真・混沌神
真・混沌神。ようやく見つけたそいつは、こちらに寝返りたいと言った。
「で、お前は俺っ子なのか、それとも女装男子なのか。どっちだ白状しろ」
「……もっと別のところ聞かれると思ったんだが……まぁそこも重要なとこか。俺は――今の俺は身体は女だが、中身は男だ」
「ほう……?」
「曰く、性別と身体が異なる方が混沌に属する錬金術を使いやすくなるらしいが、本当かどうかは分からん。ともあれ、俺は前世では男だった」
何と。こいつ私と同じTSの者か……!
「じゃあ女の子ってことでいいな」
「ああ。魂はともかく身体が女なのは間違いない。そして俺は女湯に入りたいので女で頼む」
「……甘いな。女湯にはそれほど夢はないぞ……オバちゃんばかりだ」
「何!?……じゃあそれを確かめるために一緒に入ってくれ頼む」
「仕方ないな、機会があれば一緒に入ってやろう」
そう言って私とコイツでお互い舐めるように身体を見合った。
なんだろう、コイツすごく気が合う……! 日本で会ってたら親友になっていたかもしれないな……
「あ。でもアレだ。真・混沌神を名乗っているヤツを神様に突き出さないといけないんだよな。じゃないとこの国はまた滅ぶ」
「……それなんだが、俺は実は一度も自分から真・混沌神を名乗ったことはない。ホムンクルスのメイド――俺への監視が勝手にそう言っているんだ」
真・混沌神……否、他称・真・混沌神は、そう言って大きなため息をついた。
「あれ? ということは、お前の背後にいる奴が『真・混沌神』の黒幕ってことか? そうなると、確かに話が変わってくる」
「だろ。どうにか助けてもらえないかな」
「うーん、神様に聞いてみないと何とも言えないけど……」
混沌神という名前に対する冒涜度で考えると、『勝手にそう名乗らされている者』よりも『そう名乗らせている黒幕』の方が悪質でタチが悪い。
原因を取り除かなければ、今後何人でも『混沌神モドキ』が生まれてくるだろう。それを考えれば、本当のターゲットは……黒幕の方!
神様もきっと、おそらく、多分そう言うに違いない!
ただ懸念があるとすれば、名乗らされていただけでも神様が許さなかった場合だろう。あの神様だとあり得るから困る。
「……神様からの心証をよくする必要があるな」
「よし、俺にできることは積極的に協力する」
「なら私からのアドバイスだ。靴下は履きっぱなしで温めておけ」
「? 何故に?」
首をかしげる金髪美少女。私も知らなかったらそうなってただろうな。
「にゃーにゃー。その、見張りってメイドってのはどこにいるにゃ?」
「答えよう猫のお嬢さん。さすがに寝返る相談するところには連れてこれないから、ダンジョンのベッドルームで待機させているぞ」
「ほう、好きモノにゃんね。カリーナといい勝負にゃ」
「言うなミーシャ。……ってか、なんでベッドルーム?」
「……健全な男の精神の持ち主が、エッチなメイドさんに迫られまくって身体の関係を持たないはずが無い。いや、間違いなくハニトラの類なんだろうけどな。逃げられないし」
それはそう。私は納得して頷いた。
「って、いやそうじゃなくて。ダンジョンにベッドルームがあるのか?」
「逆にないはずが無いだろ、人工ダンジョンはいざって時は籠城して戦える場所。つまりはシェルターだぞ? 休憩場所くらいあるさ」
「言われてみれば確かに」
そしてメイドにはベッドを温めておくように命令し、コーヒーブレイクを取る時間程度には一人でこの部屋まで出てこれたらしい。
「まずはそのホムンクルスメイドさんを拘束だな。黒幕について吐かせよう」
「できるか? かなり強いぞ。改造リザードマンなんて目じゃないくらいに」
「できるさ。私はメチャ強いからな、任せとけ」
私はにこっと笑顔で答えた。……あ、でもこの部屋みたく空間魔法阻害する対策されてたらちょっとキツイかもな……?
(期間限定で、カクヨムのサポーター限定近況ノートにちょっとしたオモチャなツールを置いときました。
なろうの方で言うのもなんだけど、カクヨムでサポーターの人は良かったら持ってってね)








