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22章:夏の終わりの風物詩
夏休みが終わる前日、明日から学校が再開するそんな今日という日に俺は床に手をつき土下座をしていた。
正面に座っているのはクロ。朝早くからこんな事をしているのには訳があった。
「お願いします。クロ様、何卒、何卒時間を止めていただけないでしょうか!!」
「……」
クロは何も言わない。目には床しか映っていない為分からないが、冷めた目で見ているに違いない。
俺は静かにボックスからあるものを取り出してクロの前に差し出した。
「こ、これは…」
流石のクロも驚きを隠せなかったようだ。俺が取り出したのは、あまりに人気で数か月待たないと手に入れられないと言われている猫缶だ。
それを3つ。どうして、コレを手に入れられたのかというと、以前一人で依頼を受けた時に報酬としてもらった事があった。
「んんっ…し、仕方ないですね。今回だけですよ」
クロは喜びを決して表に出さないようにしながら、猫缶を自分の方へと寄せていた。
自室に入り扉を閉めると再び開けるまで部屋の外は時間が止まる様にしたと言った。
それを聞くとすぐに立ち上がり、クロに礼を言ってから自室に入った。
扉を閉めてからはそれはもう必死に夏休みの課題に取り掛かった。
恥も外聞もなく涙を流しながら、今度の夏休みは課題を早々に終わらせる事を誓って。




