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剣の稽古⑩

「セイヤさん、お疲れ様です。

 汗だくになって息を切らしてるセイヤさんも、男らしい魅力に溢れていて素敵だと思います。

 あ、私、手ぬぐいを持ってきてますので、汗をお拭きしますね」


 ノエルは持ってきている布製の袋の中から手拭いを取り出すと、俺に近付いてきて汗を拭ってくれた。

 なんだか手取り足取り世話を焼かれてるみたいで、申し訳ない気もするけど、折角の好意を無下にするのも悪い気がするので、素直に汗を拭いてもらった。


 ふとレインの方を見てみると、レインは面白くないものを見るような感じでノエルの方を見ていた。

 少し睨め付けるような感じで、少し顔をしかめながらノエルの方を見ているレイン。


 剣の稽古に来ておいて何してるんだと思っているのだろうか。

 レインの目には、俺とノエルがイチャついてるように見えているのかもしれない。

 俺もレインの立場で見れば、何この二人はイチャついているんだ!と思うと思うし。


「もういいよ、ありがとう」


 別の意味で汗が出そうだったので、ノエルに拭いてもらうのは終わりにしてもらう。


「あ、セイヤさん、汗をかいた分だけ水分補給しないと。

 はい、飲み物も用意してありますので、どうぞ」


 お、ありがたい。

 体力もMPも精神力的にもかなり疲弊して、汗もかいたから喉が渇いてたんだよね。


 俺はノエルから手渡されたコップに入っていた飲み物を一気に飲み干した。


 その時、なぜか厳しい目で俺の事を見ていたレインが不敵な笑顔を浮かべた。

  

「うっ」


 これ、鍛錬水じゃないか。

 喉が渇いてたので、確認せずに一気に飲み干しちゃったよ。

 まずい。

 もう一杯、欲しいとは思わないな。


 薬草のような、薬のような、苦味と微妙の甘みが混ざり合った微妙な飲み物を飲むと、不思議と体力と疲労が少し回復したような気がした。

 たぶん、まずい分だけ効果があるような気がしてるんだろうな。

 プラシーボ効果ってやつだろう。


「今日の朝の鍛錬はこんなものにしときましょうか。

 この後は私と一緒にサラのところまで付いてきて貰うわよ」


 俺の鍛錬水を飲んだリアクションが面白かったのか、いつもの調子に戻ったレイン。

 終始にこやかな笑顔を浮かべているノエルを余所目に、俺は鍛錬水の後味の余韻をしっかりと味わっていた。 


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