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異界②
「お待たせしました。こちら15年ものの人間の少女のクレープ・サレでございます」
「……あまり綺麗な顔ではないな」
「さすが! お目が肥えていらっしゃる。今年は狩猟解禁日に、あえて不幸な少女を選びました」
「ほう」
「《《首に傷をつけ》》、特製の疑似幸福の液に漬けました。暗い青春が刻まれた体に、甘美な幸せが染み込んでおります。
2種類の味のハーモニーはきっとご満足いただけると思います」
「ふむ。以前食べた、幸せな男のデセールはしつこい甘さが鼻についた。おまけに捕獲された恐怖で後味が最悪だった……今年はどうなのか楽しみにしている」
「ありがとうございます。こちら同じく擬似幸福のソースにつけてお召し上がりください。
ごゆっくりどうぞ」




