エルフの子 ●挿絵アリ
人身売買ってのはなぁー、正当な奴隷ならともかくなぁー……
子供はなぁー……
ん? でもよく見たら身なりのいい服を着ているので奴隷とかいう感じはない。
首輪とかはついてないよねぇ……? となると誘拐、か?
「あー。その、大丈夫?」
当たり障りのない言葉を投げかけると、ビクッと震えるエルフの子供。銀髪のポニテが併せて揺れた。えーっと、男の子かな? 女の子かな? 服装は半ズボンだけど……このかわいらしい顔。うーん、分からん。でもとりあえず美形である。やっべ可愛い。
「言葉通じる? もしもし?」
「えうっ……!」
あ、ヤバこの子泣きそう。まってまって。
「静かに。……敵が来てしまう」
「っ」
口をそっと塞ぎ、そう言って止める。
いやまぁ敵とか来ないけどね。ここ収納空間だし。でも私の想定通り黙るエルフっ子。
「君はどうしてこんなところに?」
「……えと……ボクは……船が海賊に襲われて……木箱に隠れて」
ああ、なるほど。積み荷に隠れてそのまま奪われて、倉庫に積まれてたのか。
……んんー、ってことは、ここらへんの積み荷ってこのエルフっ子が正当な持ち主だったりする?
あー、そんなん強盗できないじゃんよぅ!
私は子供から強盗する趣味はねーんだよぉ! もー! こういうのばっかかよぉ!
話を聞くに、襲われたのはおよそ3日前。
洗浄魔法や水魔法があるので箱の中でも細々と生き延びられていた感じかなぁ。
……あ。もしやあの飲み比べしてた日の『成果』かなぁ。コレ。
「お願い、姉様を助けて……!」
「えー、お姉ちゃんもいるの?……お姉ちゃんがいるのかぁ! よし、詳しく話したまえ! 他の箱に入ってるの? あ、こっちの箱? 別の箱かな?」
「い、いえ! 姉様は……ボクを隠すために海賊につかまって……!」
ふむふむなるほど。この子を箱に隠して、姉がどうなったかはよく分かってない。外の会話を聞いていた分にはゴメス達に捕まってしまったようである、と。
そして隠れているうちに倉庫に搬入されたものの、上に箱を積み上げられて閉じ込められてしまったと。
……んー、少なくとも姉の方はこの荷物の中にはなさそうだ。
っていうか他の荷物は何が入ってんだ? と空間魔法でスキャンしてみる。
布に、服に、酒に、香辛料かなこれは。んー、少なくとも人は入っていない。
こっちの方はゴーレムのパーツかな? 多分ゴメスティ商会の予備だ。あー、こっちはもらっても良いかな? いいよね? 欲しいもんゴーレム。
……いやぁ運がいいやら悪いやら、一番最初に開けた箱にたまたまこの子が入っていたようだね。
まぁどうせ全部開けたから順番の問題なだけだったわけだけど。
んんー。でもあれよな? 許可証がある船なら海賊は見逃す約束のハズだよなぁ?
このエルフんちの商会が無許可で来てたって事か?
いや、ゴメスのことだから、許可があるのを無視して外からやってきた船だから「来なかった」事にした可能性があるなぁ。船交易ってギャンブルなところあるし。(久々の基本的知識さん参照)
でもまぁ、とりあえず大事なのは一つ。
この子の『お姉ちゃん』であるということは、美女であろうことは間違いなしということ! その靴下ともなれば、きっと高得点のSPがいただける代物に違いない!
「分かった。私がお姉ちゃんを助けてあげよう!……ところで、君って男の子? 女の子?」
「お、男です」
チッ! 男か!……いやまて。こんなかわいいなら男でもイケるかもしれん! 神様は言っていた。別に男や子供でも構わないと! というか今女である私から見てもこの子なら十分イケるレベルというか……んんんゴフゴフ。まぁ子供だから手を出したらアカンのだけどね? うん。
ともかく! 大事なのは羞恥心だって話だからな。どうにかして羞恥心さえ稼げれば、この子の靴下だってSPにできるはず!
しかし……男、羞恥心を煽るには……?
「……!」
そして私は気付く。木箱の中にある服、そいつが女物であることを!! この子、子供サイズの服もあるということを!!
コレはつまり、神様のお導きに違いない! 決めたぞ!
私はこの子を男の娘にするッッッ!!!!!








