状況証拠揃ってるぅ!!
私カリーナちゃん! 今、ダンジョンのコアを爆破しようとした犯人を捜しているの!
一番怪しい人物は――なんと私! でも客観的にみると納得しかねぇ!!
・ダンジョンの奥にコッソリ行ける。新ルートもあり扉番も無視できた。
・コア前の結界もなんのその問題なし。自作自演の可能性も。
・ついでに魔道具に詳しそう。連絡用魔道具とか普通に出すし。
・姿を隠して誤魔化そうとしている。
・なんかトレント材の大伐採もしてた前科あり。
状況証拠揃ってるぅ!! 揃いすぎてるぅ!!
ちがうの、私じゃないの!!
「お、おいカリーナ! お前の自作自演だったってのか!?」
「……わ、我は犯人ではないぞ! あとカリーナではない、ヒーラーだ」
「どっちでもいい! アタシは信じてんだぞ、お前の事っ! ちげぇよな!?」
「まて、白銀。ヒーラー殿は犯人ではないと考えている。容疑者ではあるが」
あれ、そうなの?
「脅かさないでくれ……ちなみに何故だ? 言われて考えてみれば確かに、自分でも我が一番怪しく見えてしまったのだが」
「ここまで怪しいと逆に怪しくないだろう。協力的だし、本人の言動を見て俺が信じることにした。マシロも信じているようだしな」
え、それでいいの? と思ったけど、これ以上詳しく突っ込むと藪蛇だろうしやめておこう。
「そしてヒーラー氏でない場合、次に怪しいのはソロでダンジョンボスを討伐できる白銀だが――」
「は!? アタシじゃねぇよ、そんな面倒なことできねぇっての!」
「――うむ。だよな。お前のことも同様に信じているので、他だと思っている」
慌てて弁明するマシロさん。うん、納得の理由である。
「ならいいけどよ。じゃあ誰が犯人なんだ?」
「分からんが……犯人が爆弾を解除されたと知れば、また仕掛けに来るかもしれん。そこでだ、二人には内密にコアの護衛を頼みたい」
んん。いいのかよ。第一、第二容疑者だぞ。結託したらダンジョンのコアが崩壊すっぞ。
「無論、ギルドから報酬は出す」
「我々の監視は出さなくていいのか?」
「あ、そういう手も……うーむ、だがまぁいらんだろ。余分な人手は割けないからな。少なくとも爆弾の報告をしてきた二人だ。二人揃って犯人ではないだろう?」
「……まぁ、犯人だったら爆弾の事黙ってただろうしな」
「そうそう。そういうことだ。うむ」
ガルオーンは最初からそれが言いたかったんだ、と言わんばかりに頷いた。
このギルドマスター、大丈夫かなぁ……
「分かった。んじゃ、アタシらはコアんとこで誰か来ないかを見張ればいいんだな?」
「ああ。お前たちが見張りについたころに、大々的に爆弾があったことについて言うからな。何か動きがあるはずだ」
「……ふむ、ちなみにそれで犯人が逃げた場合はどうするんだ?」
「別に構わないだろ、爆弾つけた犯人が居なくなるならそれはそれで」
「帝国が相手ならどうせまた狙ってくるだろうしな。別途コアの防備を増強する必要があるだけだ。二人の仕事はその間のコアの護衛、と言っても過言ではない」
新月頃にはなんとかする、とのこと。
本当かなあ。
「ま、とりあえず依頼ってんだ。受けようぜカリーナ、じゃなかったヒーラー」
「うむ、そうだな」
「よし、ではギルド証を出せ。指名依頼を発行する」
あっ。そういやカードどうしよ。カリーナちゃんのかわいらしいEランク冒険者証しかないぞ? ディア君のを借りるわけにもいかんし……
「……冒険者登録を頼む」
「冒険者証持ってないのか?……どうやってダンジョンに入った?」
「昨日は我が友カリーナの姿と名前と身分証を使っていたのだ……ガルオーン殿。こちらが身分証だ」
「……ああ、これならまぁ、大丈夫だ。よし、発行しよう」
かくして、万能身分証にて新人冒険者ヒーラーの冒険者ギルド証を手に入れる事に成功した。
カリーナちゃんの後輩、Fランク冒険者だ。
「なぁカリーナ。その身分証なんか妙な感じなんだが」
「……そう見ないでくれマシロ殿。我の本当の身分は、あまり見せたくないのだ」
あんまり見過ぎると、頭がぱーになっちゃうかもだからね。