見込みがある男じゃないか
私カリーナちゃん。お連れはディア君。とっても可愛い男の娘!
お姉さんに再会できそうなお祝いに、お外へご飯を食べに出かけたの!
で、適当なレストランに入って、注文したパエリアに舌鼓を打って、デザートを楽しんで、お会計の段階でディア君は気付いた。自分の服装がワンピースであることに。
「……もうおムコに行けません……っ!」
「おヨメにならいけるね!」
「ボクは男ですっ! 男……なんですぅ……っ!」
でも誰も男の子だと気付かなかったし、むしろ「お嬢ちゃん達カワイイからサービスだ!」とデザートのフルーツ盛り合わせにココナッツジュースも貰ってたけどね。しかもディア君のが多かったし、「ありがとうございます、お兄さん!」ってお礼の笑顔には周りがみんなメロメロになっていたな! 私含む!
そんなわけで顔の赤いディア君の手を引き道を歩く私。腹ごなしのお散歩だ。
「迂闊でした……なんかスースーすると思ってたんです」
「ホント可愛いんだもん、ディア君。いや、ディアちゃん? あーん、どっちで呼んでも良いから迷うー」
「ぐすん……」
「拗ねてるディア君も可愛いよ! あ、パンツみえそ」
「っ!」
ばっとスカートを押えて隠すディア君。
「ふふ、どうしたのー? パンツ見られそうになって恥ずかしがるだなんて、女の子みたい」
「そ、そんなことないです!」
「じゃあ見せてー。ディアちゃんのパンツ見せて―?」
「や、ひ、引っ張っちゃだめですっ! カリーナお姉さんのえっち!」
「あははははっ、だってディア君が可愛いんだもん」
顔を真っ赤にして、ばっちりと羞恥心を感じている模様。これは、靴下に神様の好む羞恥心が蓄積されているな!
よし、さらに一押しだ。これも良質の靴下を納品するため……すまんなディア君!
「ほぉら、みんなディア君の事みてるよ? ディア君が可愛いからだね」
「ううっ、それはボクが変な恰好してるからで……」
「そんなわけないじゃん。今のディア君は、誰がどう見ても女の子――それも『とびっきり可愛い』女の子だよ? あっちの人はディア君に見惚れてる。ナンパされちゃうかも。ほら、目が合ったとたん顔を赤くして逸らしたでしょ?」
「はぅ……」
効いてる効いてる。というか、ホント女の子にしか見えないからなぁ。開き直ったら完全に女の子だよねディア君。開き直れない恥ずかしがる姿がたまらない訳なんだが!
あー、これぞ男の娘! 私の雌の部分がキュンキュンしちゃうねぇ!
「ふふふ。にしてもこんな可愛い子とデートできるなんて幸せだなー」
「で、デートって。それならボクがカリーナお姉さんをエスコートしますからっ」
「えー? でもディア君今一文無しじゃん。お財布私が持ってるし。……でも大丈夫、今のディア君はただの可愛い女の子。お姉さんに任せなさいっ」
ふふんっと胸を叩くと、たわんと揺れた。
と、そこに寄ってくる男が一人。
「ねぇ、良かったらお茶しない? 少し話したいなぁって」
「ん? ディアちゃん、みてみてナンパだよ! ディアちゃん狙いだよ!」
「え、いや、俺はお姉さんの方が好みかなぁって」
そういうナンパ男の目線は私のおっぱいに注がれていた。
あー、そういや私もそれなりに美少女だったわ。ディア君の前だと霞むけど。
「だ、だめですっ! お姉さんは、今、ボクとデートしてるんですっ!」
そう言って私とナンパ男の間に割り込むディア君。
「ぐふっ……おいナンパ男。超可愛いと思わんかこの子」
「え? あ、うん。そうだね、凄く可愛いお嬢さんだ」
うむ。見込みがある男じゃないか。
「今日のところはこの子とデート中だからダメだけど、また会ったときに声を掛けてくれればお茶の相手くらいしてあげよう。暇だったらだけど」
「お、約束だよ。じゃあまたね!」
そう言ってナンパ男は笑顔で手を振り次のターゲットに声を掛けに行っていた。
うーん、積極的な男だ。前世の私にはなかったスタイル。前世の私もああいう積極性があれば……いやよそう。今は今だ。
「今の人、ディア君の事、凄く可愛いお嬢さん、だって!」
「……ダメですよ? ああいう男の人についていっては。その、カリーナお姉さんは、か、可愛いんですからっ!」
「えー? そこ? ディア君の方が可愛いよー」
あと私はどちらかと言えば美人系じゃないかな。大人の女よ?
「そうだ。ディア君のお姉さんに会う前に、身体を綺麗にしておこうか」
「はい、となるとしっかり洗浄魔法を……」
「あ。ごめん洗浄は禁止なんだ。神様がそう言ってた。特に靴下は履きまわすように」
「……そうなんですか?」
うんうん、その靴下はギリギリまでディア君に温めてもらって、その上で回収させてもらうからね!
「というわけで公衆浴場だ! さぁ、入ろうか、お風呂に!」
「……あの、ボクこんな格好なんですけど」
「じゃあ女湯においでよ。私は構わないよ?」
「ボクが構いますし、流石に男だって分かりますよ!!」
そうかなぁ。股間だけ隠せば案外行けそうだけど……
「じゃ、仕方ないからディア君は男湯にいっといで。お風呂入るのに服を全部脱いじゃえば同じだし、着替えに戻るのも面倒でしょ? 私は女湯入るから、出たら合流しよう」
「うー。わかりました。ええ、脱いでしまえば同じですからね」
空間魔法を使えば一瞬で着替えられるのは言わないでおく。
相変わらず銭湯のような公衆浴場。爺さんか婆さんか、目が見えてんのか見えてないのかも分かんねぇ番頭さんに2人分の入浴料と石鹸代を払う。手ぬぐいは私の分はあるのでディア君の分だけ購入だ。
「んじゃまた後でねー」
「はい。また後で」
私は女湯、ディア君は男湯へ。あっ、オバちゃんどーも先日ぶりー。ねぇマリア婆の正体知ってた? 知ってたの? もー、言ってよー。たまたま会ってビックリしたよぉ。
え? なんか先日より肌艶がいいって? うーん、男の娘からしか摂取できない栄養素をたっぷり補給したからかなぁ。オホホ。
「痴女だぁああーーーー!」「いや美少女エルフだぁーーーー!」
「ぼ、ボクは男ですからぁーーー!?」
尚、男湯の方からはそんな叫び声が聞こえたり聞こえなかったりした。








