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魔法の才能

「魔法力というのは、魔法を発動する為のエネルギー元になるのと同時に、魔法や物質を構築したり具現化したりする為の性質変化の元となるべきものでもある。

 魔法力とは魔法を行使する為のエネルギーの総量を指し、使用者の体内に蓄積されている魔法力の総量を総内包魔法力といい、魔法の使用などで体外に放出している魔法力の総量を顕在魔法力と呼ぶ。

 魔法力が魔法のエネルギー量を指し示す言葉として用いられるのに対し、魔法を発動する為の要素、性質変化や事象への干渉や具現化、魔法自体の威力に影響する魔法力に対する変換効率の良さや、力強さをを総合的に表す言葉として、『魔力』という言葉を用いる。

 魔力は人によって違い、様々な性質を持つ。

 ギルドカードで個人を識別できるのも、この個人によって違う魔力の性質を利用している。

 自己強化の魔法や、自己治癒の魔法など、自己の体内の魔力を内包魔力と呼び、体外に放出されている魔法力を魔法と呼ばれる現象に変える為の力を顕在魔力と呼ぶ」


 俺はサラ先生の講義を聞きながら、サラの手元を覗き込んだ。

 そこには小さく可愛いサラの手と、かざされた手の下に文字の浮き上がった紙があった。

 魔法潜在能力推定紙。

 魔導都市アステアで量産化に成功して以降、ギルザバードでも魔力の才能を測るためのものとして、国でも公式採用されているもの。

 覗きこんだ魔法潜在能力推定紙に浮き上がっていた文字。

 それをつぶさに観察するのだった。


_________________________________


 将来推定最大総内包魔法力 

 S rank


 将来推定最大総内包魔力

 A rank


 将来推定最大顕在魔力

 S rank


 将来推定最大使用可能魔法

 S rank


 適正魔法属性

 火 水 土 風 


 適正魔法性質 

 貫通 収縮 拡散 放出


 総合適正評価

 S rank


_________________________________


 おおっ、便利だなこれ、どんな仕組みになってるんだ。

 これがサラの魔法の才能か、Sランク級の魔法使いの才能があるって事だな。


「これは魔導都市アステアで量産化に成功した魔法潜在能力推定紙。

 膨大なデータから、使用者の現在の魔力から将来達する事の出来る才能を測れる紙。

 もちろんこれが全てではないし、イレギュラーは存在するが、かなり正確な割合で才能を測る事が出来る」


 そっか、これで自分の才能が分かっちゃうのか。

 試してみるのが面白そうであるような、怖いような、不思議な気持ちだな。

 最低何ランクなのか分からないけど、全部最低ランクとかの才能だったらどうするかな。


「あ、セイヤ、今悪い結果だったらどうしようって思ったでしょ?

 顔に出てたわよ!

 ちなみにこれは冒険者のランク基準も参考にされてたりするのよ。

 だから、最低ランクはF。

 順にE,D,C,B,A,S,SS,SSSまであるわ。

 後は例外として、マスタークラスとかあったりするけど、これは歴史に名を刻むくらいの才能だから、私も良く知らないわ。

 というか、この紙でマスタークラスとか測れるのかしら……。

 普通ならありえないけど、セイヤならもしかして一つぐらいマスターが表示される可能性だってあるかもしれないし」


 レインがサラに助け舟を求めて顔を向け、それを受けてサラが答える。


「残念ながら、私もSSSまで測れるらしい事しか知らない。

 実質見たことがあるのは私が自分で出したSランクが最高だ。

 セイヤならSSSの才能もあるのじゃないかと、正直かつて無いほど緊張している。

 私もマスタークラスの才能があるかもしれないというセイヤの結果がどうなるのか楽しみだ」


 いやね、そんなに期待されても困るんですけど。

 剣の打ち合いでボロクソに言われた心の傷を未だに引きずってるのよ、俺は。

 もう自尊心ズタボロですよ。

 魔法もちょっと習って簡単に使えるって感じじゃなくて、長い訓練と勉強が必要そうな感じだし、思ってた感じと全然違ってリアルというか、これが現実かって思い知らされたような感じなんだし。


「あ、そうだ、レインの魔法潜在能力ってどうなってるの?」


 勝手なイメージでレインの事を馬鹿だ、魔法の才能が無いと決め付けてたけど、実際どのくらいの魔法の才能があるんだろうか。

 サラのようにSランクは無いだろうけど、もしかしたらAランクとかあったりして。

 そうしたら、レインの評価を上方修正しなければいけないかもしれない。

 もしレインの潜在能力が高かったら、俺へのプレッシャーも半端無い事になるんですけども。


「えっ、私?

 私は……ふつーかな?」


 あれ、レインさん目が泳いでますよ。

 ホント分かりやすいですね。


「レイン、セイヤがやる前に見せてやるといい。

 悪い結果を見てからの方がセイヤもやりやすくなる」


 あら、サラさんの毒舌が復活してレインさんに炸裂しましたよ。


「サラ、それはちょっと酷くない?

 あー、やりたくないなぁー」


 レインがやりたくない感じを隠そうともせずに、言葉ならず態度でもやりたくないとアピールしております。

 そんなこと言われたら俺もやりたくなくなってきたぞ、悪い結果だったらどうするんだ!

 あの剣の才能が無いとかの魔法バージョンで、ズタボロの悪口のオンパレードになりそうだし。


「いや、レインがやりたくないなら俺もやりたくないんだけど!」


「セイヤがやる気を無くし始めている!

 レイン早く!」


「セイヤの才能も見たいし、仕方ないか。

 二人やっておいて自分だけやらないわけにはいかないだろうし。

 セイヤ!私がした後にちゃんとしなさいよ?」


 俺は黙って頷く。

 レインはしぶしぶ新しい魔法潜在能力推定紙を取ってから、手をかざして魔力を注ぎ始めた。

 表示された文字を覗き込んで見てみる。


_________________________________


 将来推定最大総内包魔法力 

 B rank


 将来推定最大総内包魔力

 C rank


 将来推定最大顕在魔力

 C rank


 将来推定最大使用可能魔法

 C rank


 適正魔法属性

 火


 適正魔法性質 

 強化 回復


 総合適正評価

 C rank


__________________________________


 うん。

 普通な感じ。

 やっぱり予想通りレインに魔法の才能は無かった。

 いや、頑張ればC級の魔法までなら使える才能はある。

 人並み以上に頑張って、人並みの魔法を使えるようになるって感じかな。

 レインに言われた言葉をそのまま返せる感じ。

 まぁ、俺は優しいからそんな酷いことはレインには言わないけど、少しすっきりしたな(笑)


「んー、もうなんなの。

 だからやりたくなかったのよ。

 もう見ないで……」


 そう言って、自分の結果が表示されている魔法潜在能力推定紙を取って隠してしまった。

 そして、新しい魔法潜在能力推定紙を俺に渡してくる。


「ほら、私もやったんだから、約束通りアンタもやりなさいよ」


 仕方ない、覚悟を決めるか。

 剣の才能は無かった、魔法の才能も無かったら俺はどうなるんだろう。

 最悪、この端末で魔法カードを引く能力があるからなんとかなるとは思うんだけど。

 俺の才能が無くても、端末で魔法カードを発動すればかなりの威力は出るし。

 けど、転生して一日でガンガン伸びてたから、そんなに才能が無いとも思えないんだよな。

 Sランク級とかぐらいあればサラと並ぶ才能だし、大きい顔ができる様になるな。

 でも、そのSランク級のサラでも魔法の基礎を学ぶのに一年以上かかったらしいしな。

 気長にコツコツ修行して、少しずつ強くなっていくしかないな。


 さぁ、自分の魔法の才能とご対面だ。

 覚悟を決めて魔法潜在能力推定紙に自分の魔力を注ぎ込む。

 ん、文字が浮き上がってきたな、どれどれ。


_________________________________


 将来推定最大総内包魔法力 

 MASTER


 将来推定最大総内包魔力

 MASTER


 将来推定最大顕在魔力

 MASTER


 将来推定最大使用可能魔法

 MASTER


 適正魔法属性

 MASTER


 適正魔法性質 

 MASTER


 総合適正評価

 MASTER


_________________________________


 あれ、なにこれ。

 もしかして壊れちゃった?

 属性と性質までMASTERとか表示されてるし、完全にバグってるよねこれ。


 レインとサラの様子を恐る恐る伺ってみる。

 レインは驚いて口が半開きになってるし、サラさんは目を見開いてちょっと震えてますよ。

 あら、どうなのこれ。



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