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戦え勇者、そして撲滅せよリア充!  作者: ryure
第一章:テンプレギルドは厨二でした。
7/45

爆発に巻き込まれました…………って地味に痛い痛いっ!チートスペックな僕でも痛いっ!


 結城と俺の当面の目標は自力で生きる分の金の用意だ。その点俺達は運のいい部類に入るだろう。あまりにも幼すぎてギルドに登録することすらできない年齢ではかなりギリギリだがないし、力や魔法はこの世界でトップクラスのチートその上結城は邪神であり、時空で、次元でトップレベル。負けるはずがない。

 その上結城は勇者召喚されているのでもしもの時には王家に顔も効く可能性もある。まああんな奴に頼りたたくはないが、それはもしもの時の話だ。


 良かった、と思った。


 俺は結城を見捨てたんだ。見殺しにしたんだ。だから、結城が健やかに生きることができるようで、ほっとする。

 だが結城は俺に逃げろといったんだ。自分は死ぬのがわかっているのにだ。生きろといったんだよ、俺だったら巻き込んでる。


 そんな結城に小さな恩返しをしたい。せめて面倒くさいギルド登録の手続きや、戦いのサポートをしなくては。



 よく勇者に巻き込まれた脇役(ああいう小説では俺のポジションは多分脇役だろう)が勇者を嫌ったり、魔王になったり、邪神になったり(なんか勇者結城が邪神だがな)するが、俺は絶対に、絶対にしない。

 だいたいどんなに気に入らない奴でもその世界で唯一前の世界の人だ。

 少々気に入らなくともそれぐらいは目をつぶろうじゃないか。

 …………ま、たまにいる復讐系主人公は死にかけたり、殺されたり、体の部位を奪われたりしてるから個人的に例外だがな。




 まだたまに思い出し笑いでひくひくと痙攣わらってしている結城を少し魔法で浮かしながら引きずりながらも受け付けに向かう。


 周りからの視線が痛いが仕方ない。そのおかげか、テンプレに結城が女を連れていないからか俺たちに話しかけて来る奴はいない。


「あの。友達が来たんで登録お願いします」

「あ、はい! 」


 結城は俺の手をかいくぐり、パタパタ服をはたいている。

 いつの間にか視線がさっき以上に集中し、視線で服がちりちりしている気がする。

 結城は知っているかのように頷き、俺を指さして殴るジェスチャーをする。すると結城に集中していた視線がなんだか前の学校で結城が受けていたフレンドリーなものに一気に変わる。…………結城、俺は死んだ時点であんな主人公的リア充ではないと思うんだが。そんなにリア充憎いんだろうか? その前に俺はリア充なのか? イケメンなはずもない。


 チラッとこっちを見てくる結城の目に込められた感情は嫉妬と羨望。それから友への友愛に似た感情。


『リア充爆発しろ。

あ、悪い、友達としては好きだからな。ホモ野郎では断じて無い』


 と地球で生きていた頃の結城の言葉が蘇る。

 そういえばリア充、って。

 たしかネットではよく聞く「リアルが充実している人」の略語ではなかっただろうか。

 例えば、幸せな生活を送っていたり、彼氏や彼女がいたり、もてたりする人のことじゃないだろうか? なによりも俺がもてているわけでもないし。


 リアルが充実している?

 勇者召喚に巻き込まれそうになって、思わず親友の結城を見捨てて見殺しにしてまで逃げて、親友が轢き殺されるのを見て、そのトラックに轢かれて。

 それからうるさい(うざくもある)お姫サマに会って。


 うん。いろいろ散々だな。


・・・・

・・・

・・


 くっそう。

 啓太はまた鈍感化してる。

 多分リア充の意味は知ってるんだろうな。なのに自分がリア充イケメン鈍感系な人間だとはわかっていないんだな。それほどまでにイケメンなのに。くそう! イケメンなんてみんな顔がボコボコになってしまえばいいんだ! フツメンになればいいんだ! 僕の気持ちが痛いほどわかればいいんだ!



 ……ある意味だが、ある意味なんだが啓太は一番タチが悪いかも知れないタイプかもしれないな、これ。


 まぁ、一度でいいから(社会的に)爆発して欲しいな。あの、鈍感力をさ。顔を一度ボコボコに殴りたい。でも友情が邪魔をする。どうしようか。


 いや、誤解するなよ?

 僕は大好きなんだよ、啓太が。あっとホモじゃないからな! 普通に友愛だ。

 ……かなり話が逸れたな。

 友達として大好きな啓太だ、だからだよ。鈍感さをなくして、普通のイケメンになればまだまだいいのに。少なくともマシには違いない。

 まあ最もいいのは啓太もフツメンだったら良かったのに。



 だから鈍感さを爆発させたいんだよ、啓太の。鈍感じゃない啓太なら普通ハーレムやらは作らないはず。だって啓太、面倒なこと大嫌いだし。


「リア充爆発しろ」


 そんなことを考えていたからだろうか、口について出た言葉は学校でボヤいていた言葉と同じ。


 ふむ、リア充を「鈍感イケメン」に脳内変換すれば別段大してひどいことを言っていない気分になるな。まあダイレクトに「啓太」とはいっていないからだろうな。


「…………結城、その『リア充』とは『リアルが充実している人』の略語じゃなかったか? 」

「ん? 間違いないけど? 」

「よくリア充爆発しろって言われてきたんだが…………。こんな散々な目にあっても俺はまだリア充なのか? それから、俺は普通の顔をしているんだが」


 散々な目…………僕は啓太を逃したつもりになってたけど啓太は結局は僕と同じトラックに轢かれて死んだしなあ。死んで転生した直後にはあんまり関わり合いになりたくない人に絡まれてたもんなあ、勇者であるはずの(おもいっきり邪神な僕が言うことじゃないけど)僕以上に言い寄られてたもの。 

 でもお前はイケメンだ。


「…………啓太、そういう意味では君はリア充ではないかもしれない。君の人生を聞いて同情しない人は多分いないと思うよ。でもね、それでも君はパッと見ただけでもリア充だとわかるし、今の発言からリア充であることが周りの人に一発でわかったんだよ。

啓太が知ってるリア充の意味、話してくれる? 」


 さあて、多分だけど啓太はイケメンがリア充に含まれていることもはっきり知ってるはずだ。


「生活が充実している人、彼氏、彼女がいる人、イケメンやもてる人…………って意味で捉えているが? 」

「間違いないよ、あと自分が幸福だと思っている人もリア充だね。

で、君もリア充だね」


 一気に周りの人殺意を放ち始める。

 ここまではっきり言っても啓太は自分がイケメンだってわかっていないんだもの。


「…………。わからんな」

「啓太、キミはイケメンなんだよ」

「は? そんなわけ…………」


 突然魔力の高まりを感じた僕は、突如巻き起こった魔法、爆発に普通に巻き込まれた。

 いや、大して怪我もしないけどめっちゃ痛いからね!

 痛覚は人間ですからぁぁぁぁぁぁぁっ!

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