おやおや?
「巫女姫様、お付きの方々。朝食をご用意しました」
と、畳の和室で、焼き魚とお米、お味噌汁が食卓に並ぶ。ほうれん草の和え物もあってごく普通の一汁二菜、和食の朝食。
「……って和食だこれー! 普通にあるのか、和食!!」
「お姉さん、ワショクってなんですか?」
「あー……ウチの故郷の伝統食? 大体こんな感じのメニューだよ」
まぁ転生者だか転移者だかが普通に居るであろう世界だもの、和食があってもおかしくない。……むむむ、こうなると朝ごはんしっかり食べちゃって食べられないのがもったいないな……
あ、普通に時間停止した収納空間にとっとけばいいのか。あとで食べよう。ぽいっとな。
ちなみに箸と木のさじが置いてある。箸が使えない人にも考慮された良い心遣いだ。おもてなしだな!
「……にゃー、変な匂いにゃー」
「味噌汁だね。味噌は苦手? ご飯と混ぜて食べると猫まんまという飯になるんだよな」
「混ぜて良いのか! どれどれ……おー! こりゃ結構イケるにゃあ!」
ミーシャは何の躊躇もなく味噌汁をご飯にぶっかけ、木のさじで食べた。焼き魚も尻尾をつまみ上げて頭からバリバリと食べている。骨刺さるよ?
「ボクは別々で食べますか。普通にこちらが主食でこっちがおかずですよね、それとスープ」
ディア君はすんなりと箸を使って食べていく。
『自分もいただくっすねー。焼き魚ー、焼き魚ー』
ガーッと焼き魚を丸のみするように食べていく。ご飯とみそ汁は食べるの? あ、食べるんだね。フツーに。
「ふー、くったくったにゃー」
「ごちそうさまでした」
『あー、まぁまぁだったっすね!……ふぁぁ……』
と、アーサーがあくびする。
『なんか眠くなってきたっす……』
「おいおい、昨日夜更かしでもしたの?」
くしくしと目を擦るアーサー。顔を洗う猫のようだ。
「あー、2食分の飯食ったら眠くなるもんにゃ。……すやぁ……」
「ボクもお腹が膨れて眠くなって……んん……」
おやおや? ミーシャとディア君も横になってしまった。
……
「おーい?」
つんつん、とディア君の頬をつつく。ミーシャの尻を軽く叩く。アーサーの鱗を1枚もぐ。うん、起きないなぁ。グッスリにしても程がある。
さすがに不自然だ。
あっ! これもしかしてアレじゃね!? ご飯に睡眠薬仕込んであって、それで私達を生贄にしようっていうアレ!
「……よし!」
乗るしかないこのビッグウェーブに。
私もそっと横になった。寝たフリしとけば、ドラゴンのところまで運んでくれるんなら楽でいいね。
あ、もちろん後で報復はするぞ。ドラゴンけしかけて靴下差し出させなきゃだからね。それと睡眠薬なしの和食も作ってもらわなきゃだ。
変な所は触るんじゃないぞ? 女の子だったら触っていいけどね。








