馬車の調達
ともあれ、エルフの国に向かうことになった。
まぁ私の空間魔法にかかればいつものように拠点でゴロゴロしている間に着いてしまう。なんなら空を飛んで目視し、秒で空間繋げちゃえばいい。
だがそれだと実験体が手に入らない!
故に、私はフツーに「移動のアリバイ作り」を理由に魔道具の車をカッ飛ばしていく。……うん、これだと盗賊が襲おうと思う前に走り抜けてくね。
もっと遅い移動手段が必要だ。
「折角だし、盗賊ホイホイも兼ねて護衛も付けない馬車でも使おうか」
「馬車ですか。お姉さん馬車なんて持ってましたっけ?」
「なーに、なくてもコピーできる」
よく考えたら馬車を超える移動手段が既にあるんだし、馬車なんて自分の趣味用ってことでコピーしても私の自主規制ルールにひっかからない。
馬車の調達は私にとって実にイージーなミッションだ。
……なんなら五大老の皆に頼んだらポンとくれそうだけど!
無駄に高性能な新品から粗末な馬車までより取り見取りだろうなぁ。
私は拠点からちらりと窓を開け、錬金王国の――そういや責任者居なくなったけど大丈夫なのかな……ブレイド先輩には一応一言言っといたけど……――適当な馬車を選び、コピー。
流石に馬までコピーするのはちょっと気が引けたので車部分だけだ。
「お姉さんの魔法って本当に反則的ですよね……あれ? 馬はないんですか?」
「さすがに生き物のコピーはねぇ。微生物や虫やモンスターならともかく……哺乳類はねぇ」
そういうのは今から調達する実験体にだけやって試すことにしたい所存。
死罪になる罪人なら実験もコピーもしていいよね!!
「じゃあ馬はどうするんですか?」
「アーサーの見た目を馬に偽装するから大丈夫だよ」
『!?』
リビングでゴロゴロしていたアーサーがバッとこちらを振り向いた。
最近腹出てぷにぷにしてきてない? 丁度いい運動だと思うんだよねぇ。っていうか元々お前私に攻撃してきたから強盗みたいなもんだったよね? なら実験みたいなことしてもいいんじゃないか……?
「ヒーラーの要領で手足と首とかを作り替える感じで行けると思うんだよね」
『せめて迷彩の方でお願いしたいっすよ!?』
「む、仕方ないなぁ。せめて馬サイズにはなってね。デカすぎるとぶつかって面倒だし。あと羽と尻尾はこっちに収納しとくね」
『……ウス』
アーサーは快く馬役を引き受けてくれた。
よし、これでエルフの国に行っても大丈夫だな!
……あ、まてよ? 実験体が必要っていうの、私じゃなくて五大老の皆が欲しがってるからって言って捕まえれば、ディア君の私へのイメージをくずさず実験体をちょろまかせるのでは?
実際欲しいって言ってたし……奥様へのプレゼントは大事だよねぇ! ヨシ!
(以下お知らせ)
『いつかお嬢様になりたい系ダンジョン配信者が本物のお嬢様になるまで』
が【5月15日(木)】よりCOMICユニコーンで連載開始いたします!
たぶんここのサイト→ https://unicorn.comic-ryu.jp/
小説書籍すっ飛ばしての漫画原作ですわー! よろしくお願いしますわね!








