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剣の稽古③

 ノエルが持っている飲み物の入ったビンをひったくる様に奪うレイン。

 

 そして、自分が飲み干して空になったコップに、ビンから緑の液体を注ぐ。

 少し透き通った緑色の液体を補充されたコップ。

 そのコップを俺に突き出してくるレイン。


 飲め、という事らしい。


 いやいや、どうみてもそれタダの飲み物じゃないでしょ!


 さっき一気飲みして、呻き声をあげながら顔をしかめてたよね?

 しかめ顔から、少し不適な感じの笑顔に変わってきているレイン。

 どうみても良からぬ事を企んでいそうな顔だ。


 ノエルの方を見ると、相変わらずの笑顔を俺に振りまいてくれる。

 笑顔を浮かべた女の子二人が、俺に変な液体を飲ませようとしている。


 液体の入ったコップを持ちながら俺ににじり寄ってくるレイン。

 自然と俺の脚は、それに合わせて後ずさりしてしまう。


「急にどうしたの?レイン

 何か様子がおかしいけど」


 どうみてもレインの様子がおかしい。

 何が何でもその液体を俺に飲ませようとするレインの強い意識を感じる。


「大丈夫よ、私はどこもおかしく無いわ。

 それより、どうしたの?

 セイヤも剣を振って喉が渇いたでしょ?

 ほら、これを飲みなさい」


 レインの笑顔が怖い。

 絶対に純粋な笑顔じゃない。

 何かを企んでいる悪い子供の笑みだ、あれは。


「いやいや、どうみてもソレ、ただの飲み物じゃないよね?

 レインが飲んだ時に、声を出して顔をしかめてたし。

 何で急にソレを俺に飲ませようと思ったのかな?

 なんでそんなに迫ってきてまで飲ませようとしてるの?」


 コップを持ちながら接近してくるレイン。

 それに合わせながら、少しずつ後ずさりしてる俺。


 ガシッ。

 

 いつの間にか後ろに回りこんでいたノエルが俺の肩を掴む。


「大丈夫ですよ、セイヤさん。

 ほら、レインさんもああ言っていますし」


 ノエルに後ろに回りこまれて肩を掴まれた事で、これ以上後ろに下がることが出来なくなった。

 俺に接近したレインが、得体の知れない液体の入ったコップを俺に突き出してくる。

 断れば無理やりにでも口の中にねじ込んできそうな、それほどまでの強い意志を感じる。

 何がレインをそこまで搔き立てているのだろうか。

 まさか、この液体を飲むとノエルに精神を奪われて操作されてしまうんじゃ!?

 そんな突拍子の無い事まで考え始めていた。


「大丈夫よ、魔法のかかった魔法薬の類では無かったわ。

 身体にはいいものが沢山入っているだけの飲み物だから。

 ただ、ちょっと味に難はあるけれど」


 そうか、ただマズイだけの身体にいい飲み物か。

 日本にもそういうものがあったな。

 声を上げたのも、顔をしかめたのもただ単に不味かっただけか。

 不味いだけで身体にはいいなら仕方ない、覚悟を決めて飲むか。


 俺はレインから渡されたコップを受け取る。

 中に入っている液体を見る、コップに入っていると色が分かり辛いな。

 レインが持っている透明の瓶に入っている液体の色を良く観察する。

 色は禍々しい緑というわけでもなく、透き通った緑色だし、そこまでマズそうなものには見えない。

    

 覚悟を決めるか。

 液体の入っているコップに口を近づける俺。

 少しツンとしたような、ミント系みたいな刺激を含むような匂いが鼻をついた。

 しかし、このコップで飲むとレインと間接キスになるんじゃないのか。

 でも、そんな事を一々ここで言うのは女々しすぎるし、気にせずに飲むか。


 俺は覚悟を決めて、コップの中に入っている、透き通った緑色の液体を一気に飲み干した。


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