サラ先生の魔法講座②
二人の好意は素直に受け取っておくことにした。
見栄を張れるほどお金に余裕があるわけでもないし、お金も全部ルーブルで持ってるから、この国のお金が欲しかったというのもあるし、両替するにもセイの村だと為替の交換比率が悪いというのもあったしね。
ちなみに、各硬貨の価値なんだけど、金貨一枚で銀貨百枚分、銀貨一枚で銅貨百枚分の価値があるらしい。
皮袋の中にはギルザ金貨が二十枚入ってたから、銀貨に直すと銀貨二千枚分の価値がある。
ルーの店で、この世界の物価を日本と見比べてみたけど、大体銀貨一枚が千円ぐらいの価値だったから、金貨二十枚だと日本円に直すと約二百万円になる。
こんな大金を会ったばかりの俺にくれるなんて、本当に二人には感謝してもしきれないな。
もちろん、二人にはちゃんとお礼を言っておいたし、この借りは絶対に返すよって言葉でも言ったし、心の中でも堅く誓いました。
「そういえば、サラ。
さっきセイヤと手合わせしてみたんだけど、信じられないものを見たわよ。
なんだと思う?」
お金の件の話が済んで、レインが未だに本を見つめているサラに話しかけた。
「さぁ、どうせろくでもないものに違いない。
レイン、もったいぶってないでさっさと言って欲しい」
サラは読書が終えたのか、パタンと本を閉じた。
ずっと見つめてたけど、あの本は何の本で、どんな事が書いてあったんだろう。
後で聞いてみるか。
「闘気よ、闘気!
いきなり闘気を使い出したのよ、セイヤが。
話を聞くと、どうやら昨日の魔物と闘ったときに使えるようになったらしいのよね」
レインの話はサラの興味を引いたようで、俺に詳細な説明を求められた。
レインに懇切丁寧に説明したように、サラにも同じように説明させられました。
「ふむ。
この世界に来ていきなり闘気術を身に付けるとは、流石マスタークラスの才能の持ち主は違うな」
「何言ってるのよ、サラ。
この際だから、サラもちゃんと闘気を身につけれるようにならなきゃダメよ。
サラも闘気を纏えてたらあの魔物の攻撃でもあれほどの怪我を負うこともなかったんだから。
魔法使いだからって大目に見てたけど、これからはサラも本気で闘気を身につけないと」
レインがサラを必死で説得すると、サラは案外素直に頷いた。
「そうだな。
セイヤにこの世界の魔法について教えようと思っていたのだが、セイヤが闘気を身につけたのなら丁度いい。
私が魔法をセイヤに教え、私はセイヤから闘気について教えてもらう事にしよう」
その回答を聞いたレインは何故か不満足そうな表情を浮かべた。




