漏らしたやつは良いですよね?(レナ視点)
カリーナ達の馬車がエルフの国に入り、最初の町まで向かう道中。
その無防備な馬車――実際はドラゴンが引き、御者が神の使徒という凶悪仕様の罠――は、当然のように盗賊達に捕捉されていた。
「おう、見ろよあれ。上玉の女が荷まで運んでやがるぞ」
「こりゃあツイてるな。しかもエルフの女までいる」
エルフ狩りの盗賊どもはニヤニヤと獲物を眺める。
勿論、襲い掛かったが最後であるし、エルフの女ではなく男の娘なのである。
「よし、早速襲い掛かりに――んん? どうした。馬が動かねぇぞ」
「あんだ? ビビってる、のか? おい、こっちの鳥も動かねぇ」
「俺の鳥も動かねぇぞ、どうなってやがる!」
しかし、足に使っている馬やダチョウのような鳥が、獲物相手に近づこうとしない。むしろ距離をとろうと後ずさりしている。
……動物たちは、ドラゴンの気配を感じ取っていた。
たとえ姿が馬に見えようと、ニオイが隠せていない。魔力が隠せていない。その巨大なオーラが、動物たちの足を止めていた。
「……何だってんだ一体? 気味が悪いな」
「俺も寒気がしてきた。あれはヤバいんじゃないか?」
「ああ、思えばあからさますぎる。あの積み荷も実は兵士が隠れてたりして」
「極上の餌ってことか。やべーな」
「だな。くわばらくわばら」
「へぇ。そのおまじない、この世界の盗賊も使うんですね」
男所帯の盗賊たちの中に、似つかわしくない女の声。
見れば男たちの中心に、メイドが立っていた。
「て、てめぇ、誰だ!?」
「しがないメイドにございます。お見知りおかなくて結構ですよ」
にこりとメイド――混沌神の眷属、レナが微笑むと、バチリと電流が流れる。そして、盗賊達は動けなくなった。どさ、どさと倒れる音。意識は残っている。
「放電バチバチ君はザコの鎮圧に便利な神器ですね。ではあなた方が貯め込んでいる財宝の所在やエルフ等が居れば、吐いてもらいましょうか……なに? 口がしびれて喋れない? ではこちらの記憶チュウチュウ君の出番ですね」
「へは……? あが!?」
そう言ってレナはニコリとほほ笑み、適当な盗賊を選んで頭に電極をぶっ刺した。
「あが、あがががが」
「ほうほう、なるほどなるほど。ありがとうございます、よくわかりました」
電極を抜いてポイッと捨てる。
「これでしばらくはお嬢様に色々と貢げそうですね。カリーナ様はお嬢様に良いところを見せたいそうですが……漏らしたやつは良いですよね? ええ、これはアフターケアですとも。通り過ぎたアフターをケアするだけです」
そういったフォローは禁止されてませんからね、とレナは盗賊達にしっかりトドメを刺し、アジトへと向かった。
幸か不幸か、アジトに囚われのエルフ等はおらず、レナの懐だけ潤った。
(そういえばComicREXの献本を貰ってたので更新です
コミカライズ版のオリキャラ、サクラたんが出てきたぞ……!
ひどいめに遭うことが約束されたメスガキ!
ニコニコ静画でのコメント付きで見るのも好きなので、みんないっぱいコメントして……
https://manga.nicovideo.jp/comic/70890?track=official_list_s1
)








