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プロローグ
目覚めなさい、選ばれし者よ
頭の中で声が響いた。その声で私は瞳を開ける。
ここは・・・何処?・・・
目の前に広がる光景は不思議な感じの部屋だった。部屋の四方は真っ暗な壁に覆われ、窓や灯は存在しない。ただスペースだけがある何も無い密室だ。
そんな空間のちょうど真ん中に、1人の女性が居た。白い長髪が綺麗な、まるで女神のような姿をした人だ。
「目が覚めましたか、選ばれし者よ。私は転生の女神、世界の救済神でもあります」
女神と名乗るその人物は私の手を握ると、瞳を覗き込むように顔を近づける。
「宍戸 悠よ、貴女は世界の救済の為に選ばれました。これから貴女には1つの世界を救ってもらいます。その世界は魔王に支配される前の世界です」
女神の手から暖かな何かが私の身体に流れて来るのを感じた。まるで力を流し込まれている様な感じがする。
「その世界で貴女は、勇者として魔王と戦ってもらいます。この力を使い、人々を救うのです。」
女神はそう言うと、光の如くふわりと姿を消した。
その直後、突然激しい眠気に襲われ、私はその場に倒れ込む。