五大老のみんなとマシロさん
「あれー? なんか酒盛りしてる」
私がアイシアと一緒にヒーラーのお仕事をして拠点に戻ってくると、五大老のみんなとマシロさんが酒盛りしていた。
お、クロウラー干し肉。結構クセになるんだよねーコレ。水戻ししたやつもいいけど、乾いたままのもまたオツというか。
「おう、カリーナ! 今ちょうど新入りの姉さん達と酒飲んでたところだよ。ったく、住人が増えたんならちゃんと紹介しろよな!」
「ああうん。そうだねゴメンゴメン」
すっかり出来上がってるじゃん。
え、何この大樽。中身全部火酒だ。え、ルーちゃんの手作り? へー。……私がこの間買った量より多くね? え、今日はこれ全部空けるって? お、おう。さすドワ(さすがドワーフの略)。
「んじゃ簡単に紹介するねー。こっちマシロさん。こっち五大老」
「「「「「よろしくー」」」」」
「おう、よろし……ゴタイロー?……ご、五大老ォ!?」
マシロさんがむせた。お水飲む? はいどうぞー。
「ほら、やっぱ正体知らないと流れでお友達になっちゃうっしょ?」
「バッ、アホかぁ! 常識を考えろ常識をッ! 酔いが醒めたわ!! 五大老って老人じゃなかったのかよ、こんな若ぇだなんて聞いてねぇぞ!!」
私に向かって噛みつきそうな勢いで叫ぶマシロさん。しっぽがぶわってなってる。ぶわって。なにそれどんな感情? すげー、モフモフしたい。
「ね、ドワーフって若く見えるよねー。全然区別つかないんだよ」
「いや、アタシは鼻で多少は分かるんだが……酒で鼻がイカれてたってレベルじゃねぇんだが……っ」
「あー、ちょっと若返らせちゃったからかな。うん」
そういうと、マシロさんは目元を押さえて口をあんぐり開け天を仰いだ。
ってか、マシロさんはドワーフの年齢分かるんだ、ニオイで。
さすがマシロさんだねぇ。
「やーん可愛い反応ー! ウチのことさっきみたくミーさんって呼んでいいんだよぅ?」
「そうそう。シーさんって呼んでー? ほらほらー」
「もふもふーもふー、尻尾素敵、これ枕にしたいなぁー」
「酔いが醒めたんならまたいっぱい飲めるねー、マシロちゃん」
「遠慮しなくていいからねー、はい、おかわりついであげるー」
「お、おう。あ、アリガトウゴザイマス……」
あ、みんなも分かってて五大老なこと隠してたね? マシロさん真面目だからこういうのネタばらしした反応たのしいよねぇー。わかるー。
「ンもー、みんなイタズラ好きなんだから。あんまりマシロさんからかっちゃダメだよ? でも仲良くしてあげてね!」
「「「「「はーい」」」」」
と、手を挙げて可愛らしく答えるみんな。うんうん、息ぴったり。5人とも仲良しさんだねぇ。
「おまっ……ああ、もう、そんな子どもみたいに扱っていい相手じゃ……ッ!?」
「ささ、マシロちゃんはウチたちと飲みの続きだよぅー」
ミーちゃんにがしっと尻尾をつかまれるマシロさん。
「ヨシ、私も混ざろうかな! 今日は一仕事したし、いいよねアイシア?」
「なら工房行って飲んでください。ディア様の教育に悪いことになりそうですし。おつまみは届けますね」
「……そうだね! みんなー、工房に移動するよー」
その後、私の記憶は例によって飛んだわけだけど……
なぜか翌日にみんなで朝風呂した時には、五大老のみんなもマシロさんをさん付けで呼ぶようになっていた。
酒の勢いでなにしたんだろね、わっかんね。
(工房の寝室には五大老が買い取った媚薬の空き瓶が転がっていた模様)








