大会の準決勝で敗退
かくして、私は大会の準決勝で敗退した。
いやー、よくよく考えたら優勝してたらカリーナちゃんの名声がヤバかったな!
「お疲れ様です、あるじ様。……優勝されなくてよろしかったのですか?」
「大丈夫、神様が報酬を約束してくれたからね。というわけで、さっさと引き上げて教会いくよ」
さっさと逃げなきゃガロウ将軍あたりが文句言いに乗り込んできそうだし。
そもそも私、あまり目立ちたくなくてヒーラーを作ったはずなのに何普通にカリーナとして優勝しようとしてたんだろう。
まぁ今なら目立ってなにかしらあっても五大老の皆の庇護があるからテッシンに引き籠れば大丈夫なんだが。あれ? もうそれでよくね? ロリハーレムで爛れた淫蕩の日々とか超楽しくね? マジヤバくね?
……いや、それはディア君の教育に悪いか!
ちゃんとした大人なところを見せてあげなきゃだよな。
え? ディア君の方がしっかりしてる? それ禁止カードだぞ。
「それでお姉さん、最後の試合はなんだったんですか?」
「ちゃうねん」
そしてディア君の純粋な小首をかしげた質問に、思わず関西弁が出た。
ちゃんとした大人を見せる前に、あの試合を当然ディア君も見ていたわけで。
「ミーシャ選手を、その。ああしろって。神様が。たぶんそう、悪魔祓い? みたいな?」
「ああ、なるほど。悪魔祓い……そういうことでしたか」
うん? ごめんどういうこと? 自分で言っといてなんだけど。
「つまり、ミーシャ選手をあの場で、ああいう扱いをする必要があった……ってことですね! そうしないといずれミーシャ選手が世界を滅ぼす魔王になる運命だったとかで。神像も輝いていましたし」
「んん、まぁ必須ではないけど、非常に効率が良かったのは間違いないね。ああして心をベキバキ折っておく必要が、ね? うん。神像も輝いてたし」
神様がオッケーって言いました、だからヨシ! 何を無駄に輝いてんだあの像とか思っていたけどありがとう神様。
ちなみに私達がスムーズに控室で合流できたのも、神像が光ってたことでなんかわちゃわちゃとしていたから、というのもある。
なんとかディア君への言い訳は済んだので、私は控室に向かってくる足音から逃げるようにディア君とアイシアを連れて転移した。
そして駆け込むように教会へGO!
「お、シエスタホントにうさ耳じゃん。かわよ」
「あら、ご同輩。いらっしゃいませ」
ニコっと笑ううさ耳シエスタ。
「あれ? お姉さんここのシスターさんとお知り合いだったんですか」
「ん? まぁそうだね。というか――」
――というかシエスタは複数だけど一人だし、とディア君に言おうとしたところでそっとシエスタに口を押さえられた。
「先日、コッソリお祈りに来られたんですよ。敬虔な信徒ですね」
「あ、そうなんですね」
「えっと、うん、そうなんだよ」
話を合わせつつ、どういうこと? とシエスタに目で尋ねる。
「……この世界の人には理解できないシステムになっていますので。ご同輩に分かりやすく言うなら、世界の真理に触れてSAN値直葬、だそうです」
「あ。うん」
理解しちゃうとSAN値削れて一時的発狂とかしちゃうやつか。
シエスタに会いに来るときは基本的に一人で来た方が良いなぁ。
ともあれ、私は神様にお祈りを捧げた。さーて、納品でごぜーますよー。
(カクヨムの方で★レビューいただきましたわー! ありがとうございますわー!)








