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ホームシック

 上がったものは下がる。

 この世界に来てから、無理にテンションを上げすぎてたのかもしれない。

 一人で新しい世界に放り出されて、本当は不安で心が押し潰されそうだった。

 自己防衛の一種で、不安に心が負けないように、無意識に嫌なことを考えないようにしてたんじゃないだろうか。

 面白い事や目新しい事だけを自然と考えるようにして、無理やり前向きな事しか考えないようにしていたのかもしれない。


 大体、よくよく考えたら、この世界に来て良かった事と言えば、魔法が使えた事ぐらいじゃないか。

 TVも無ければ、漫画もインターネットも無い、俺の大好きなトレーディングカードゲームも無い。

 楽しみにしてた、勇者の系譜の第8弾の拡張パックも明日発売だったのに、その前日に死んで違う世界に来てしまうとか本当についてない。

 せめて、第8弾のパックを開けて、新しく手に入れたレアカードでデッキを作って、友達と大会に行って、新しく作ったデッキを思う存分に堪能してから死にたかった。


 考えれば考えるほど、日本での出来事ばかりが頭に浮かぶ。

 ああ、日本に戻りたいな。

 こんな剣と魔法の世界より、やっぱりカードゲームがある日本の方が断然いい世界だよ。


 日本の事を思い出したせいか、死ぬ前の状況をふと思い出した。

 そういえば、俺が死ぬ時にクラスにいた皆はどうなったんだろうか。

 俺と同じように、どこかの世界に転生したんだろうか。

 それとも成仏したり、地獄や天国にでも行ったんだろうか。

 

 教室にいたのは女子6人に、男子3人に、加えて俺か。

 クラスメートの女子は話す機会も殆ど無かったけど、可愛い子が多かったな。


 こっちの世界に来て、良かったこと。

 そういえば、魔法が使えた事以外にもまだあったな。

 新しく女の子と知り合った。

 こっちの世界で、初めて会った女の子、ノエル。

 歳は俺と同じくらいに見えた、幼い感じの女の子。


 幼い感じの女の子といえば、クラスメイトの天空路 詩織(てんくうじしおり)を思い出すな。

 かなりの美少女で、なかなか近付き難いし、話し辛いオーラが出てた女の子。

 クラスの男子も頑張って話しかけようとしてたけど、那須と道文字の三人で良く話してるから、必要な時以外は話しかける隙も無い感じだったな。


 カードゲームなどの娯楽が充実してた日本では無くても満足してたけど、死んでこっちに来てから改めて思う。

 やっぱり女の子と付き合ってみたかった。

 一度でいいからリア充とやらになってみたかった。

 俺のクラスの中では、付き合ってる子はいないような感じだったけど。

 クラスメートの女子は可愛い子が多かったから、きっと他の高校の男子とかと付き合ったりしてたんだろうな。

 死ぬ前に、あんな可愛い女の子達と一回でいいから付き合ってみたい。

 いや、もう一回死んでるんだけどさ。

 日本では、ぼっちで女の子とも碌に話した事がなかった俺だけど。

 死んでこっちの世界に来ることになったんだし、こっちの世界では女の子と一杯話をしてみたい。

 けど、性格なんて簡単に変わるもんじゃないから、やっぱり必要な話以外では、女の子と碌に話が出来ないかもしれない。

 ノエルと話せたのだって、必要な知識を得る為で、必要な事しか話せてないし、一般的な話題とかだと話せる自信が全く無い。


 まてよ。

 そういえば、この世界では奴隷制があるとか言ってたな。

 富豪や裕福な商人、高ランク冒険者など、金銭に余裕のあるものは、貧しい農家とかから身売りされた人間を買って身の回りの世話をさせたり、仕事を任せたりするという。

 この世界で頑張って、ガンガン稼いで、家を買って、可愛い女の子の奴隷を買って、身の回りの世話をしてもらって、仕事を任せたり、一緒に仕事をしたりしたら、女の子とも普通に話せるようになるし、もしかしたら俺の事を好きになって貰ったりしてもらえるんじゃないだろうか。

 

 好きになって貰えなくても、自分好みの可愛い容姿の女の子を、自分で選んで引き取れるわけだし、主従の関係でも何の問題も無い。

 しかも、お金があれば、収入があれば複数の女の子を引き取って養う事も可能。

 つまり、この世界では男の夢である、ハーレムも可能、ということ。


 おおっ。

 俄然この世界で生きる希望と勇気が沸いて来たぞ!


 うん、となれば早速ステータス確認だ。

 ガンガン強くなって、ガンガン稼いでいかないと。


_____________________________


 ステータスモード


 名前 セイヤ=リュウジョウ


 HP 42/42

 MP 40/40


 魔力 14


 所持スキル

 異世界語理解Lv50

 異世界型小型情報端末具現化Lv1

 体術Lv1

 剣術Lv3

 気配遮断Lv2

 魔力操作Lv2


_____________________________


 お、大分ステータスが上がってきてるな。

 MPは、いつの間にか全快してたみたいだ。

 狩りに一時間くらい、肉を焼く準備とか、火の加減を見たり肉を焼いたりするのに夢中でMPの確認をするのを忘れてたけど、大体二時間くらい経ってるから全快しててもおかしく無いか。

 MP溢れさせちゃったな……。

 勿体無いので早速MPをDPに変換しておく。

 MP35をDP350に変換した。

 MPの残量が5になったので、精神的な疲労感を感じる。


 精神的な疲労感を感じるけど、何かこの状態の方が精神的な修行をしてるみたいで、最大MPが伸びそうな気がするんだよね。

 実際、まだ一日も経ってないのに、最大MPめちゃめちゃ伸びてるし。 

 

 よし、やる気も出てきたことだし、今日は日が暮れるまで狩りでもしてこようかな。



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