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サラ先生の魔法講座⑰

「セイヤ、レイン。

 戦略という言葉の意味は分かるか?」


 サラがレインと俺に、戦略という言葉の意味について尋ねてきた。


「馬鹿にしないでよ。

 いくら私でも、それくらいは知ってるわ。

 あれでしょ、戦い方みたいな?

 戦争とか、集団戦の戦闘で大切なのよね。

 勝つための道筋みたいな感じの、そういうやつでしょ」


 少し難しい話になって、うんざり気味で聞き流してた感じだったレインが、自分でも答えられる質問をされたので嬉しいのか、少し饒舌ながら少し空回り気味で、サラの質問に対して少し元気そうに答えていた。


「戦略か……。

 戦うための略と書いて戦略。

 この世界の言葉では、少し違ったニュアンスになるのかもしれないけれど。

 ようは、目の前の短期な結果じゃなく、長期的な結果を視野に入れて、総合的に判断して計画する事、またはそれを行う為の道筋みたいなものなんじゃないかな」


 一応、俺にも聞かれてたので、日本の知識の戦略という言葉について答えておいた。

 異世界の戦略という言葉に、日本語に翻訳された戦略という言葉以外の意味があるとかなら、その知識がない俺には分からないから答えようもないんだけどさ。


「二人の言うとおり。

 戦略とは、指定した目標を達成する為に、それを長期的な視野も鑑みて、遂行する為に必要である人や物資や戦術を駆使する技術を指す。

 ところで、この世界で主流である戦略、戦争における一般的な戦い方について知っているか?

 セイヤはこの世界に来たばかりで知らないかもしれないが、レインなら答えられるはずだ」


「えーと、それって国同士の戦争でって事でしょ?」


 レインの問いにサラが頷く。


「それなら、戦争で一番の主力である軍の一般兵同士のぶつかり合いよ。

 SSSランクやSSランクの英雄が一騎当千の力を発揮したとしても、所詮は個人の力だもの。

 大勢で遠距離攻撃や妨害魔法で、体力や魔法力を削れば、どうしても個人の力じゃ限界が来るし。

 それに複数個所や、広範囲を攻めれば個人の力だけじゃどうしても対応が不可能になるわ」 


「レインの言う通りだ。

 この世界で戦争といえば、やはり大軍を要する軍の一般兵が主力となる。

 そして、戦略というものもまた、軍の主力をどう扱うかに重点が置かれて考えられている。

 今レインが言った、少数精鋭の戦力に対する策も、また戦略のうちの一つだ。

 

 ところで、戦いに勝つ為に一番重要なものは何だろうか。

 兵の多さだろうか?

 英雄と呼ばれる一騎当千の猛者の数だろうか?

 優れた武器や防具だろうか?

 新しい技術や魔法だろうか?

 多くの兵を率いる将の優秀さだろうか?

 もちろん、これらは戦いに勝つに置いて重要な要素のひとつではある。

 しかし、これらは勝つ為に一番重要な要素では無い。


 戦争で一番重要なもの、それは兵站と言われている。

 兵站とは、食料や武器防具、回復薬や矢などの軍事物資から生活必需品まで、戦争を維持しておくに必要不可欠なものの総称を意味する。

 水や食べ物が無ければ人は生きていけない。

 食料が無ければ、士気は低下し、物理的に戦うのも困難になるだろう。

 武器や防具が破損したりすれば、戦力は低下。

 矢が無くなれば、主力の遠距離攻撃力が無くなる。

 だから、戦争では兵站管理が戦争の勝敗を握ると言われているし、補給線が伸びる攻め手が不利だと言われる理由にもなっている」


 うん、確かにサラの言うとおり。

 俺が学んできた地球の歴史上の戦いでも、まさにその通りだった。

 相手の補給線を叩く、食料を焼く、などといった、兵站に関するものが、戦いの勝敗を決するケースが多々あった気がする。

 相手に食料を与えない焦土作戦とか、季節や地形を利用して少数で多数を撃破して勝利した例もあるし。

 硬い砦を取り囲んで兵糧攻めとか、攻め手でも兵站を利用して被害を最小限に抑える戦いとかもあったな。


 しかし、この兵站が魔法カードと、どう関係するんだろうか。

 

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