世界が光に包まれた
はい。というわけで学校に行くことになります。
魔法を教えてくれる学校……オラ、ワクワクしてきたぞ! 空間魔法以外の魔法って全然使ってないからなぁー。
ま、空間魔法が万能すぎるから仕方ないんだけど。
それで、早速試験の方は手配してくれるとのことなので、朝ご飯を食べてから学校へ。
倉庫番のベルガモット(アパートの1階に住んでいた)に見送られつつ、学校には馬車(例によってアーサーが馬)で向かった。御者はレナで。が、ぶっちゃけ馬車は必要なかったくらいに徒歩圏内であった。
なのになんで馬車に乗ったのかと言えば、ディア君が女子制服で外を歩くのを渋ったからである。可愛いね。
馬車の窓から見える学校は、赤レンガ造りで少しツタが絡んでいるような校舎だった。周囲は鉄柵で囲われていて味わい深い。鉄を操る魔法で作られたものらしい。
そして敷地内にはグラウンドやらなんやらで、わりと土むき出しの広場があったりで日本にあるような学校っぽさを感じた。教育に必要なモノを考えるとおのずと似るのだろう。多分。きっと。
「思ってたより普通っぽいね?」
「別に、エルフだからといって自然にまみれていたいわけでもないんですよ?」
「そっか。ディア君も鉄と油の機械技術大好きだもんね。ゴーレムとか」
「ええ、魔道具は心洗われます。あと五大老さんたちに色々教わってるのでやっぱり学校なんて行かなくてもいい気がします」
まぁウチの五大老達、その手の最高峰だからね。それが5人がかりの個人授業とか、確かに本来いくら積んでも無理ってレベルの環境だな? でも今回は魔法を習うので。よろしく。
馬車に乗ったまま、門を抜ける。守衛さんにニコッと笑顔を向けて校内へ。
制服を着ていれば特に検められることもない様子。ガバガバ警備だなぁ。いいのかそれで? 王族通うような学校ちゃうのん? と思ったらレナがメモを受け取っていた模様。それをディア君が受け取る。
「……事前に姉様が話を通してくれているみたいですね」
「なるほど、それなら納得」
今朝やってきてもう連絡済み、仕事が早いねクミンさん。明日には教科書とかも揃うみたいだし有能だなぁ。
「試験は第三試射場でやってくれるみたいです。レナ、あっちに向かってください」
「かしこまりましたお嬢様」
試射場。なるほど、魔法をぶっ放すならそういうのもあるのか。と、ちょっとだけ感銘を受けつつ、馬車は向かう。まるで打ちっ放しゴルフ場かバッティングセンターかといったような試射場に到着すると、教員らしきエルフのおじさんが走ってやってきていた。眼鏡をかけたオジサンがエルフ耳、という感じ。
あれ、意外と美形のエルフって少ないのかな……? それとも私がディア君で目が肥えてるだけ?
「お、お、お、お待たせ、致しましたっ……はぁ、はぁっ」
「先生、そんな慌ててこなくても良かったのに。急な頼み事をしたのはこちらなんですから」
「いえいえ……って、おや? ディーアソルト君はいずこに? 今、御声は聞こえた気がしたのですが」
この先生、顔を上げてそこに居たのが可愛らしいディア君だったので、ご本人と気付いていない模様。
「……ラクト先生。お久しぶりです。ボクです」
「……えっ! ディーアソルト君ですか!? なんと……そこらの女生徒では比べ物にならない可愛らしさ。なるほど、ディーアソルト君は女の子だったのですね。色々と腑に落ちました」
「いえ。事情がありこの格好をしているだけで男ですから。スルーしてください」
「……???」
この先生、見込み有りだな。うんうん。
「えーっと、ではそちらの人間族の方が今回試験を受けられるというカリーナ君ですね?」
「あ、どもども。カリーナです。よろしくー」
「はい、よろしくお願いします。私はラクトムーン。教員は家名を名乗らない決まりですので、まぁ気軽にラクト先生と呼んでください」
「はーい。よろしくお願いします、ラクト先生」
「大変結構。素直でよろしい。では早速試験を始めましょう」
と、ラクト先生は袋から台座付きの水晶玉を取り出した。
「ではまず魔力量を測りましょうか。カリーナ君。この水晶に手を当ててください、魔力量に応じて光ります」
「あ、ラクト先生。これ爆発したりするやつですかね?」
「いやいやまさか。この水晶玉はドラゴンの魔力も測れる代物ですよ? いくらカリーナ君がクミン様の推薦だからといっても人間族の魔力で爆発なんてしませんよ、ご安心を」
「なるほど読めました。爆発するやつですね。お姉さん、破片には気を付けてください」
「だねー」
「ディーアソルト君???」
一応スキャンして複製を収納空間にコピーしておく。弁償用なのでセーフ。
「ラクト先生。それ地面に置いて少し下がってください」
「え、なんですかディーアソルト君まで。まるでこの測定水晶が爆発物のようじゃないですか」
「しますよ、爆発」
「えっ」
「お姉さんの魔力量ならします」
「……えー、本当ですか? これ結構高いんですけど? 爆発系の魔法で誤魔化すのはダメですよ? そういうの分かりますからね」
半信半疑にそう言いながらも、ディア君の助言に従って地面に水晶を置くラクト先生。
「大丈夫、弁償すっから! コピーもとった!」
「なら安心ですね。お姉さん、どうぞ」
というわけで、私は恐る恐る、地面に置かれた水晶に触る。
ちょん。……まだ爆発しない。
「触ったら台座のボタンを押してください」
「あ、これね。ポチっとな」
直後、世界が光に包まれた。
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