私達、ズッ友だょ☆
私カリーナちゃん! マシロさんに勇気をもって「私達、友達だよね!?」って聞いたら「そうだよ」って返ってきたの!
マシロ、マイ、フレンド! 私達、ズッ友だょ☆
……小さい「よ」の部分どう発音すんのコレ?
ともあれ、お友達(本人公認)である。やったぜ!
罪悪感で誘い込んだとこあるけど、こうなったらオモテナシするしかあるまい。
「よし、マシロさんの部屋も作ろう! 場所はいくらでもあるからね!」
「なんだと? 部屋?……そういや、ディアっつったか。お前もどこからか現れてたよな」
「ええはい。自分の部屋があるので」
そう言ってディア君は部屋の扉を指さした。ぽつぽつと並んで立っているその扉は、開ければ自分の部屋につながるゲートになる。
「ああうん。あれがトイレで、そっちはお風呂。こっちは私達の部屋だよ」
「……ちょっと見せてもらってもいいか? なんかよくわからん」
「とりあえず、お風呂でも入る?」
「風呂があるのか!!」
おっと、すごい食いついてきたな。尻尾もブンブンしてるぞ。
「あと、ついでに靴下回収するよ」
「お、やっとか。いつまで履けばいいんだと思ったよ。ずっと履きっぱなしでゴワゴワして気持ち悪かったんだコレ」
一方で靴下回収に対してはアッサリとした態度だった。
羞恥心的にはあまり美味しくないなー。うーん。……あ、そうだ。
「回収し頃なのは洗ってない犬の臭いがしてきたらだからね! いやー、まさかこんなに早く臭くなるなんて、マシロさんは優秀だなぁ!」
「はぁ!? く、臭くねぇだろ!?」
「いやぁ、自分のニオイは自分じゃわからないからねぇ。ね、ディア君もそう思うでしょ?」
お風呂にこれほど食いつく綺麗好きのマシロさんなら、ここを攻めれば……イケる!
ディア君に「お願いそうだと言って!」とウィンクを飛ばして言う。
「……そうですね。洗った犬かどうかはわかりませんが、汗臭いのは分かります」
「マジか……っ! 三日前に風呂いったばっかだぞ!?」
「あ。それでも三日前なんだ。はーい、それじゃあ脱がしますからねー。そこ座ってねー、洗浄とかしちゃダメだからねー」
よしよし。いい感じに羞恥心を煽れたな。
と、私は恥ずかしそうに顔を押さえるマシロさんの足から靴下を回収した。
ちなみに片方回収したところで、
「あー、肉球が香ばしいニオイ。ポップコーン食べたくなってきたなー」
「なっ!? 嗅ぐんじゃねぇよ! ポップコーンってなんだよ!?」
追加で羞恥心を煽ることに成功。これは神様の査定アップが期待できるぜ。
それとポップコーンは爆裂種のトウモロコシがあったら作りたい所存。
風呂場手前の脱衣所で脱衣し、自慢のお風呂へ案内する。
マシロさんも下着まで全部脱いで全身モフモフだ。抱き着きたい。
「で、ここがお風呂なわけよ」
「……山奥? ここはダンジョンの奥だったんじゃ……いやもうそれは関係ねぇか。無茶苦茶だな」
「露天風呂風だよ。風情があるでしょ?」
つんつん、と張られた湯を足指でつついて様子見するマシロさん。
「風情よりも不安があるな。野外で水浴びして襲撃されるかもしれない程度に」
「外からは見えないし、結界あるから大丈夫だと思ってくれていいよ」
「結界……まぁいいか。確かに気配はしねぇし。おっ、湯が結構熱めだな」
「少し肌が痛いくらい熱い方が気持ちいいのよ」
「それは分かる!」
身体に生活魔法の洗浄をかけて、足の方からゆっくりとお湯に入る私達。
湯の中でマシロさんの毛がぶわぁと広がっている。これ、お風呂上がりにぺたーんってなるヤツだ。
「っかぁあー! 気持ちいいぃーーー!」
「気に入ってもらえたようで何よりだよ。頑張って作ったんだ」
「ああ。なんつーか、結局訳わかんねぇけど……うん、風呂が気持ちいいから色々と目をつぶることにするわ」
風呂であらゆるものが許された!?
どんだけ風呂好きなんだマシロさん。
「今更だけど、入って良かったのか? 獣人は毛が多いから風呂屋でもあんまりいい顔されなかったりすんだよな」
「むしろ抜け毛集めてミニマシロさんでも作ってみたいなぁ」
「きめぇコト言うんじゃねぇよ。確かに換毛期にはゴッソリ抜けるけどよ、呪いの人形っぽいぞそれ」
呪いの人形、そういうのもあるのか。
そう思いつつマシロさんを眺めていると、顔だけ出してとっぷりと湯に浸かっている。
とても気持ちよさそうだけど、犬にしか見えないなぁ。
「なぁなぁ、アタシの部屋も置いてくれるんだろ? 家賃は払うから風呂好きに入らせろよ」
「いいよー。……家賃は体で払ってもらおうか!」
「あん? そんなんでいいのか。じゃあ今から払ってやるよ」
「えっ」
ざぶざぶとお湯をかき分け私に迫るマシロさん。
あ、ちょ。……あッーーーー!!??!!