一番偉くて重要なのはだーれだ?
一応ギルドマスター、ガルオーンの方には連絡用魔道具モドキを介して事態を教えておく。
犯人らしき者を5人、生け捕りに成功した、と。
「――という状況だ。で、我が魔法で固めてある故に死なせることもない。こいつらは後日引き渡す」
『了解した。もうしばらくはダンジョンが活性状態だから、ヒーラー氏と白銀は予定通り3日後に一度帰還してくれ。その時に受け取る』
ということで、保管して後日引き渡すことになった。
それまでは時間停止させた収納空間に放り込んでおけば一切何の問題もない。というか既にブチ込んである。
ついでに私はガルオーンにひとつ確認をする。
「ああ。我々の方でも多少犯人と話をしようと思う。……拷問等も考えているが、問題はないな? そもそも、我が居なければ生け捕りは不可能であった故、そちらに決定権はほぼ無いものと考えているが」
『む。うーん、まぁ、確かに自決しようという輩だ。後でこちらでも尋問することができる状態であれば目や手足が無くなっている程度は問題ない、ということにしよう』
よし。言質取った。
これで犯人をどれだけ辱めても、ギルドは文句を言えないことになったぜ。フヒヒ。
通信を終える。私はヒーラーの姿も解除した。
「いやー、リュックの中に牢屋まであるとは驚いたぜ」
「作ったばかりだけどね。でもまぁ、その中にいる限り、死なせることはないよ」
「あ、そっか。部屋もパパッと作れちまうんだったか。……アタシのダチはとんでもねぇな」
しかも秘密なんだけどその部屋、時間を止めたりできるんだよね。
神妙にしている風で、実際は私が許可しない限り時間が停止してるんだ。
「で、犯人の生き残りには盛大に『生き恥』をかいてもらうから協力してね」
「……何言ってんのお前?」
マシロさんに真顔で首を傾げられた。
まぁ私も何言ってんだろとは思う。
でも仕方ないじゃないか、神様が羞恥心のこもった靴下を求めてるんだから!!!
「その、ちょっと事情があるんだよ。説明すると世界の闇(神様の性癖という秘密)を背負うことになるけど覚悟はいい?」
「うんわかった、言わなくていい。いくらでも協力してやっから」
よかった。マシロさんがいい人で。
「マシロさんには犯人達の個人情報を一杯教えてもらうよ。ほら、顔見知りっぽかったし」
「あー、名前とかなら知ってるけど、大した情報はしらねぇぞ?」
「十分十分。犯人を辱められればいいんだからね!」
ギルドからは犯人に何してもいい言質は取ったし。十分だよね。
後から文句言われたとしても、私は一切を聞き流す用意がある。
それにほら。神様と、冒険者ギルドマスター……あるいは国でもいいや。
一番偉くて重要なのはだーれだ?
当然、答えは決まってるよね。
* * *
その後、新月を過ぎても特に何もなく、ダンジョンコアの色が真っ黒に戻ったあたりでギルドマスターから通信魔道具モドキでの連絡があり、私達は引き上げることになった。
「結局、襲撃らしいのはあの一度だけで仕事は終了かぁ。あっけなかったな」
「私はマシロさんとの合宿みたいで楽しかったよ!」
むしろ私的にはそちらの方がメインといっていい。
ダンジョンコアの護衛? コアに空間魔法張っとけば最強無敵だよ。
敵だって空間魔法で一発処理できる。楽なもんよ。
最初から楽な仕事だってのは分かっていたってコト。
「じゃ、犯人に盛大な生き恥をかいてもらおうかな! ふひひっ」
「お前、あれだけやってまだ足りねぇのか」
マシロさんの言った通り、私は滞在中も犯人達をちくちくと辱めていた。
だって敵からの追加の襲撃もなく暇だったんだもの。ってか、マシロさんだって協力してくれたじゃないか。
ま、それでもまだまだ足りてないからねぇ!
むしろリーダーが拘束中にさらに罪を重ねたので余計足りてないからねぇ!!
リーダーの連帯責任!!!
「何言ってんの、これからが本番だよ!」
「あー……うん。アイツらに少しだけ同情するわ」
マシロさんはやれやれと肩をすくめた。
(次回、ストック切れのため時間稼ぎ!())








