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ぼくは鎮魂歌をうたう  作者: 橙ノ縁
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プロローグ

 魔法がこの世界から消えた時、人々は光を失い暗闇に恐怖し、火のつけ方も忘れてしまっていたことに絶望した。


 魔法の光が失われても、ランテルナが誕生の祝福として授ける灯は輝き続け、人々は暗闇の恐怖から逃れる為、灯を求めるようになる。時に売り買いされ、時に奪い奪われ、灯を求めるあまり争いがおこることは避けられなかった。


 祝福の灯が争いの種になった。


 祝福の灯を巡っての争いは激化し、多くの命が失われていく。命尽きるとき、歌によって魂を体から解放する役目を持つルシオラは、絶えず歌い続けた。集めた魂すら奪い取られ、人間たちに売り買いされた。


 生命の循環が上手くいかなくなった。


 魂の医者と呼ばれるプルモは、奪われた魂を探し続けるようになった。当てのない旅は多くの時間と体力を消耗し、次々に行き倒れていく。癒し手が減り、癒されない魂が増え続け、ますます人口は減少していく。


 魂の抜けた人間が生まれるようになった。


 魔法を消したのは、「先生」と尊敬されていた魔法使いゼノの一人だった。人間にとって失われた物はあまりに大きく、その責任をすべてゼノに押し付けた。ゼノにだけは弱い魔法が残り、その力ですべての者に償うとして、人間が嫌がる仕事を請け負うことになった。


 魔法は奴隷が使う卑しい技になった。


 こうして祝福する者は国中から姿を消し始め、鎮魂の歌手は仲違いののち分裂し、魂の医者は過労で人口を減らし、魔法使いは人間たちの奴隷になった。


 魔法がこの世界から消えてから約二百五十年。ランテルナが配る祝福の灯を持つ者はなく、その灯の美しさを知る者もわずかとなった。



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