サラ先生の魔法講座⑲
サラ先生の講義を拝聴した後、俺とレインは再び魔法の修行を再開する事になった。
レインは魔法カードで魔法を発動させる練習。
俺は、サラから直接指導を受けながら、魔力の性質変化の修行を開始した。
魔力の性質変化。
先ほど成功したウォーターの魔法は、魔法を水属性に変化させた後、水属性の魔力を水に具現化させるというプロセスを経ていた。
物質を具現化する上で、その物質に対応した魔力属性に変えておくことで、物と魔力の親和性というものが向上するらしい。
まずは基本四元素と呼ばれる、火、水、土、風の四属性に、魔力の属性を変化させる練習を行った。
水と火は、一回で魔力を性質変化させる事に成功した。
土と風は、少し手間取ったもののサラのお手本を見て、ちょっと練習するだけで魔力の性質変化に成功した。
自分でも『俺って才能あるんじゃ?』と思ってしまったけど、サラとレインが一々驚いてベタ褒めしてくれる分、逆に自制心が働くというか客観的に落ち着いて判断できたというか、苦労してない分だけ逆に落とし穴ががあるんじゃないのか、と穿った考えを持ち始めてしまった小心ものの俺なのでした。
基本四属性以外にも、特殊な属性は存在するらしい。
光属性とか闇属性とか、他にも色々と変わった属性があるらしいけど、魔法学校の初級科ではそこまで詳しくは教えてくれないみたい。
光魔法とか闇魔法とか、俺も憧れるし、使ってみたいので挑戦してみたんだけど、無理でした。
魔力の性質変化の次は、魔力の形状変化の練習。
魔力を属性変化させた後、その魔力の形状を変化させる。
たとえば、矢の形にしたり、球状のものに変えたり。
また、密度を濃くしたり、薄く引き延ばしたり、なかなか奥が深い。
一番大変だったのが、空間に同じ形状の魔力を維持し続ける事だった。
集中力もさることながら、魔法力(MP)の消費量が維持している時間の分だけ、ずっと減り続けたし。
重力に逆らって空間に固定するのには、それ相応の魔法力を消費し続けるみたいだ。
形状変化の練習の次は、形状変化させた魔力を飛ばす練習。
具現化した物体や性質変化させた魔力を動かす力を、魔導力というらしい。
日本でいう、超能力とか念動力みたいな、自由自在に空間で動かす力の事をさすみたい。
俺が魔力を性質変化させて、それを動かす練習、魔導力を行使する練習をしている最中、レインはまだ魔法カードで魔法を発動させる練習をしているみたいだった。
サラはずっと付きっ切りで、俺の方にばっかりいて、俺にばっかり教えてるから、レインはちょっと不貞腐れて拗ね気味な感じがするけど、だから逆に意地になってるのかこっちにも来ず、サラにコツとかを聞きにきたりする事も無く、ずっと一人で黙々と練習している感じだった。
流石にレインが可哀相な気がしてきたので、サラに俺ばっかりじゃなくてレインにも指導してあげてってお願いしたら、サラも仕方ないといった感じでレインの方に行き、レインに話しかけるも、レインが拗ねて話が拗れそうだったので、俺も二人の傍まで行って二人の間を取り持ちながら、今にも言い合いに発展しそうなレインとサラを宥めつつ、レインが魔法を使えるように俺とサラでレインに協力しようとサラに提案したのだった。




