新たな場所へ行く口実
そういえば結局、当初の目的――良心の呵責のない、何でもしていい実験体は手に入らなかった。
ので、別の国に行ったら盗賊とか襲ってこないかなぁと思う所存。今までの所治安が良すぎるんだよね。最初来た時はそうでもなかったと思うんだけど、いざそういうの探すと見つからない程度には。
ソラシドーレの町もチンピラ全然居ないんだよねぇ……まさか私がチンピラ狩りしたせい? まさかねぇ。
というわけで。実験体入手という目的は隠しつつ、新たな場所へ行く口実が何か欲しい。
……ディア君にはそういう後ろ暗い実験体が欲しいなんて言えないし。
うーん、何かないかなぁ。
あっそうだ!
「アイシアの故郷やマシロさんの故郷には行ったんだし、次はディア君の故郷にも行くってのはどうかな!」
「僕の……エルフの国ですか」
うーん、と腕を組んで考えるディア君。
「あんまりおススメできないですね」
「そうなの?」
「はい。エルフって結構狙われてるので、密入国したエルフ狩りが居たりして治安が良いとも言えなくて」
それ丁度求めてたヤツぅーーー!!
渡りに船じゃん! なーんだ。最初っからそっち行けばよかったかぁ!
「なら、通りすがりにそういうの退治して治安向上に貢献ってのも――」
「ディアお嬢様。ご命令とあらば、エルフ狩りなる不届き者、逆に全て狩り尽くして参りますが」
「えっ。レナ、そんなことできるんですか?」
「ご要望とあらば喜んで。3日ほどお時間いただければ、と」
「3日……ふむ。それなら――」
「わー! 待って待って!」
話に割り込んできたレナを止める。コイツだとガチでやりかねない。いや、やる。
混沌神のガチ眷属であるこのメイドホムンクルスにはそれだけの実力がある。
「どうしましたかカリーナ様? まさか、私がエルフ狩りを全滅させてしまうと不都合があるとでも?」
「……流石に過干渉で良くないんじゃないかなぁって。通りすがりで会ったら狩るくらいでいいんじゃない?」
「は? 生温くないですか?」
ぐぬぅ! 確かにその通りなんだけど……その通りなんだけど!!
「わ……」
「わ?」
「私だってディア君に良いとこ見せたい……から、私の分も残しておいてくれないと困る、っていうか?」
「おやおや。うふふ」
ぐっ……なんかムカつくなぁこのメイドホムンクルスがよぉ!!
笑うならもっとちゃんと笑えよぉ!
(以下お知らせ)
3/21、書籍版3巻発売ーー!!!
3/27、コミカライズ版1巻発売ーー!!!
小説版→ https://gcnovels.jp/book/1837
コミカライズ版→ https://ichijin-plus.com/comics/174855080198684
というわけで新刊出ましたわのお知らせですわ。
マシロさんが表紙の3巻! もう出てます!! 一応最終巻……ですわ!








