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秘密の一端

「なんか全部『MASTER』とか表示されてるんだけど、これ完全におかしくなっちゃってるよね?」

 

 ランクで表示されてた所が『MASTER』と表示されるのは分かる。

 けど、火とか土とかで表示されてた『適正魔法属性』と、強化とか回復とか貫通とかで表示されてた『適正魔法性質』まで『MASTER』表示されるとか意味が分からない。


 あれだな、サラがさっき言ってた通り、この紙はSSSまでしか測る事が出来ないんだろう。

 もしくは、転生者である俺はこの世界の住人と違ってイレギュラーな存在なのかもしれない。

 魔導具にエラーを起こさせるような魔力の要素が俺にあるのかもしれないな。


「凄い……魔法適性、全てにおいて、マスタークラスの才能があるだなんて……」


 いやいや、レインさん、魔導具のエラーも疑ったほうがいいんじゃないんでしょうか。


「正直、空いた口が塞がらないとはこの事」


 実際、レインさんの口が開いたまま塞がってないんですよね、サラさんの言葉通りに。


「いや、俺って転生者だからさ、魔力がこの世界の人と違って特殊なだけじゃないの?

 さっきサラも言ってたでしょ、SSSランクまで測れるとか、イレギュラーが存在するとか」


 まだ少し震えてる感じのサラが自分自身の震えを止める為か、自分自身を抱きしめるように腕をまわす。


「セイヤ、この世界に転生者がやって来る割合を知っているか?」


 俺は首を横に振る。


「実はセイの村の近く以外にも転生者が転生してくる場所が数多く存在している。

 我々はそこを転生場所(てんせいスポット)と呼んでいる。

 転生者は強力な力を持っている者が多かったから、昔はその転生場所(てんせいスポット)を巡って争いもあった。

 だがある時、あるマスターが擬似的な転生場所(てんせいスポット)を作り出す事に成功した。

 それ以降、転生場所(てんせいスポット)を巡る争いは激減した。

 強力な力を持つ転生者を、マスターを抱える事は、つまり国の発展と強さにも直結する。

 国が抱えるマスターの数は、その国の極秘情報とされ、各国がどれほどのマスターを抱えているか詳しいことは分からない。

 それでも人の口に戸は立てられないものだし、情報というものは完全には隠し通せないもの。

 この世界で一番多くのマスターを抱えている国家、それも魔法関係のマスターを一番抱えている国は『魔導都市アステア』と言われているんだ。

 私もアステアの実績からして、噂の通りなんだろうと推察している。

 つまり、魔法関係のマスターを一番抱えてる国が作ったものなんだよ、それは」


 うーん、珍しく動転してるのかサラさんの頭が回ってないような気もするな。

 別にいくらマスターを抱えていたってイレギュラーはいくらでも存在するし、そもそも想定外の事なんていくらでも起こりうるでしょうに。

 俺の魔力が特殊な破壊属性があって、この紙の検査能力を破壊しちゃった可能性もあれば、この紙自体が元から壊れてた可能性もあれば、MATERクラスの複数表示でバグった可能性もあれば、性質や種類の数でバグった可能性もある、考えてたらきりが無いぐらい無限の可能性がある。

 というか将来性とかいう曖昧なものなんて、絶対的に信用できないものだと思うんだけどな俺は。

 

「まぁ、なんか凄い脱線しちゃってた気もするけど。

 無事に俺の魔法の才能も分かったことだし、そろそろ二人の受けてる依頼とやらをこなしにいかない?」


 なんか二人とも平常心を保ててなさそうだけど、大丈夫なのかね。

 少し時間を置いて、二人が落ち着いてから出発した方がいいかな?


「そ、そうね。

 とりあえず、私の荷物を持ってくるわね」 


 なんかレインの足元がおぼつかない感じなんだけど、それほどショックを受けてるのか。

 サラもさっきからなんか不安定になってるぞ、俺がサラの方を向くと、さっきまで俺の方を向いてたのにさっと目線を逸らしたし。

 なんだかなぁ。


 俺はレインの荷物をアイテムボックスに収納しようと、携帯端末をいじる。

 時刻を見ると、11:05と表示されている。

 確か、剣を研ぐ前に見た時間が9:23だったっけ?

 あれから1時間42分経ったのか、ああMPが溢れちゃうな。

 ステータスモードでMPを確認したらMP39/48だった。

 MPをDPに変換しておかないと。

 サラに見られてしまうかもしれないから、トイレに行く振りでもして……。


 と待てよ、そういえば、サラのMPって1081もあるんだっけ?

 冒険者カードには『総内包魔法力 1081』と書いてあったはず。

 もしも、サラのMPをこの端末に流し込む事ができたら、魔法パックが引きまくれるぞ!

 MP1000はDP10000になる。

 やばいな、サラのMPをDPに変換できたら魔法パックを引きまくれるぞ。

 これは秘密の一端を明かしてでも協力を仰ぐべきか。

 

「サラ、ちょっといいかな?」


 何か考え込んでいる様子だったサラに話しかける。


「ちょっとこれを見てもらってもいい?」


 俺は小型端末をポイント変換モードに切り替えて、サラの横に行ってサラの前に端末を置く。

 そして、サラの見ている前で、MPを注ぎ込みDPに変換していく。

 MPが5残るように、DP6からDP346までMP34をDP340に変換した。


「これは一体……」


 聡明なサラでも推察が追いついていないようだ。

 というより、先ほどの件を未だに引き摺ってるみたいだな。


「んー、これが俺の能力。

 MPを予め端末に込めておく事で魔法が使えるようになる」


「!?」


 サラのポーカーフェイスが崩れつつあるな、かなり驚いた表情が見れた。

 精神的に動揺してる所に、追撃で自分の想像外の事が起きると人ってこうなるんだな。


「まだ俺の魔力でしか試してないんだけど、ちゃんと魔法は発動した。

 ああ、さっきサラに説明して貰ったこの世界の言葉でなら、魔法力の方が正しいかな。

 俺はMPって呼んでる言葉なんだけど。

 で、他の人の魔法力も注げるか試してみたいんだけど、ちょっとサラの魔法力をこの魔導具に流し込んでみてくれないかな?」


 サラは未知の物体にでも出合ったかのように、恐る恐る端末を見ながら端末に手をかざす。

 サラの手から魔力が放出される。

 けど、携帯には何の変化も無い。


「ダメなようだな。

 この端末はお前にしか使えない代物のようだ」


 サラは魔法力を端末に注ぎ込むのを諦め、指でつついたり触ったりして何か色々と調べる仕草をしている。


「ふむ、これはお前の魔力に合わせて作られているな。

 というか、具現化物じゃないのか?

 お前の魔力に合わせてマーキングもされているみたいだぞ」


 ん、そういえば、俺のスキル欄の説明に端末具現化とか書いてあった気がするな。

 というか、マーキングってなんだろ。  

 

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