魔法カードの整理
闘気術の練習は楽しかった。
まるで漫画の主人公にでもなっているかの気分になれるからだ。
この世界に来てからというもの、日本と違って娯楽が全く無かったからな。
やることが生活の為の行動か、自分を鍛えたり、狩りに行ったりぐらいしかしていない。
そういえば、俺が小さい時も漫画の主人公の必殺技の練習とかしたりしたっけかな。
出来るわけ無いと本心では分かっていながら、もしかしたら出来るかも?
みたいな淡い気持ちを持ちながら、他の人に見られないようにコッソリしてたっけ。
まさか、あの時の淡い気持ちが本当に実現する日が来ようとは。
闘気術の練習をしすぎてMPを使いすぎてしまった。
残りMP9、楽しい心とは反対に、精神は少し疲労感を覚え始めている。
しかし、この闘気術、俺の能力と相性が悪いんじゃないか?
いや、戦闘時は魔法カードと併用できるだろうから、その面ではいいんだけどさ。
魔法カードは、MPをDPに変換して手に入れる事が出来る。
この闘気術もMPを使用して、使うことが出来る。
闘気術を練習したりする為にMPが必要で、魔法カードを手に入れる為にもMPが必要。
つまり、どちらかを優先すると、どちらかが犠牲になる。
現状は、魔法カードの在庫に困ってるわけでもないし、闘気術の練習を優先した方がいいかもな。
攻撃力、防御力、ともに上がっている感じだし、細胞が活性化しているのを感じるから、身体能力も向上している気がする。
まさに直接の戦闘力に直結しているだろう闘気術を鍛える事は、今の俺にとって最優先事項なんじゃないだろうか。
あ、そうそう、MPも無くなった事だし、回復待ちの間に魔法カードの整理でもしておくか。
前に整理してから、色々と魔法カードが増えたからな。
またすぐに魔法カードを使わなきゃいけない状況に陥るかもしれないし、特に回復呪文はすぐに使えるように準備しとかなきゃな。
携帯端末を取り出し、アイテムボックスに収納している魔法カードを具現化する。
一回使ってコレクション用になってる魔法カード以外を、机の上に並べて整理する。
アイアンカード(一回だけの使い捨て魔法カード)
攻撃魔法
土の矢×2
風の矢
水の矢×2
火の矢×2
火の球×3
土の球
水の球
風の稲妻
水の稲妻
紅蓮地獄
神聖小光弾
妨害魔法
砂嵐×2
魔力破壊
落とし穴
回復魔法
回復呪文
小解毒呪文×2
解毒呪文
ブロンズカード (初心者用、四属性初級攻撃魔法カードセット)
火属性 ファイヤー
水属性 ウォーター
風属性 ウィンド
土属性 アース
紅蓮地獄 の魔法カードを手にとり、まじまじと見つめる。
Sランクの魔法カード、やっぱりレアカードを手にすると気分が高揚する。
紅蓮地獄。
一体、どんな魔法なのだろうか。
あの時、レインを巻き込むのが怖くて使わなかったけど、火の矢が効かなかった場合は使わざるを得なかっただろう。
これから先、この魔法を使わざるを得ないような状況に陥ることもあるかもしれない。
この先、サラやレイン以外の人間とパーティを組むことだってあるだろう。
誰かの命を優先し、誰かを見捨てなければいけないという選択肢を選ばなければいけない時が来るかもしれない。
その時、俺は何を選択し、どう行動するのだろうか。
まだ見ぬ仲間と、訪れないかもしれない未来の選択肢を想像しながら、俺は覚悟というものの在り方について思いを馳せるのだった。




