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セイの村にて⑨

 出された食事もあらかた片付いて、この食事会もそろそろお開きになりそうな感じだ。

 色々と小競り合いはあったものの、本格的な衝突までには発展せず、無事に済んでよかった。

 サラとノエルが激しいバトルを繰り広げて大変な事になるんじゃ無いかと心配したけど、杞憂で終わって本当に良かった。


「ギルバードさん、今日は本当にありがとうございました。

 本当にご馳走様でした、ここでの食事、本当に美味しかったです。

 こっちの世界に来てから、ろくな物を食べてなかったもので」


 最後に、ちゃんと財布担当のギルバードさんに挨拶しておく。

 少しギルバードさんの事を警戒してたんだけど、色々と話してみると、やっぱりいい人だよなぁ。

 飯まで奢ってくれたし、サラやレインも紹介してくれたし、色々と面倒みてくれたし、感謝してもしきれないな。


「そんなに喜んで貰えると、こっちとしても奢り甲斐があるってもんだ。

 サラとレインなんか、もう奢ってもらって当たり前って感じになってるからな」


 サラはまだしも、レインもギルバードさんにお礼を言ったりはしなかった。

 確かに、奢られ慣れてる感じがするというか、奢ってもらって当たり前って感じになってるな。 


 お金を払わずに皆が店を出て行こうとしてたので、勘定はしなくていいのか聞いたところ、セイの酒場は基本前払いで料金を支払う仕組みという事が分かった。

 あらかじめ予算を決めて、支払った料金の分だけの食事や飲み物を提供してくれるとか。

 ギルバードさんは、セイの酒場に食材を卸してるので、酒場に対して逆のツケがあるぐらいらしい。


 皆と一緒に店を出てから、これからどうするかを考えていた。

 もう日も暮れ始め、辺りは薄暗くなり始めている。

 とりあえずは、宿の確保をしないといけないよな。

 日本で衣食住に困っていなかった身としては、寝る場所が決まってないと落ち着かない。


 ルーの店に行った時に、ノエルに宿の提供を頼んで、既に代金も支払ってある。

 セイの村に帰ってきたらノエルの所に行くつもりだったけど、今ここにいるんだし、その必要は無いよな。

 ノエルと一緒に一旦ルーの店に行ったほうがいいのか。

 それとも、ノエルに直接ここから泊まる家まで連れて行って貰った方がいいのか。

 さて、どうノエルに切り出せばいいかな。

 

 そんな事を考えていたら、ノエルの方から話しかけてきてくれた。


「それじゃ、セイヤさん、一緒に帰りましょうか」


 ピクッ。

 

 こんな一言ですらサラさんの神経を刺激してしまうんですね。


 でも、ノエルがサラの感情を刺激してくれたから、改めて確認できたな。

 やっぱりサラの魔力の流れを俺が感知していたみたいだ。

 サラの神経に触れた感じは、俺がサラの魔力を感じて、サラの感情まで感じてたのが理由だったんだな。


 ノエルが俺の泊まる家まで連れて行ってくれるってだけの話なのに、なぜかそれがサラの神経に障ったらしい。


 というか、サラさん、ノエルさんの言葉と行動に感情を乱されすぎでしょ。

 表面上はポーカーフェイスで装ってても、内心はこんな風に感情を乱されまくってたのか。

 そのストレスを発散する為に、ノエルに一々突っかかっていってたんだろう。

 二人の過去に何があったのかは知らないけどさ。

 この二人を引き合わせないのが、二人の為なんじゃないだろうか。


 心からそう思うよ、ホント。


 

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