パパパパパーン、私は倒れた。なむ。
新月を翌日に控えたその日、ダンジョンの中は結構なモンスターで溢れていた。
(ただしダンジョンボスの裏側のここではモンスターの増殖もほぼ関係ない)
一方で、私たちが見守るダンジョンコアはやや黒い色が薄くなっている気がする。
「弱体化……してるのか? よくわからねぇけど。なぁディア?」
「初日と比べたら色が薄いのは間違いないですね」
ディア君(今日は男装)が興味深そうに結界をつついている。
ここに備え付けられた結界は魔道具なので、ダンジョンの状態とは無関係。だけど魔道具なのでディア君も気になっている模様。
……そんなに気になるなら研究用に複製しとくよ? うん。
と、この時ダンジョンボスのところに張っておいた空間魔法センサーに反応があった。
「誰か来たね。ディア君、拠点に戻って」
「あ、はい。二人ともお気をつけて」
「お? ついに客か? それともギルドマスターか?」
「わかんない。でもギルドマスターじゃないよ、知らない冒険者」
少なくとも、扉番に挨拶する正当なルートでやってきた冒険者だ。
ギルドマスターの手配で食料等の補充にやってきてくれた可能性はほぼない。それなら連絡用に渡した魔道具モドキで一言あるだろうし。
ディア君を拠点に戻し、私はヒーラーに変身した。
「このモードの時はちゃんとヒーラーと呼んでくれ給えよ、マシロ殿」
「わーってるよカリ、ヒーラー」
言い直してバツが悪そうにポリポリと頭を掻くマシロさん。頼むよホントに。
暫く待つと、復活していたダンジョンボスが倒され、客人がやってきた。
5人組の男達だ。冒険者パーティーらしい。
「……やぁ白銀! こんなところで何してるんだ?」
「ん? おう、『輝く剣』じゃねーか。お前らこそこんなところに何しに来た?」
どうやらマシロさんの知り合いの冒険者パーティーのようだ。
と、気を抜きそうになった私だったが、マシロさんにそっと小突かれる。あー、怪しいってことね、そうだね。
「僕らはダンジョン攻略だよ。ほら、新月が近くてモンスターが増えてるだろ? 逆に稼ぎ時だと思って。ほら、僕たちは言ったぞ。そっちも言えよ」
「……ギルドの仕事だ。詳しくは言う必要ねぇよな」
マシロさんがとんとんとん、とカカトを3回鳴らす。
事前に決めた合図だ。了解、情報を引き出す方向ね。
「つれないこと言うなよ。……なぁ、その怪しい風体の男はどこの誰だ?」
「今回の仕事の助っ人だよ。ってかビーベイ、お前には関係ねぇよ」
「へぇ、魔道具技師みたいな感じか。で、白銀が護衛と」
そう言ってリーダーの男、ビーベイはふむふむと勝手に納得して頷いた。
「おっと、それ以上近づくんじゃねぇぞ。今仕事中なんだ」
「分かってるって」
そう言って、5人の男達はおもむろに懐から筒を取り出し、こちらに向けた。
直後、5つの破裂音。
……形状はただの筒だけど、それは偽装した銃だった。
「うぐう、な、なにしやがった、てめぇ……!」
「ハハッ、奇襲成功ってね。ケダモノには文明の利器は理解できなかったかな?」
撃たれた箇所を押さえて膝をつくマシロさん。
ちょっと演技臭いマシロさんのセリフだったが、ビーベイは気付かずニヤケ面で近寄ってきた。
「ま、マシロ殿!」
「おっと、こっちも始末しないとな」
「グワーッ!」
今度は私に向けて銃を撃つ5人。パパパパパーン、私は倒れた。なむ。
まぁもちろん、私もマシロさんも無傷なんだけどね。
私がマシロさんの身体に傷をつけさせるわけないじゃん?
撃たれた箇所が分かる程度のチョンと突くダメージしか通っていないよ。
でもそんなことを知らないビーベイは、膝をついたマシロさんの前で勝ち誇っている。
「クク、良いザマだね白銀。畜生風情がAランク冒険者と持ち上げられて調子に乗った罰さ」
「ンだと、てめぇっ……うぐっ」
痛がるトコだけ棒読みなマシロさん可愛い。
そう思いながら、私は状況を見守った。
(ごめんストックつきた! 以降更新無かったら「あっ」と察してください)








