表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者休業中  作者: ROCOCO
2/3

始まりの町1

次に目が覚めたのは、草花生茂る広大な草原の上だった。


「う・・・ここ何処?」


重い身体を起こし、ふらつく足取りで立ち上がる。何日間も眠っていたような気怠さが、全身にズンとのし掛かる。


寝ぼけ眼を擦り、周囲を見渡す。


周りに広がるのは一面の草原だ。まるでロールプレイングゲームに出てくる最初の方のステージの様な光景で、心落ち着く場所である。


「なんでこんな場所なんかに・・・」


頭がぼーっとする。

さっきまで何処に居て、何をしていたのかも思い出せない。

今思い出せるのは自分の名前ぐらい。頭が冴えるのはもう少し時間がかかりそうだった。

下ろし立ての白いジャージに付いた草花を振り払い、大口開けて欠伸をする。


おーい・・・


何処からか声が聴こえる。何度も繰り返される叫び声は、しばらくすると徐々に大きくなり、それが近づいて来ていると分かった時には、声の方角から人影が複数迫っていた。

小さな人影に追われる大きな人影・・・。目を凝らしてみると、それが化け物に追われる男だと分かった。


身長1メートル程の緑の体の小鬼の怪物。ファンタジー物の漫画やゲームに出てきそうな姿をしたそれは、手に大きな棍棒を持っていた。体の大きさに合わない武器を振り回しながら、数匹の化け物はこちらに向かっていた。


「え、あれゴブリン・・・?」


初めて見る姿に背筋がゾッとした。夢にしては出来すぎている程ハッキリとした姿のゴブリンは、目の前の男を今にも殴りそうな勢いで追っていた。


「早く、早く逃げるんだ!」


背中に大量の荷物を背負った男は、走りながら両手で大きく逃げろとジェスチャーをする。

顔面蒼白で迫る男の声で、全力で逆方向へと走り出す。


「やばいやばい、本物のゴブリンじゃん!」


追って来るゴブリン達は雄叫びを上げ、2匹の獲物を追って楽しんでる様だった。

捕まれば殺され、奴らの餌食になるだろう。悪いイメージが頭をよぎる。


「こっち来るなって!、最悪!」


全身全霊で駆け出すが、数十秒走った所で足が縺れて、酷いフォームで花畑に顔面からダイブしてしまう。

身体が思いどおりに動かない。起き上がる前に男に抜かれ、獲物を前にしたゴブリン達に囲まれた。


「おい、大丈夫か!」


男は遠くでそう叫ぶが、状況はその真逆だった。

ゴブリン達は、目の前の間抜けな獲物を嘲笑う。獲物を追い詰め、後は狩るだけだ。


「い、嫌・・・、来ないで・・・」


恐怖で腰の抜けた獲物に、ゴブリン達は一斉に襲い掛かった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ