責任は取るべきだと思うがね
靴下を履き替えたクミンさん。こほん、と咳払いして仕切り直しだ。
「その、他に欲しいものはありませんか? 流石に靴下だけでお礼とは言えませんし。やはり弟を差し上げたいところですね」
むむむ。やたらディア君を推してくるな。確かにディア君は可愛くて癒されるけど、もしかして実家で家督争いとかがあるんだろうか? 厄介払いか?
「その、差し上げると言われてもどうしたらいいか分かりませんけど……これどうしたらいいのかなマリア婆」
「婿にするとかじゃないか? 個人的には色々と責任は取るべきだと思うがね」
「うっ……!」
なるほど、そういうことか。
確かにこれほどの美少年、そのまま正しく大人になったら引く手数多の優良物件だったに違いない。
それを男の娘にしてしまった責任は、たしかにある……!
つまり、ディア君にお嫁さんを見つけてあげないといけないってことだよなぁ。
男の娘でもいいというお嫁さんかぁ。まぁ、探せばいそうだよね。居なかったら最悪私がお嫁さんになる? いやぁないない。相手は子供だもん。
「カリーナお姉さん。その、ボクからもいいでしょうか」
「ん? 何ディア君?」
「お姉さんの大切な使命……その、お手伝いをさせてください。ボクがお姉さんと一緒に行きたいんです。だめ、でしょうか? 女の子の格好じゃないとダメっていうなら、引き続き女装しますし!」
大切な使命……?
あ、靴下の事かな。なるほど、確かにディア君の靴下は神様に非常に好評だった。
であれば、定期的にディア君の靴下を納品するのはアリだろう。もちろん、神様が飽きない程度に間を空けるが。
それに、ディア君なら一緒に楽しく魔道具作りとかもできるし、なにより可愛いから見てて癒されるもんね!
「わかった。そこまでいうなら、ディア君を私のパーティーメンバーに加えよう!」
「! ありがとうございます! ボク、頑張って世界を救うお手伝いしますね!」
ん? 世界?
あ、やっべ。そういえばディア君にカッコつけて『大魔法使いカリーナは世界を救う崇高な使命を帯びてる』とか言ってたわ……まぁそれも嘘じゃないからいいか。
「……カリちゃん、世界とか初耳なんだが詳しく聞かせてもらっても?」
「ええ、私も気になりますカリーナさん」
あー、うん、ですよねー。
「実はその、今現在世界の収支がマイナスらしいんですよね。その、神器が多すぎるらしくて。だからある程度回収しないと、最短10年で滅ぶそうで」
「10年……」
「たった10年ですか……一大事ですね」
エルフの時間間隔的には10年は短いんだろうか。
「それで神器『ポセイドン』を回収したってわけか。納得したよ」
「わかりました。我々エルフも国を挙げて協力するよう王に進言しましょう」
「パヴェルカント王国もだね。ああ、上に報告してもいいね?」
「えぇ?……のんびりやろうと思ってたんだけどなぁ」
「……カリちゃんはそれでいいかもしれないけど、私らは滅びたくないんだよ!」
「たった10年で滅びると言われたら当然でしょう!」
それもそうか。
神様が世界を見捨てない限りは滅びないということは黙っておく。
大魔法使いカリーナちゃんにとっては別に悪い話でもない。神器回収すればSPも稼げるし。
「んじゃ、回収していい神器の情報とかあったら教えてね。えーっと。連絡はどうやってつけようかなぁ。どうしたらいいと思う、ディア君」
「カリーナお姉さんの魔法で何とかならないですか?」
「なるね。それでいこう」
以前ディア君に言った『大魔法使いと商人でしっかり切り分けておきたい』という注文に見事に応えるナイスアイディア。さすがディア君。可愛くて賢い。
というわけで、私の収納空間に直通のポストを作ることになった。そこに手紙を入れてもらったら適当に会いに行くよ、という感じ。こちらからの返事が帰ってくる引き出しもついているぞ。
……ゲゲゲな妖怪ポストみたいだな。うん。
「あの、これでディーへの個人的な手紙を書いてもいいですか?」
「もちろんOKだよ!」
家族と連絡が取れるなら、ディア君も寂しくないだろう。
寂しかったらいつでも会いに行っていいんだしね!








