一人教会へと向かった。
* * *
「神様ー、納品に参りまし――」
「きちゃぁあああああ!!! まってましたよカリーナちゃん!」
「ぐほぉーーー!?」
タックルする勢いで抱きつく神様。私は吹っ飛ばされた。
地面に押し倒されマウントポジションを取られる。
「さぁ、早く出すのです! 靴下! 男の娘の! ディア君ちゃんの!!」
「は、はい。お、お納めください……」
起き上がり、3足の靴下を差し出す。
ディア君の男の娘前後靴下、及びクミンさんの靴下のセットだ。
「ふふっ……良いですね。素晴らしい。涎が止まりませんよッ! ズビッ!」
「あ、査定額3倍のレッドチケット使用で。……チケットの併用ってできます?」
「できません! 計算がめんどくなるので!」
身も蓋もねぇ。
「まぁ今回は特別にこの3足セット全部に適用してあげましょう。赤い3倍チケットを」
「あざっす!」
「えーっと、査定ですが、まず男の子靴下が……くんくん、ふむ。女装を言いつけられた戸惑いと決意の20SP。クミンちゃんのも20SP、全然履いてない新品ですね……で! やはり今回のメインディッシュは男の娘靴下! ああー、初恋のお姉さんにいぢめられる甘酸っぱさが最高ですねぇ! 100SP! セットで100SP保証といいましたが100SPを超える分には何の問題もありませんよね? むしろ払わせてください。素晴らしい靴下に乾杯です」
「もちろんですありがとうございます」
クミンさんの靴下は思いのほか安かった。直前にお風呂に入ってて、殆ど履かれていないほぼ新品靴下だったらしい。それでも20SP、3倍で60SPだ。
セットで420SPとなった。
というかさりげなくディア君の初恋を暴露されたんだが?
私が初恋て、なんかごめんなディア君。
「それと、まだあるでしょう?」
「あ、はい。……えーっと、神器『ポセイドン』らしいですが、船のどこが相当するんでしょうかこれ」
「それはそれで受け取っておきますね、定額1000SPです。で、まだあるでしょう? ほら、海賊船でぇー? 中でぇー?」
「……あっ、包帯の方ですね。はい」
「その通りです! わーい!」
神器より靴下(包帯)の方が大事か。ブレねぇなこの神様。
まぁ神様からしたら別に他からエネルギーとやらを持ってくればいいだけだもんなぁ。
「うんうん。これはこれで中々の恥じらいが感じられます。足を切り落とされた絶望感とカリーナちゃんが治した時の感動も相まってあたかもゴーヤチャンプルのような味わい! 3人分で60SPあげましょう。海賊討伐で1.5倍チケット発行するので、使いますね?」
おお、これは想定以上の収入となった。1.5倍で90SPだ。
合計1510SP。これは記録的大勝利な収入ではなかろうか。
「ああ、そうなると飲み比べの1.2倍チケットが余りますねぇ……そうだ。このチケットと引き換えに生理スキップ薬1年分セットを510SPで提供しましょうか。今だけの価格ですよ!」
「……!?」
こ、この神様、靴下分の収入を早速搾り取りに来やがった!!!
通常だと600SPが510SP、確かに90SPもお買い得なのである……チケットと合わせて買ってしまっても損はない。期間限定じゃないから使用期限もないわけだし。
「今買わないなら無しです。時間切れまでぇー、じゅー、きゅー、はーち……」
「んぅぉう?! まって神様、カウントダウンは卑怯ですよ!?」
「なーな、ろーく、ごー」
「か、買いますっ! チケットと510SPで買います!」
「よーん、さーん、にー、いーちっ」
「買うって言ってるじゃないですかぁ!?」
ちっ、と舌打ちする神様。えぇ。買わせておいて舌打ちとかどういうことなの。
「しかたないにゃー。ゼロ、ゼロ、ゼロって言いたかったのに」
「なんで3回……そういうなら追い詰めないでくださいよ神様」
「あはは。小瓶に入れてあげますねー」
そう言いながら、神様は12錠のスキップ薬が入った茶色い小瓶を渡してくれた。
「あ。ディア君ちゃんの靴下は半年に一回くらいでお願いしますね!」
納品も済んで、1年分の生理スキップ薬をゲットして、笑顔の神様に見送られて私は現世に帰還した。








