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人手不足

作者: 葉月牡丹
掲載日:2015/09/26

「人手不足なので、少し手伝っていただけますか」

帰宅途中にそう声を掛けられ、ぼぅっとしていた私は反射的にいいですよと答えてしまった。

あぁしまった。知らない人なのに。

そんな私の心を見透かしているかのように、彼は苦笑いをしてすみませんと呟く。

「本当に困っているんです。少しの間ですから」

今度は私が苦笑いをする番だった。

彼は本当に困っているようだ。

「こちらこそすみません。それで、何を手伝えばいいんですか」

真っ黒なスーツ姿の彼に、改めて顔を向ける。

「説明するのは簡単なんですが…。皆さんなかなか理解してくださらないんですよ」

これはまた不思議なことを言う。

「そうですね…見ていればわかりますよ」

やはり不思議に思いながら、そうですかと返事をする。

こちらです。と彼は私の手をとって、細い路地裏へと連れていく。

なんだか怪しくなってきたな。

「あの」

「どうされましたか」

「何をすればいいのか、説明してもらわないと」

彼はぐいぐいと私の手を引っ張って、さらに奥に奥にと連れていこうとする。

「本当に人手不足なんです」

言いながら引っ張る彼の手が、私の手首に食い込んでいく。

身の危険を感じるが、もう遅いだろう。

「あの」

「人手不足なんです。少しの間ですから」

急に彼は立ち止まった。私の体はその動きに付いていけず、少しよろめく。

ふと足に何かが当たった。

何だろうと眼で追うと、誰かが横たわっているように見える。

取り憑かれたように、足元に横たわる人の姿をなめるように見て、やっと彼の目的がわかった。

息をするのも忘れている私に、真っ黒なスーツ姿の彼の言葉が再び降ってくる。

「人手不足なんです」

自分の手は大切にしたいですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 人手なんか集めて何すんだろうね? このひとでなし!
2015/09/26 17:44 退会済み
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