やってきました学園都市
「やってきました学園都市ーーー!!!」
というわけで、移動はカットして到着した。
……いや、ちゃんと移動したよ? 盗賊が襲ってくるかもしれないしさ。でも来なかったんだよ、1人たりとも。モンスターですら。
なんでこんなか弱そうな美少女が御者してるごく一般的な馬車を誰も襲ってこないの? エルフの国って治安がいいんだね……
『いやー姐さん、自分も活躍の機会無くて残念っすわ』
「ほんによぉ。ドラゴンの正体バラす機会一切なしだよ。ちっ、つまらん」
こうなったらもういっそ収容済みの盗賊でもコピーしに監獄でも襲いにいっちまうか?
……いや、盗賊退治の原則『盗賊を倒したときは生殺与奪含め倒した者のモン』をあくまでも守っておきたい。
くっ……! この国でエルフの盗賊団とか居ねぇのかなぁ!!
いっそカツアゲしてくる奴でも……いやその程度で『何しても良い実験体』にするのは可哀想が勝ってしまう。やっぱり襲ってきた盗賊、それを返り討ちにして公的に生殺与奪権がある状態にしとかないと、私が自分を騙せない!
「やれやれ、難儀な性格ですねカリーナ様は」
「おいレナ。私の心の声を読める神器でもあるのか?」
「いいえ、これはただのメイド読心術ですが? お仕えするご主人様の要望を叶えるためのメイドの嗜みでございます。一応、カリーナ様もお仕えする対象ですし」
ディア君に嘘禁止されてるし、ガチっぽいなぁ。スキルかもだけど。
さて、何はともあれエルフの国の学園都市である。
入都市審査の門には短い行列ができていた。学生が多い。ディア君曰く、近場で採集してきた者たちだろうとのこと。いやー、エルフが多い。半数以上がエルフだ。人間や獣人もちらほら居て仲良さげに話しているのはきっとパーティーを組んでいる学生だろう。
……ドワーフは居ねぇな。うん。エルフとは基本仲悪い、というかノリが合わないって言ってたもんなぁ。
「ちなみに名前は学園都市アカデミレコです。最低限町の名前が言えないと入れてもらえませんからね?」
「わ、忘れてないよディア君」
やっべ、忘れてた。ディア君の学生証で便乗していく予定だったわ。
『あれ。じゃあ自分も名前言えた方が良いんすか?』
「アーサーは今、僕ら以外にはただの馬に見えてるはずなので大丈夫ですよ」
「閃きましたディア様。カリーナ様も馬に化ければ良いのでは?」
「おいディア君。今このメイド私を侮辱しなかった? そういうのって禁止してなかった?」
「おやおや、本気だったんですが」
「……レナ、謝罪しなさい」
「申し訳ありませんカリーナ様。許してください、ディア様の下着を盗んでこいとかでなければなんでもしますから」
「くっ! まぁ許すけどさぁ!」
それとふと思いつく。
「ねぇディア君。そういえば並ばなくてもディア君のコネとかで入れるんじゃあないの?」
「あまり使いたくないんですよ。そういうの……特にこの格好ですし」
渋い顔をするディア君。……すごく似合ってるよ? その女子制服。少し袖が余っているあたり、本当に可愛らしい。
うーん、何が不満なのか。こんなに可愛いのに。こんな後輩女子居たら学校生活楽しいぞ絶対。
「お姉さんが男子用の制服を着る感じですよ」
「? なんの問題もないけど?」
「……そうでしたお姉さんそういう人でした。はぁ」
ため息をつかれた。解せぬ。
「神託で、お姉さんがどうしてもっていうから仕方なく着てるんですからね?」
「お、おう。なんかその。超可愛くて似合ってるよ。まさにディア君のためにあつらえたよう!」
「実際五大老の皆さんに作ってもらいましたからね!……うう、なのになんで少しブカブカなんですかね?」
「成長することを考えて、制服は大き目に作るもんだからね」
「普通、成長に合わせて制服も作り直せばいいでしょう。……ああ、五大老製なら10年20年はもつということですかね……」
ああ、エルフの成長感覚ならそうなるのか。制服の方が先にダメになるのね。
サイズ調整機能も搭載してるらしいけど、可愛いからもうちょっと黙っとこう。
ディア君に言わずに私にだけ教えてくれたってことはつまりそういうことだろうし! やっぱウチの嫁達は分かってるよねぇ!
と、そんな風に楽しく雑談していたらあっという間に私たちの番になった。
門番も当然の如くエルフだ。結構ガッチリしてる男エルフ。普通に衛兵だね。
「ようこそ学園都市へ。……ふむ、学生だな。学生証と、持ち込みの荷物を確認する。外出の申請は?」
「……こちらです。外出の申請は半年以上前です。後ろの方は新入生予定なので学生証はありません」
「む……? ??? あ、その。男子生徒?」
「罰ゲームで……」
「あ、ああ、なるほど。……その、慰めになるかは分からんが、よく似合ってるぞ……って、えぇえ!?」
ディア君の学生証を見ていた衛兵さんが驚きの声を上げる。
「あ、お静かにお願いしますね」
「……し、失礼しました。どうぞお通りください」
「あの、荷物の確認を」
「あっ、は、はい。では確認させていただきます!」
うーん。このVIP感よ。
代表で色々と手続きをやってもらってるディア君を見つつ、私達はひそひそと話す。
「やっぱりディア様はとんでもないご家庭のお嬢様ですよね」
「だよねー。にじみ出てるよオーラが。可愛いの大洪水でな」
『ってかディア君ちゃんの苗字って国名っすよね? それってつまり王族じゃねーんすか?』
……んん!? 今アーサーがさらりとなんか言ったぞ!?
「あーあ。アーサー様。それは言わないお約束でしたのに」
『え。自分、なにかやっちゃいました?』
「え、ちょ、マジ!?」
しかし言われてみれば、納得である。
だってお姫様って言っても全く違和感がない美貌の持ち主……!
「マジかよ、ディア君お姫様だったのか……! 身分が違い過ぎる!?」
「おや。カリーナ様も偽造身分ではドワーフの王子だったのでは?」
「そういやそうだったわ」
いやー、ミーちゃんが女王様で、ヒーラーがドワーフの王子になってたんだったわ。
あれ? 意外と王族って身近な存在……? じゃあディア君が王族でも問題ないかぁー。
「そもそも神の御使いの方が立場上では?」
『姐さんっすからねぇ。ドラゴンより強い時点でそこらの王族より発言力あるのになー』
おいおい、力だけですべてが決まるなら私は多分この世界で神様の次に偉いんだよ?
私よりもっと強いヤツいるかもしらんけど。
(ニコニコ静画、地味にちょいちょい更新されてます。コメントつきはいいぞ…!
みんなもっとコメントして! ちゃんと読んでるから!)








