なんですかそのピンポイントな神託ッ!?
結局、宿には泊まらず次の町を目指すことになった。
……エルフの色街とかには惹かれたけど! それはこの先の方がエルフ率が高そうだし……!
そしてなによりディア君がいるのにそういうお店に出入りするのは……ねぇ?
行くなら一人の時に一人で行くわ。シュンライ亭みたくね。
一応冒険者ギルドには顔出したけどね。荷運び依頼を更新。お小遣いゲット。
ついでにこの付近の盗賊情報とかも聞いてみたけど……うん、平和らしい。チッ。エルフ狩りしてる犯罪者はいねぇのか。
はい、というわけで野宿です。馬車持ちが野営できるスペースがあったので堂々と陣取って車中泊キャンプの如し。車の扉を拠点へつなげておけば寝る時はいつものベッドだ。
……煌々と明るい焚火に盗賊が寄ってきたらいいなぁ、と思いつつ、焚火でマシュマロを焼いて食べてます。うまし。
「うーん。美味しいねぇディア君」
「はい、お姉さん。……よくやりました、褒めてあげますよレナ」
「恐悦至極に存じます、お嬢様」
あ、マシュマロ作ったのはレナね。こういうのも作れるとかさすが混沌神のメイド。
で、焼いたマシュマロをつまみ、ずるんと皮を剥くようにしてその皮を食べる。これが正しい焼きマシュマロの食べ方らしい。しらんけど。
剥かずに食べてこんがりサクサクふわトロのを食べても美味しい。
あとでアイシアや五大老の皆、マシロさんにも食べさせてあげなきゃね!
ミーシャ? まぁくれてやってもいいか。ほれ、アーサー(馬に擬態中)も食べなさい。美味しいぞ。
「そういや、エルフの国のこと聞きたいんだけど、いい?」
「はい。何でも聞いてください。ボクに答えられることならなんでも答えますよ」
「ディア君のスリーサイズは?」
「お姉さん? それは国の事ではありませんよ? あとそれは五大老の皆さんに聞いてください。ボクは覚えてないので」
「おっとつい」
うっかり聞いてしまったぜ。思わず聞いたのが下着の色じゃなくてよかった。下着の色を聞いてたらディア君から冷たい目で見られていたところだった。
では改めて。
「エルフがいる、森や世界樹がある、以外になにか特色とかあったりするのかな? ほら、テラリアルビーは闘技場があったりしたじゃん?」
「うーん。ダンジョンがある町もあれば、娯楽が盛んな町もありますから、エルフと世界樹以外の特色というと……」
口元に手を当てて考えるディア君。
考え込むディア君に、レナがそっと耳打ちする。
「お嬢様。魔法学校の学園都市はこの国ならではではないかと」
「ああ……ありましたねそんなものも」
魔法学校。学園都市。なんだとそれは、心躍る響きじゃないか。
「なにそれ詳しく教えて? ディア君もそこ行ったりしてたの?」
「……ええ、まぁ、はい。この国の首都の近くに魔法を主に学べる学校が集まっている町があるんですよ。複数の学校が中心となっている町なので学園都市とも呼ばれていて……というか、ボクも一応そこにある学校の生徒です。今は休学扱いになってると思いますが」
「おおー! その学校、制服とかあるの?」
「ありますけど」
「ディア君の制服姿見てみたい! よし行こう、絶対行こう!」
「あの。一応言っておきますが、ボクが着るのは男の制服ですからね?」
「大丈夫大丈夫。……女物、用意できるよね、レナ?」
「もちろんでございます。デザインも我が記録が残っておりますれば」
エクセレント。私はレナにぐっと親指を立てた。
え、というかなんでそんな制服データが記録されてるの? ああ。カオルの味変用に。なるほどぉ。
「なんなら五大老のみなさんをコキ使えば明日の朝にはできますが、いかがしましょう?」
「そこまで急ぎじゃないから学園都市に着くまでに用意してくれればいいよ。学園デートしようねディア君!」
「……あの。さ、さすがに学園都市では着ませんからね!?」
「え?」
ははは、また御冗談を。
「し、知り合いに見られたら恥ずかしすぎますよ!?」
「なるほど、なるほど」
『つまり――最高に美味しい奴ですね! カリーナちゃん、よろしこ!』
「……今神託が下りた。ディア君は女の子の制服を着るべし、と」
「なんですかそのピンポイントな神託ッ!? 流石に嘘ですよね!?」
「いやマジで。なんなんだろうね……神様ー? 恋人と逢瀬中なのでは?」
『それはそれ、これはこれ! 楽しみにしてますから絶対やってくださいよ! 混沌神さんと一緒に食べるんで!』
『ちょ、私は靴下食べな……』
『あああ可愛い可愛い! 一番おいしいトコを口移ししてあげますからね、ちゅっちゅっちゅー!』
このあたりに祠でもあるのかな。声がやけに鮮明すぎる……え? 恋人からパワー得て元気5000兆倍? 世界中どこでもイケちゃうって? そっかー。コッショリ君使わなきゃ覗かれ放題かぁ。
……ああ、でも恋人をむさぼるのに忙しいから頻繁に覗くほどでもない、と。……バランス取れてると言っていいんだろうか??
「なるほど。カリーナ様、私にも御声が聞こえました」
「聞こえちゃったか。神様が混沌神むさぼってるからかな? 混沌パワーの影響だろうね。私にも混沌神の声聞こえたし」
「……レナ、本当にそう言ってたんですか? 虚偽は認めません」
「はいお嬢様。神様は本気でディアお嬢様の制服女装を楽しみにされています」
「……そうですかわかりました。手配お願いしますね」
嫌そうだけど納得したのかそう言うディア君。
かしこまりました、とレナが頭を下げた。
「あれ。私、信用されてなかった?」
「念のためです。念のため……だってボクに女装しろだなんて奇妙すぎる神託、普通に信じられないじゃないですか。お姉さんじゃなかったらそもそも一笑に付してますよ」
「それはそう」
『あ、ディア君ちゃんに伝言! 他の人には私の趣味嗜好のことはナイショですよ? 清純派な神様で通ってるので!』
「……他の人に言ったら神罰下るかもだから絶対秘密にしてね?」
「神罰。なるほど、口封じ……」
『そこまで言ってないんですけどぉー! でも大体あってるからヨシ!』
ヨシらしいのでヨシ!








